佐伯泰英氏の時代小説「吉原裏同心」の魅力
佐伯泰英氏による人気時代小説である「吉原裏同心」を全21巻と読本1巻すべてを読破した。作者の小説は「居眠り磐音江戸双紙」および「酔いどれ小籐次」以来3作目を楽しんだわけだ。本作「吉原裏同心」は「居眠り磐音江戸双紙」「酔いどれ小籐次」と比べると奥の深さはあまり感じられないもののプロットの妙が実に魅力的なのだ。
「居眠り磐音江戸双紙」で佐伯泰英ワールドにはまってしまった私は続いて「酔いどれ小籐次」を、そしてその勢いで「吉原裏同心」全21巻を嬉々として読み終えてしまった。
時間つぶし…というと語弊があるがこれまで池波正太郎や藤沢周平らの時代小説を楽しんできた読者として同じような…いやできるならもっと刺激のある時代小説を読みたいと考えていたとき、NHKで放映していた「居眠り磐音江戸双紙」のTVドラマを知り、それから逆に小説にはまってしまった…。
続けて同じ作者だから面白いかも知れないと「酔いどれ小籐次」に手を出したがこれまた見事に身動きできないほどどっぷりと浸かってしまったが何度もくり返し読んではいるものの作者はより多様な作品もかかえているようで、おいそれと新作が登場しないのが残念なところだ。
そういえばやっと酔いどれ小籐次の新作「神隠し」が発刊された!

※新酔いどれ小籐次の第1巻「神隠し」文春文庫刊
「居眠り磐音江戸双紙」「酔いどれ小籐次」の新作が多々望めないのであればつなぎとしてまたまた別の作品を読んでみようかと考えていたところ、これまたNHKで「吉原裏同心」が放映されたことを知り、その文庫本を全部買ってみた(笑)。

※佐伯泰英氏の時代小説「吉原裏同心」文庫本全巻
「吉原裏同心」はその名の通り、舞台は吉原というのだからまずは興味を持ったが、実は「居眠り磐音江戸双紙」「酔いどれ小籐次」にも吉原のシーンはけっこう登場し大門をくぐってすぐ右手にある吉原会所の主である四郎兵衛なども登場するのでこれら3つの小説を読んでいるとどこか平行世界を覗いているようで面白い。
馬鹿な想像だが、例えば坂崎磐音と「吉原裏同心」の主人公、神守幹次郎が吉原のどこかですれ違っていたりする場面を描いたら楽しいなあと思ってしまう(笑)。なぜなら共に田沼時代が終焉を迎える時代を描いているからでもあるが…。
それはともかく「吉原裏同心」は幼なじみの2人、すなわち神守幹次郎と年上の汀女が手を取り合って故郷を捨てて逃げ、吉原にたどり着く。そして会所の四郎兵衛に剣の腕と人柄を見込まれ、女房の汀女と共に吉原の手足および目と耳の役割を依頼され、幹次郎は用心棒として働くことになるというストーリー。
吉原を舞台にした小説あるいは映画やドラマは数々あるわけだが、この「吉原裏同心」はそのプロットの妙が実に興味深い。幼なじみで三歳年上の汀女の婚姻が理不尽なものであることを知って駆け落ちし、妻仇討(めがたきうち)の追っ手を避けながら、十年の歳月を流浪の旅に費やしたふたりだったが、江戸吉原の四郎兵衛会所の主・七代目四郎兵衛と出会い吉原を夫婦安住の地とすべく遊郭の裏同心として働くことになる…。
見所は当然のこととはいえ薩摩示現流およびその弱点を補うべく身につけた眼志流居合の使い手、神守幹次郎の剣さばきだ。そして神守幹次郎と汀女の堅い絆、そして独特の文化を持つ吉原および四郎兵衛会所の面々との信頼関係が読む者を強く惹きつけて放さない。
恋女房が年上でもあるからだろう、幹次郎を「幹さま」と呼び、幹次郎が汀女を「姉さま」と呼ぶその心情が読む者に伝わってくるようで微笑ましくもあり羨ましくもある(笑)。
そんな折り、2014年6月よりNHK総合テレビの木曜時代劇枠にてテレビドラマ化されたことを知りこちらも楽しみにしている。個人的には神守幹次郎役の小出恵介や汀女役の貫地谷しほりは原作のイメージを壊さないし楽しめるが、最も気に入っているのは近藤正臣演じる四郎兵衛か…。
昨今ではとんとお目にかかれないであろう粋でいなせなその存在はストーリーに欠かせない。また生まれも育ちも吉原だという四郎兵衛会所の男衆である仙右衛門を演じる山内圭哉も不思議な存在感を出して好演している。そういえば先日亡くなった林隆三の最後の出演となった医師・柴田相庵役も渋くて素敵である。

※愛用の大刀(居合い練習用模造刀)
ただしTVドラマの中で個人的に原作と大きくイメージが違ったのが江戸時代吉原三千人と言われる遊女の頂点に立つという薄墨太夫演じる野々すみ花の花魁姿だ…。まあ好みの問題かも知れないが(笑)、文字通り吉原三千人と言われる遊女の頂点に立つ絶世の美女というには少々違和感があるのだが…。
ともあれこの「吉原裏同心」も続く限り座右の書となるに違いない。
「居眠り磐音江戸双紙」で佐伯泰英ワールドにはまってしまった私は続いて「酔いどれ小籐次」を、そしてその勢いで「吉原裏同心」全21巻を嬉々として読み終えてしまった。
時間つぶし…というと語弊があるがこれまで池波正太郎や藤沢周平らの時代小説を楽しんできた読者として同じような…いやできるならもっと刺激のある時代小説を読みたいと考えていたとき、NHKで放映していた「居眠り磐音江戸双紙」のTVドラマを知り、それから逆に小説にはまってしまった…。
続けて同じ作者だから面白いかも知れないと「酔いどれ小籐次」に手を出したがこれまた見事に身動きできないほどどっぷりと浸かってしまったが何度もくり返し読んではいるものの作者はより多様な作品もかかえているようで、おいそれと新作が登場しないのが残念なところだ。
そういえばやっと酔いどれ小籐次の新作「神隠し」が発刊された!

※新酔いどれ小籐次の第1巻「神隠し」文春文庫刊
「居眠り磐音江戸双紙」「酔いどれ小籐次」の新作が多々望めないのであればつなぎとしてまたまた別の作品を読んでみようかと考えていたところ、これまたNHKで「吉原裏同心」が放映されたことを知り、その文庫本を全部買ってみた(笑)。

※佐伯泰英氏の時代小説「吉原裏同心」文庫本全巻
「吉原裏同心」はその名の通り、舞台は吉原というのだからまずは興味を持ったが、実は「居眠り磐音江戸双紙」「酔いどれ小籐次」にも吉原のシーンはけっこう登場し大門をくぐってすぐ右手にある吉原会所の主である四郎兵衛なども登場するのでこれら3つの小説を読んでいるとどこか平行世界を覗いているようで面白い。
馬鹿な想像だが、例えば坂崎磐音と「吉原裏同心」の主人公、神守幹次郎が吉原のどこかですれ違っていたりする場面を描いたら楽しいなあと思ってしまう(笑)。なぜなら共に田沼時代が終焉を迎える時代を描いているからでもあるが…。
それはともかく「吉原裏同心」は幼なじみの2人、すなわち神守幹次郎と年上の汀女が手を取り合って故郷を捨てて逃げ、吉原にたどり着く。そして会所の四郎兵衛に剣の腕と人柄を見込まれ、女房の汀女と共に吉原の手足および目と耳の役割を依頼され、幹次郎は用心棒として働くことになるというストーリー。
吉原を舞台にした小説あるいは映画やドラマは数々あるわけだが、この「吉原裏同心」はそのプロットの妙が実に興味深い。幼なじみで三歳年上の汀女の婚姻が理不尽なものであることを知って駆け落ちし、妻仇討(めがたきうち)の追っ手を避けながら、十年の歳月を流浪の旅に費やしたふたりだったが、江戸吉原の四郎兵衛会所の主・七代目四郎兵衛と出会い吉原を夫婦安住の地とすべく遊郭の裏同心として働くことになる…。
見所は当然のこととはいえ薩摩示現流およびその弱点を補うべく身につけた眼志流居合の使い手、神守幹次郎の剣さばきだ。そして神守幹次郎と汀女の堅い絆、そして独特の文化を持つ吉原および四郎兵衛会所の面々との信頼関係が読む者を強く惹きつけて放さない。
恋女房が年上でもあるからだろう、幹次郎を「幹さま」と呼び、幹次郎が汀女を「姉さま」と呼ぶその心情が読む者に伝わってくるようで微笑ましくもあり羨ましくもある(笑)。
そんな折り、2014年6月よりNHK総合テレビの木曜時代劇枠にてテレビドラマ化されたことを知りこちらも楽しみにしている。個人的には神守幹次郎役の小出恵介や汀女役の貫地谷しほりは原作のイメージを壊さないし楽しめるが、最も気に入っているのは近藤正臣演じる四郎兵衛か…。
昨今ではとんとお目にかかれないであろう粋でいなせなその存在はストーリーに欠かせない。また生まれも育ちも吉原だという四郎兵衛会所の男衆である仙右衛門を演じる山内圭哉も不思議な存在感を出して好演している。そういえば先日亡くなった林隆三の最後の出演となった医師・柴田相庵役も渋くて素敵である。

※愛用の大刀(居合い練習用模造刀)
ただしTVドラマの中で個人的に原作と大きくイメージが違ったのが江戸時代吉原三千人と言われる遊女の頂点に立つという薄墨太夫演じる野々すみ花の花魁姿だ…。まあ好みの問題かも知れないが(笑)、文字通り吉原三千人と言われる遊女の頂点に立つ絶世の美女というには少々違和感があるのだが…。
ともあれこの「吉原裏同心」も続く限り座右の書となるに違いない。
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