Macテクノロジー研究所的 iPhone 6 Plus ファーストインプレッション〜サイズ編

発売日から3日後の9月21日、やっとiPhone 6 Plusが届いた。ご承知のようにカラーバリエーションは3色だが、今回は64GBのシルバーを選んだ。すでにお手元に届いている方も沢山いらっしゃると思うが、型どおりとは言え、まずはMacテクノロジー研究所的ファーストインプレッションをお届けしたい。


相変わらずiPhone 6に対しても「すばらしい」あるいは反対に「デザインや質感がよくない、期待外れ」などといった賛否両論が飛び交っているが、iPhone 5sと1番違うのはサイズだけでなく全体的にラウンドエッジ処理されたそのデザインに違いない。そしてこれを女性的過ぎると酷評する人もいるが、実際にiPhone 6 Plusの実機を手にしてみると手にフィットして持ちやすい。また 5sの重量が112gで 6 Plusは172gと当然iPhone 6 Plusの方が重いのに、意外に軽く感じるのもそのデザインの関係なのかも知れない。

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※iPhone 6 Plusのパッケージを開けたところ


ともあれ実機を手にして最初にやることはUSIMカードの取り付け、電話機切り換え手続き、そしてアクティベーションおよび各種データの移行である。こればかりは端折るわけにはいかないのでキャリアのウェブページの案内に沿って確実に済ませる。

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※USIMをiPhone 6 PlusのSIMトレーにセット


何度やっても緊張するし、この時だけはiPhoneもコンピュータであることを再認識させられる…。
せっかちな私も経験上、ステップ毎に注意を払って作業しないことにはトラブルに巻き込まれることを承知しているので焦らず確実に実行…。そしてすべての移行を終えるのに2時間ほどかかったが、幸い問題もなくiPhone 5sの環境が新しいiPhone 6 Plusに移行できた。ということで今回はiPhone 6 Plusのサイズに拘ってフーストインプレッションをお届けしたい。

そのiPhone 6 Plus最大の特徴はといえばやはりサイズであろう。事前に実寸大のモックアップを作っていろいろと確認していたこともあり、あらためて驚くことはないが、大きいことは間違いない。
私自身iPhone 6の発表があったとき、正直Plusはやり過ぎではないかとも思った。確かに画面サイズが大きな製品を求めているユーザーも多いと聞くが、サイズを大きくすると言うことは画面の見やすさは向上しても通話はもとより使い勝手を犠牲にしてしまうのではないかと危惧した。

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※iPhone 6 PlusとiPhone 5sとのサイズ比較


その点を確認するために実寸大のモックアップを作って検証したが大きな違和感は感じられなかった。しかし気がついたことはスマートフォンの価値というか存在意義というもの自体が時代と共に変化してきたのではないかということだ。
初代iPhoneを発表したとき、スティーブ・ジョブズは、ワイドスクリーンを持ちタッチオペレーションできるiPodであり、革新的なモバイルフォン、そして進化したインターネット・コミュニケーターだと説明し、それら3つの機能がiPhone1台に集約されていると豪語した。彼はさらに「我々は携帯電話を再発明した」とも明言…。

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※2007年1月10日、Macworld Expo/San FranciscoでiPhoneを発表するスティーブ・ジョブズ



確かに私たちはiPhone1台でゲームを楽しみ、ニュースを拾い、Twitterで情報交換し、メールで知人友人あるいは仕事相手とコミュニケーションをとる。そして天気予報アプリで天気の推移を確認し、接続したヘッドフォンで音楽やビデオを楽しむ。さらに便利で優秀なデジタルカメラとして日常のスナップや気に入ったシーンを撮影する。ラジオを聴き、テレビ番組表を確認し、初めて訪れた場所をマップで確認する。そう、FaceTimeで相手の顔を見ながらコミュニケーションもできる。
専用の外部ハードウェアと連携すれば自身の健康管理ができ、ガイガーカウンタにもなれば、優秀な録音機器や編集マシンとしても使える。

無論電話をかけるし着信を受けることもある。しかしよくよく考えてみれば、近年 私たちはiPhoneに限らず、電話機を使う機会は大変少なくなったように思う。これは私自身の事だけでなく周りの数人の方たちにも聞いてみたが総じて同じ感覚を持っているようだ。
スティーブ・ジョブズが言った「iPod」「Phone」「Internet」という大別して3種類のコンセプトを統合した製品のiPhoneは、名前こそ電話機だがすでに電話機としての使命は影が薄くなっているのではないか…。

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※手の小振りな女性が持っても使いづらいということはない


通話は声を出してのコミュニケーションだが、確かに暫く前、雑踏の中に身を委ねればあちらこちらで必要以上に大きな声を出しながら携帯電話を使っている人たちが目立った。しかし比較の問題ではあるものの近年はそうしたシーンは減少したように感じる。通話の多くはメール利用に変わったようだ…。要は良し悪しを別にしてもスマートフォンに対する役割の期待が当初より違ってきているのだろう…。

実際にiPhone 6 Plusの画面を見れば、拡大モードうんぬん以前に視力の弱っている、あるいは老眼が進んでいる私には大変見やすい。そして簡易な情報伝達手段は通話ではなくメールやメッセージでやりとりし、ブラウザでインターネットにアクセスして様々な情報を精査するとすれば、液晶画面は小さなものより大きい方がよい。

こうした話しになると「それならiPadを使えばよい」という議論が出てくるに違いない。確かに一理あると思うが、さすがにiPad miniのサイズで「iPod」「Phone」「Internet」というすべての機能を期待するのはサイズがでかすぎる。いや、もし iPhone 6 Plus が市場でより歓迎されるとすれば iPadの役割はよりサイズが大きな方向へシフトするのではないかと思っている。例えばA4判のiPadが登場…といったふうに。

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※iPad miniとiPhone 6 Plusのサイズ比較


勿論製品に何を求めるかは人それぞれだし、これまでiPhone 5sのユーザーだった1人として、5sのサイズの絶妙さには好感をもっているが、iPhone 6 Plusも “あり” だと思う。
それにiPhone 6 Plusはサイズの分だけ内蔵バッテリーも大きいから持ちもよい。私の場合は特別のプレゼンといったケース以外はMacBook AirもiPadも持ち出さず、ほとんどがiPhoneで済ませて来たのでiPhone 6 Plusの登場でそれが加速されるだけでなく、情報の扱いがよりやりやすくなってくると期待している。

これまでノート型パソコンはもとより、Palm、ザウルス、Newtonなどなどを手にしつつも「これひとつあれば良し」とするデバイスの登場を心待ちにしていた。それがiPhone 6 Plusで叶ったとも思える。
先に「iPhoneもコンピュータであることを再認識させられる」と書いたが、iPhone 6 Plusはまさしく超小型のコンピュータであると考えればより納得できるのではないか…。

私の場合、問題があるとすれば日常どのようにして身につけるかだ…。私はこれまでベルトクリップ式のケースにiPhoneを収めて常に携帯していたが、これまで買い集めたiPhone 5s用の各種ケースや周辺製品は皆使い物にならなくなったのは些か悲しい。ともあれ暫くすれば各サードパーティからアイデアに富んだケース類が登場するだろうが、取り急ぎはサイズを考慮して買って置いた小型のシザーケースをベルトに付け、それにiPhone 6 Plusを収納して使うつもりだ。

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※理想のケースが登場するまでこのシザーケースにiPhone 6 Plusを収納して身につけるつもり


ということで、Appleは今回 iPhoneのラインナップをiPhone 6/iPhone 6/iPhone 5sの3種とした。もしかしたらAppleは次世代においてもこの3種類のサイズを継承し、いわゆる大中小を揃えるつもりなのかも知れない。
「ユーザーの声があるとしてもAppleはこれまでと違って躊躇もせずに大型のiPhoneを出した。節操がない」といった批難もあるが、これまでのように単一モデルしか出さないというのはコンセプトに対して清いかも知れないものの、市場にバリエーションを望む声があるなら、それに答えようとするのもまた企業活動の本道ではないだろうか。

確かにここにもスティーブ・ジョブズの時代に決別するような選択が見られる気がするものの、iPhone 6およびiPhone 6 Plusの初日の予約注文数が過去最高となり、最初の24時間で400万台以上に達したというからまずは大型化は市場に受けいられたことになろう。問題は今後、これらのサイズが定着するかどうかだが、私自身もこれまで経験のない大きなサイズのiPhoneを手にしてとまどうのではないかと考えてもいた。しかし面白いといっては語弊があるが、この大判iPhoneのサイズは2,3時間手にして使ってみたら自然なものと思えてくるのだから不思議である。
繰り返すが、個人的にはiPhone 6 Plusのサイズはひとつの選択肢として存在する意味があると考えているが、次回はデザインという視点からこのiPhone 6 Plus を評価してみたい。


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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員