ポケットガイガーType4 計測実践篇
放射線の空間線量を手軽にそして正確に計測可能だという「Pocket Geiger Type4」を手に入れ、早速計測を実行してみることにした。それにはまず専用アプリケーション「ポケットガイガー」をインストールする必要があるが、無料版ではなくログが残せる有料版を購入して準備は整った。
必要なアイテムは揃ったが、実践にはマニュアルに沿っていくつか必要な設定を行わなければならない。まずは「ポケットガイガーPro」をインストール後、iPhone 5などのガジェットを再起動する必要がある。
詳しくはポケットガイガーのオンラインマニュアル・ページなどを確認する必要があるが、ポイントを述べればiPhoneの位置情報サービスを開き、「ポケガイガー」をオンに。そして「ポケットガイガー」のセッティングでType設定を「Type4」に、「音量の自動調整」と「イコライザ」をオフに、アクセシビリティからモノラルオーディををオフならびに左右スライダーを中央位置にするなどいくつかの注意点があるのでひとつひとつ確認する必要がある。ただし正直オンラインマニュアルは分かりづらい...。

※iPhone 5に専用アプリ「ポケットガイガーPro」をインストールし「Pocket Geiger Type4」を使う準備は完了
さてマニュアルによると実際の計測時にはできるだけiPhone 5などにカバーやケースを使っている場合は外すようにと書かれている。しかしiPhoneを屋外の様々な場所に置くことを考えるとやはり何らかの対策は必要だ。それは接続ケーブルが十分に差し込まれず接触不良を起こすことがあるからだが、私はケーブル接続が邪魔にならないことを確認できたクリアケースを付けて実践してみた。そして空間線量を計る場合ならテーブルなどの安定した場所、それも地表から1メートルほどの高さにiPhoneと「Pocket Geiger Type4」を置く。

※近隣駅前にあるカフェのテラスにて計測中
準備が整ったら「ポケットガイガーPro」を起動し計測場所が「室内」か「室外」を選ぶ。後は「オフ」スイッチをタップし「オン」にして計測を開始すればよい。
ここで無料の「ポケットガイガーLite」版は5分間の計測で自動的に終了するが「ポケットガイガーPro」の場合、低線量地域(0.1uSv/h未満)では最低2分間の計測を続けることが望ましいものの、5分間以上の計測も可能だ。

※iPhone 5 による「ポケットガイガーPro」計測中の画面
計測中のアプリ画面を見ればリアルタイムに「cpm」および「µSv/h」の値が変化していくはずだ。ちなみに「µSv/h」の±後の値は計測誤差を示している。
また「cpm」は “Count per minutes” すなわち1分当たりのγ(ガンマ線)検出数を 移動平均によって示す。さらに「µSv/h」はセシウム137換算を示す。無論この2つの値が大きければそれだけ空間の放射線量が多いことを示すわけだ。
計測を終えるには現在「オン」になっているスイッチをタップして「オフ」にする。
問題は計測したデータの読み方とその扱いということになる。
計測した値やグラフ表示は「ポケットガイガーPro」画面計測値下にある「Input」「MCA」「Count」「uSv/h」「Dose」そして「List」のタブをそれぞれの表示に切り替えて確認することができる。

※「List」をタップし上段にuSv/h、中段にMAC、下段にDoseのグラフ表示をセットした例
ちなみに「µSv/h」は通常「マイクロシーベルト」あるいは「マイクロシーベルト毎時」と読まれるが、生体の被曝による生物学的影響の大きさ(線量当量)の単位で通常「毎時」は省略されることが多い。そして念のため記すが1シーベルト(Sv)=1000ミリシーベルト(mSv)=100万マイクロシーベルト(μSv)ということになる。
特に「ポケットガイガーPro」の醍醐味は一番下に表示する機能たちだ。
「Log」は「µSv/h」の測定値がリスト表示され、「ログ出力」でログのCSVデータをメールで送信することができる。

※Log表示例。実際には各リスト下に計測値住所が表示される
「Map」の「My Log」はユーザーが測定したデータが地図上にプロットされ、ピンをクリックすると測定場所と線量を確認することができる。ただしLogおよびMap機能は、GPSもしくはWiFiが有効に機能していること、そして位置情報をサーバに送信することを許可したユーザーのみ利用可能だ。

※Map機能使用例
「Circuit」はポケットガイガーType1の回路図を閲覧することができる機能、そして「Setting」はセッティングを初期状態に戻したり計測の変換係数などのセッティング、ポケットガイガーの機器タイプセッティングなどの機能を持っている。勿論計測は「Main」で行うことになる。
こうした機能を持つ「ポケットガイガーPro」だが、計測したデータは逐次「グラフ出力」し、iPhoneの場合、逐次Mail送信することができ、次の計測時にこれまでの情報を「クリア」することができるわけだ。
今回はテスト計測ということで取り急ぎ「Pocket Geiger Type4」をiPhone 5と共に持出して自宅玄関、徒歩7,8分程度の駅ビル上にあるカフェのテラスおよび駅前公園内、そして徒歩15分ほど先にある大きな公園のベンチで測定してみた。

※駅前公園内で計測中
当初は瞬間的とはいえ公園のベンチで計った際に記録した “0.215” という値に驚いたが、次第に “0.13” 程度に安定した。
要は計測開始からしばらくは誤差が多いということだ。ために2分間とか5分間の計測が求められるわけだし、決まった量の放射性物質があっても、時間軸に沿って放出される放射線は一定ではないため計測値は計測する場所の違いを含めて誤差があって当然なのだ。
ちなみに同日それぞれの場所で最低2分間以上の計測を実施してみたが、結果は以下の一覧を参照していただきたい。

※テストとして計測してみた近隣の計測値
これらの値をどう読むかは私自身今後引き続き情報を集めて勉強する必要があると思うが、申し上げるまでもなく本来の計測は同一場所で複数回計測した平均を求める必要があるし、同一場所でも天候や風向きなどにより変化するわけで継続した計測が求められる。それに専用の台でも持ち歩かない限り、常に地表1メートルの高さで計測できるわけもなく、今回のテストはそうした点もかなりいい加減なものになったことは明記しておきたい。
最後に「Pocket Geiger Type4」を持ち計測を続けたとしても一人では非力過ぎる。やはり瞬間線量の値に一喜一憂するのではなく、大切なのは多くの人たちによる計測データを共有し、説得力ある分析結果を積み重ね、情報交換していくことにあると思う。「Pocket Geiger Type4」の購入はその一歩である…。
私自身にとっても今回「Pocket Geiger Type4」を手にした一番の益は、これまで無関心というか知り得なかった放射能や空間線量測定に関わる様々な情報について勉強する機会を得たということに違いない。
ということで次回ポケットガイガー篇の最終回は計測値と我々人体への影響の関係についてにわ勉強中ではあるものの、自問自答しながらお話しを続けてみたい。
■Radiation-Watch.org
必要なアイテムは揃ったが、実践にはマニュアルに沿っていくつか必要な設定を行わなければならない。まずは「ポケットガイガーPro」をインストール後、iPhone 5などのガジェットを再起動する必要がある。
詳しくはポケットガイガーのオンラインマニュアル・ページなどを確認する必要があるが、ポイントを述べればiPhoneの位置情報サービスを開き、「ポケガイガー」をオンに。そして「ポケットガイガー」のセッティングでType設定を「Type4」に、「音量の自動調整」と「イコライザ」をオフに、アクセシビリティからモノラルオーディををオフならびに左右スライダーを中央位置にするなどいくつかの注意点があるのでひとつひとつ確認する必要がある。ただし正直オンラインマニュアルは分かりづらい...。

※iPhone 5に専用アプリ「ポケットガイガーPro」をインストールし「Pocket Geiger Type4」を使う準備は完了
さてマニュアルによると実際の計測時にはできるだけiPhone 5などにカバーやケースを使っている場合は外すようにと書かれている。しかしiPhoneを屋外の様々な場所に置くことを考えるとやはり何らかの対策は必要だ。それは接続ケーブルが十分に差し込まれず接触不良を起こすことがあるからだが、私はケーブル接続が邪魔にならないことを確認できたクリアケースを付けて実践してみた。そして空間線量を計る場合ならテーブルなどの安定した場所、それも地表から1メートルほどの高さにiPhoneと「Pocket Geiger Type4」を置く。

※近隣駅前にあるカフェのテラスにて計測中
準備が整ったら「ポケットガイガーPro」を起動し計測場所が「室内」か「室外」を選ぶ。後は「オフ」スイッチをタップし「オン」にして計測を開始すればよい。
ここで無料の「ポケットガイガーLite」版は5分間の計測で自動的に終了するが「ポケットガイガーPro」の場合、低線量地域(0.1uSv/h未満)では最低2分間の計測を続けることが望ましいものの、5分間以上の計測も可能だ。

※iPhone 5 による「ポケットガイガーPro」計測中の画面
計測中のアプリ画面を見ればリアルタイムに「cpm」および「µSv/h」の値が変化していくはずだ。ちなみに「µSv/h」の±後の値は計測誤差を示している。
また「cpm」は “Count per minutes” すなわち1分当たりのγ(ガンマ線)検出数を 移動平均によって示す。さらに「µSv/h」はセシウム137換算を示す。無論この2つの値が大きければそれだけ空間の放射線量が多いことを示すわけだ。
計測を終えるには現在「オン」になっているスイッチをタップして「オフ」にする。
問題は計測したデータの読み方とその扱いということになる。
計測した値やグラフ表示は「ポケットガイガーPro」画面計測値下にある「Input」「MCA」「Count」「uSv/h」「Dose」そして「List」のタブをそれぞれの表示に切り替えて確認することができる。

※「List」をタップし上段にuSv/h、中段にMAC、下段にDoseのグラフ表示をセットした例
ちなみに「µSv/h」は通常「マイクロシーベルト」あるいは「マイクロシーベルト毎時」と読まれるが、生体の被曝による生物学的影響の大きさ(線量当量)の単位で通常「毎時」は省略されることが多い。そして念のため記すが1シーベルト(Sv)=1000ミリシーベルト(mSv)=100万マイクロシーベルト(μSv)ということになる。
特に「ポケットガイガーPro」の醍醐味は一番下に表示する機能たちだ。
「Log」は「µSv/h」の測定値がリスト表示され、「ログ出力」でログのCSVデータをメールで送信することができる。

※Log表示例。実際には各リスト下に計測値住所が表示される
「Map」の「My Log」はユーザーが測定したデータが地図上にプロットされ、ピンをクリックすると測定場所と線量を確認することができる。ただしLogおよびMap機能は、GPSもしくはWiFiが有効に機能していること、そして位置情報をサーバに送信することを許可したユーザーのみ利用可能だ。

※Map機能使用例
「Circuit」はポケットガイガーType1の回路図を閲覧することができる機能、そして「Setting」はセッティングを初期状態に戻したり計測の変換係数などのセッティング、ポケットガイガーの機器タイプセッティングなどの機能を持っている。勿論計測は「Main」で行うことになる。
こうした機能を持つ「ポケットガイガーPro」だが、計測したデータは逐次「グラフ出力」し、iPhoneの場合、逐次Mail送信することができ、次の計測時にこれまでの情報を「クリア」することができるわけだ。
今回はテスト計測ということで取り急ぎ「Pocket Geiger Type4」をiPhone 5と共に持出して自宅玄関、徒歩7,8分程度の駅ビル上にあるカフェのテラスおよび駅前公園内、そして徒歩15分ほど先にある大きな公園のベンチで測定してみた。

※駅前公園内で計測中
当初は瞬間的とはいえ公園のベンチで計った際に記録した “0.215” という値に驚いたが、次第に “0.13” 程度に安定した。
要は計測開始からしばらくは誤差が多いということだ。ために2分間とか5分間の計測が求められるわけだし、決まった量の放射性物質があっても、時間軸に沿って放出される放射線は一定ではないため計測値は計測する場所の違いを含めて誤差があって当然なのだ。
ちなみに同日それぞれの場所で最低2分間以上の計測を実施してみたが、結果は以下の一覧を参照していただきたい。

※テストとして計測してみた近隣の計測値
これらの値をどう読むかは私自身今後引き続き情報を集めて勉強する必要があると思うが、申し上げるまでもなく本来の計測は同一場所で複数回計測した平均を求める必要があるし、同一場所でも天候や風向きなどにより変化するわけで継続した計測が求められる。それに専用の台でも持ち歩かない限り、常に地表1メートルの高さで計測できるわけもなく、今回のテストはそうした点もかなりいい加減なものになったことは明記しておきたい。
最後に「Pocket Geiger Type4」を持ち計測を続けたとしても一人では非力過ぎる。やはり瞬間線量の値に一喜一憂するのではなく、大切なのは多くの人たちによる計測データを共有し、説得力ある分析結果を積み重ね、情報交換していくことにあると思う。「Pocket Geiger Type4」の購入はその一歩である…。
私自身にとっても今回「Pocket Geiger Type4」を手にした一番の益は、これまで無関心というか知り得なかった放射能や空間線量測定に関わる様々な情報について勉強する機会を得たということに違いない。
ということで次回ポケットガイガー篇の最終回は計測値と我々人体への影響の関係についてにわ勉強中ではあるものの、自問自答しながらお話しを続けてみたい。
■Radiation-Watch.org
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