ラテ飼育格闘日記(303)

東京は水不足だという…。給水制限などになれば日常生活に大きな支障がでるから雨も適度に降って欲しいが、先日には台風のような大雨もふったものの貯水池に降らなければならないわけで自然とは何とも厄介なものだ。しかしラテとの散歩に限れば雨の日の散歩は実に憂鬱である。                                                                                                                             
雨の日の散歩が憂鬱なのはオトーサンだけではなく、ラテも一緒らしい。それは雨の日の散歩は出たがらないという間違いない事実の積み重ねによる。
雨の日はオトーサンがリードを持って近づいても、いつも喜んで出窓のタタキから飛び降りてくるラテが縮こまり、明らかに行きたくないという態度を示す。それでもオトーサンはリードをラテの首輪に付けて引くと、嫌々ながらラテはオトーサンについて玄関を出るが、そこでくるっと反転して「ドアを開けてくれ」という動作をする。
無論雨でない日にはそうした行動は起こさないから、オトーサンたちはラテは雨が嫌いなのだと判断しているわけだ。
そして明らかに弱い雨の日より、土砂降りの日こそラテは外に出ようとしない。

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※ラテだって気候が良いときは笑顔も多い


では何故ラテは雨の日の散歩が嫌いなのだろうか?
その前にオトーサンが雨の日の散歩が嫌いな理由は明白である。当然それは濡れるからであり、傘を差すといういつもより手がかかる要素が増えることで非常に動きが制約され、その結果として疲れるからだ。
何しろリードを持ち、ラテの行動を制御しつつ傘を差しながら暗い場所で懐中電灯を点灯しつつ、ウンチの処理をするということひとつを考えてもなかなか大変である。

そして話をラテに戻せば…ラテは何故雨の日の散歩を嫌がるのだろうか?
オトーサンたちはワンコの擬人化云々以前にそれは当然のこと「濡れるのが嫌だから」だと考えてきた…。天気の日と雨の日の違いは雨が降っているかいないかという明白な違いがあるわけで、それ以外に嫌う要因など考えたこともない。
こうした発想からオトーサンたちは濡れないようにとラテにレインコートを着せようとする。それだけでなくオトーサンの傘はなるべくラテの頭上に置くことを心がけ、ラテもオトーサンの横にきちんと付いて歩くように求めているわけだ。

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※休日の朝、駅上のコンコースでハリーちゃんたちと遭遇


しかし可笑しな事に、雨を…濡れることを防ごうとするレインコートをラテは何故にこれほどまで嫌がるのだろうか?
濡れるのが嫌だから…雨の日の散歩が嫌なら、それを全部ではないものの身体の多くを濡れないように工夫したレインコートの存在は喜ばれなければならない(笑)。レインコートをオトーサンが持ち出すと、喜び勇んで飛んでくるのがr筋ではないか…とオトーサンは考えた時期があったが、現実はまったく逆である。

レインコートを見せた途端、ラテは耳を後ろにべったり降ろし、尻尾は股の間に巻き込んでしまい、部屋の隅っこにうずくまり、明らかな嫌悪感を示す。しかし世の中は嫌なことでもしなければならないこともあるのだ…とオトーサンは無情にもピンク色のレインコートをラテに着せ「おっ、可愛いジャン」などと手を打つが、ラテはその場にフリーズしてしまう。
濡れるのが嫌いだけど、レインコートも嫌い…ということらしい(笑)。しかし何故レインコートが嫌いかは明白なのだ。

ワンコのレインコートにも様々なタイプのものがあるが、目的が目的だから身体の多くをすっぽりとカバーするように出来ている。ラテが使用しているレインコートはどちらかというとラフな方で背中とお腹の大半をカバーするものの、装着はベルクロ、尻尾はゴムバンドに通すといった仕様だが、それでも雨と地面からの跳ねから守るためにはそれなりにしっかりと身体に密着して着せなければならない。
この全体への密着感はワンコに支配行為のプレッシャーを感じさせることになるらしい。

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※カフェの開店を待っている笑顔です(笑)


ワンコもオオカミも支配的なメンバーはしばしば劣位のメンバーに対して鼻面を押さえたり、身体にのしかかり覆い被さるという。こうされると劣位のメンバーはその場でフリーズし服従の姿勢を取らなければならない。そうしなければより強い攻撃を受けることになるからだ。
同様にオトーサンが寝室で脱いだパジャマの上着を立ち上がったラテの背中にかけると急に神妙になるときがある。たぶんこれも程度問題はともかく同じような感覚、すなわち支配されたという気持ちで大人しくなるのかも知れない。

さて、レインコートがなぜ嫌いなのか、それは着心地が悪いといったことではなく支配されていると感じるからこそフリーズし、尻尾も股の間に巻き込んでシュンとなってしまうのだ。まあ、そもそもオトーサンがレインコートを使おうとするのはラテの被毛を雨から守ろうという以前にびしょ濡れになると後の始末が大変だからなのである。そこにはオトーサン側の思惑もあるわけだ。
ともあれラテがレインコートを嫌がるのは雨降りとは実は関連がないのかも知れない…。

ではなぜラテは…ワンコは、雨の日の散歩を嫌うのだろうか。濡れるのが嫌というのでなかったら何が嫌なのか。
オトーサンはこの足かけ6年の間、そんなつまらないことを考え続けてきたが、最近遅ればせながらやっとおぼろげながら分かってきたような気がするのだ。
オトーサンが想像するにラテは雨に濡れるのはそんなに嫌ではないのかも知れないが、その雨の日…強いあめの日ほど嗅覚が利かないため、ワンコにとって視覚以上に世界を認識するために重要な臭いを嗅ぐという感覚が鈍くなるため不安、あるいは面白くないからではないかということに思い当たったのだ。

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※ワンコにとって散歩は嗅覚をフル回転するからこそ楽しいのだ


数時間前、そこを通った仲間のワンコの臭いも、数分前にその茂みにマーキングしたワンコの情報も皆雨に流され、完全とまではともかく認識できる情報量は希薄になってしまうに違いないのだ。それはオトーサンたち人間であれば両目を薄目にして歩くようなもので、辛い世界なのではないだろうか。
雨の日は濡れるのが嫌なのだろう…。そうした単純な思い込みこそオトーサンたち人間世界の感覚をそのままワンコに当てはめようとする間違った認識なのではあるまいか。

【参考資料】
・アレクサンドラ・ホロウィッツ著「犬から見た世界」白揚社刊
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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員