ビンテージ・カメラ、VOIGTLANDER Vag(ヴァグ) の撮影手順とは?
先般「ビンテージ・カメラ、VOIGTLANDER Vag(ヴァグ) 9 x 12 Folding Plate Camera雑感」として1925年製のオールドカメラをご紹介した。いわゆる乾板フォールディングカメラである。その後30代の知人から「そのカメラ…具体的に、どのようにして撮影するのか?」といった質問があったので今回はスペックではなく使い方を述べてみたい。ちなみに6月1日は「写真の日」なのだそうな...。
とはいっても私自身、こうした旧式のカメラに詳しい訳ではないので上辺をざっとなぞる程度となるがお付き合いいただければ幸い...。
このフォクトレンダー "Vag" も年代物とはいえカメラには違いないから、きちんとした写真撮影をするための基本条件は現在のカメラと大差はない。

※VOIGTLANDER Vag (1925年製)の乾板フォールディングカメラ
手ブレをしないよう三脚に固定するなり適当な台にしっかりと置くこと。絞りとシャッタースピードを決め、ピンとを合わす...。手元のフォクトレンダー "Vag" を見ると距離設定は勿論レンズ下には絞りを決めるレバーがあるし、レンズ上にはダイアル式のシャッタースピード機能が備わっている。
さてそれでは撮影手順を簡単に記してみたい。
まずフォクトレンダー "Vag" フロントの蓋を90度開きロックがかかったことを確認する。続けてケース側に納まっているレンズ部位を手前に引き出し、開いた蓋裏にある距離計と連動している基部にはめ込む。


※ フロントの蓋を開ける(上)。距離計は約1.2mから∞の範囲での設定が可能(下)
これで少々堅いものの、距離(単位はフィート)レバーを操作すると蛇腹の先端にあるレンズ部位が前後に連動する。また僅かではあるがレンズ部位は上下左右にも移動可能だ。ともあれ距離計はフィートによる表記だが約1.2mから∞の範囲での設定が可能だ。
続けてバック側の蓋を開ける。フードを開くと奥には磨りガラスのスクリーン(ピントグラス)がある。ただし折り畳み式のフードは開いたまま固定できないので使いづらい。


※背面の蓋を開け(上)、フードを開く(下)。奥にはピントグラスがある
次にレンズ上にあるシャッタースピードダイアルを "T" にする。ちなみに "T" はタイムという機能でシャッターを押すと次に押すまで開放状態となる。したがってシャッターボタンを押している間シャッターが開けっ放しになる機能 “B(バルブ)” とは働きが違う…。

※シャッタースピードダイアルを "T" にする
シャッターを押し開放状態にしたまま被写体との距離を合わせつつピントグラスに映る像を確認し、正確にピントを合わせる。こうした一連の工程はいかにも時代物のカメラだが、それがまた何とも言えない懐かしい感覚を呼び起こす...。


※現代の液晶ディスプレイに慣れた目では大変暗い。またピントグラスには像が逆さまに映る
ピントが合ったらカメラ本体を動かさないよう注意をしつつ "T" を解除し、適切な露出とシャッタースピードを合わせる。

※レンズ下にある露出設定
そのままバックのピントグラスユニットを上部に引き出して外し、乾板すなわちフィルムフォルダーを取り付けてフォルダーの遮光板を引き上げて外す。これで撮影準備ができたことになる。


※バックのピントグラスユニットを上部に引き出して外し(上)、乾板(フィルムフォルダー)を装着する(下)
後はカメラ位置の微調整をしつつフレームを決める。すでにピントグラスは使えないからフレーミングは反射式のファインダーかワイヤーフレームファインダーを効果的に使う。そしてシャッターを切る...。

※VOIGTLANDER Vagのワイヤーフレームファインダーを広げた例
シャッター後はフィルムフォルダーの遮光板を差し入れ、撮影した乾板が感光しないよう注意をしながら外す。無論その後は乾板あるいはフィルムを現像する必要があるのは申し上げるまでもない。
乾板による撮影は私などにはさすがに難しくすでに現実味はないが、120判のロールフィルムホルダを手に入れれば撮影の真似事はできる理屈なので機会があったら試して見たいと思っている。
それにしてもオートフォーカスで、かつ絞りとシャッタースピードも自動。シャッターを押せば高解像度の写真が撮れる時代にこのような代物はアナクロニズムの象徴と考える向きもあるかも知れない。しかし現在のテクノロジーもこうした時代をひとつひとつ経て到達した結果だということを忘れてはならない...。
とはいっても私自身、こうした旧式のカメラに詳しい訳ではないので上辺をざっとなぞる程度となるがお付き合いいただければ幸い...。
このフォクトレンダー "Vag" も年代物とはいえカメラには違いないから、きちんとした写真撮影をするための基本条件は現在のカメラと大差はない。

※VOIGTLANDER Vag (1925年製)の乾板フォールディングカメラ
手ブレをしないよう三脚に固定するなり適当な台にしっかりと置くこと。絞りとシャッタースピードを決め、ピンとを合わす...。手元のフォクトレンダー "Vag" を見ると距離設定は勿論レンズ下には絞りを決めるレバーがあるし、レンズ上にはダイアル式のシャッタースピード機能が備わっている。
さてそれでは撮影手順を簡単に記してみたい。
まずフォクトレンダー "Vag" フロントの蓋を90度開きロックがかかったことを確認する。続けてケース側に納まっているレンズ部位を手前に引き出し、開いた蓋裏にある距離計と連動している基部にはめ込む。


※ フロントの蓋を開ける(上)。距離計は約1.2mから∞の範囲での設定が可能(下)
これで少々堅いものの、距離(単位はフィート)レバーを操作すると蛇腹の先端にあるレンズ部位が前後に連動する。また僅かではあるがレンズ部位は上下左右にも移動可能だ。ともあれ距離計はフィートによる表記だが約1.2mから∞の範囲での設定が可能だ。
続けてバック側の蓋を開ける。フードを開くと奥には磨りガラスのスクリーン(ピントグラス)がある。ただし折り畳み式のフードは開いたまま固定できないので使いづらい。


※背面の蓋を開け(上)、フードを開く(下)。奥にはピントグラスがある
次にレンズ上にあるシャッタースピードダイアルを "T" にする。ちなみに "T" はタイムという機能でシャッターを押すと次に押すまで開放状態となる。したがってシャッターボタンを押している間シャッターが開けっ放しになる機能 “B(バルブ)” とは働きが違う…。

※シャッタースピードダイアルを "T" にする
シャッターを押し開放状態にしたまま被写体との距離を合わせつつピントグラスに映る像を確認し、正確にピントを合わせる。こうした一連の工程はいかにも時代物のカメラだが、それがまた何とも言えない懐かしい感覚を呼び起こす...。


※現代の液晶ディスプレイに慣れた目では大変暗い。またピントグラスには像が逆さまに映る
ピントが合ったらカメラ本体を動かさないよう注意をしつつ "T" を解除し、適切な露出とシャッタースピードを合わせる。

※レンズ下にある露出設定
そのままバックのピントグラスユニットを上部に引き出して外し、乾板すなわちフィルムフォルダーを取り付けてフォルダーの遮光板を引き上げて外す。これで撮影準備ができたことになる。


※バックのピントグラスユニットを上部に引き出して外し(上)、乾板(フィルムフォルダー)を装着する(下)
後はカメラ位置の微調整をしつつフレームを決める。すでにピントグラスは使えないからフレーミングは反射式のファインダーかワイヤーフレームファインダーを効果的に使う。そしてシャッターを切る...。

※VOIGTLANDER Vagのワイヤーフレームファインダーを広げた例
シャッター後はフィルムフォルダーの遮光板を差し入れ、撮影した乾板が感光しないよう注意をしながら外す。無論その後は乾板あるいはフィルムを現像する必要があるのは申し上げるまでもない。
乾板による撮影は私などにはさすがに難しくすでに現実味はないが、120判のロールフィルムホルダを手に入れれば撮影の真似事はできる理屈なので機会があったら試して見たいと思っている。
それにしてもオートフォーカスで、かつ絞りとシャッタースピードも自動。シャッターを押せば高解像度の写真が撮れる時代にこのような代物はアナクロニズムの象徴と考える向きもあるかも知れない。しかし現在のテクノロジーもこうした時代をひとつひとつ経て到達した結果だということを忘れてはならない...。
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