PLUSのコンパクト断裁機 PK-113 レポート

わざわざ言い訳を申し上げるのも変だが、私は自炊派ではない。一部の貴重な資料や書式は原本保護の目的で電子化しているものの一般図書などの電子化はこれからも予定はない。ただし古い雑誌やカタログがまだまだ膨大にあるので必要なものと不必要なものとを分別しながら電子化する予定なのだ…。


過去の資料となるカタログやらデータシートなどの印刷物はその内容を見るためなら電子化されたものは便利だ。検索もできるし劣化もしない。しかしその存在自体が貴重なものは電子化したとしても原本は破棄することなく保存する姿勢を貫いている。
そうした古い資料を裁断してバラバラにする必要もなくデジタル化するためScanSnap SV600を日々愛用しているがページ数がまとまったものには適さないし効率が悪い。

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※PLUSのコンパクト断裁機 PK-113、正面(上)と裏面(下)


ということで先般Amazonで限定販売されていたので初めて裁断機を購入した。プラスのコンパクト断裁機 PK-113 という製品である。ちなみにカッターマットとカッターナイフまで付いていた(笑)。

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※セール品のためカッターマットとカッターナイフまで付いていた


いまのところ雑誌や製本されている資料類の電子化を踏まえて準備のつもりなのだが...。なにしろScanSnap SV600の他にはScanSnap IX100が常時スタンバイになっているが、そのiX100で可能な範囲...程度のことをこれからも考えていくつもりである。

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※収納時には正面側のトレーを上げるととてもコンパクトになる


さて裁断機だが、それこそピンキリあるのでやはり用途と頻度を考えて選ぶべきか...。ちなみにプラスのコンパクト断裁機 PK-113 はその名の通りコンパクトな設計に安全性を考慮したパーソナルな製品だといえる。ただしA4用紙60枚を1度できれいに裁断(PPC用紙64g/㎡使用時)できる能力は一般的には必要十分だし従来の1/4の力で軽く裁断できるという謳い文句にも引かれた。

余談だがこの製品は "コンパクト断裁機 PK-113" と "断裁機" と呼んでいるが "裁断機" と呼んでいる製品もあり気になった。ウィキペディアで確認してみたところ「一般的に裁断機という言葉は、布・皮革などの素材や印刷物を含む紙全般を裁ったり、抜き型でプレスして型抜き加工したりする機械を指す言葉として広く使われる。これに対し断裁機という言葉は紙を直線的に切り離す機械に限定される」とのこと。まずは納得...。

断裁機は1度に多くの枚数(ページ)を、それも正確に綺麗に切り離すことが目的だ。まず断裁機 PK-113が1度に切れる60枚とはどの程度の厚さなのかを確認してみた。60枚ということは両面に印刷されている一般的な書籍類だと120ページということになる。
この際、紙の厚さをすべて標準として考えても120ページというのは決して多くはない...。例えば古いMACWORLD誌にしても見かけは薄いようでも145ページはあるから1度に断裁できないことになる。ただし私のようにカタログや資料のドキュメント類なら紙質は厚くてもページ数は少ないのでまずは1度で断裁できるに違いない。

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※テストを兼ねて145ページほどのMACWORLD誌を断裁してみよう...


ただしこの60枚という点だが、メーカーとしてたまたまという事ではないようだ。自炊用のスキャナとして知られているPFU社のヒット商品 iX500の最大給紙枚数が60枚だからだという。60枚程度ずつ断裁しスキャニングするということが一番効率のあがる自炊のやり方だということか...。

では早速コンパクト断裁機PK-113を見ていきたいが、断裁機としてPK-113の魅力はその名の通りコンパクトなことだ。他の普及機クラスの製品と比較すれば一目瞭然だが作業スペースをとらないし、特に使わないときはトレーを綴じることができるため便利である。とはいえ重量は5.2kgあるからして移動の際には取っ手を持ってしっかりと持ち上げることが大切だ。

さて、実用面での利点は安全面と小さな力で断裁できる工夫がなされていることに尽きる…。
まず、用紙の出入口には指が刃先に触れない安全カバーが付いていることだ。この手の道具で万一怪我でもしたらその切れ味からして大怪我となる。ましてや力を入れて切断しようとするわけだから安全第一の設計は重要だ。

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※正面側(上)および裏面側(下)と共に安全カバーが刃の部位に指が入るのを防いでくれる


ただし刃先の位置が奥まっているからして切断位置を確認するのは目視ではやりにくい。為にLEDによるカットラインが赤く点灯する機能があるので用紙の位置ガイドと共に切断位置をきちんと認識できるわけだ。なおこの機能は単4乾電池2本(別売)をセットし、カットラインスイッチをAUTO ONにしておくことが必要だ。

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※断裁する用紙をセットしカットラインスイッチ(上)をAUTO ONにしておくと赤くカットラインが点灯し切断位置を示す(下)


PK-113は使い方の基本も難しい事はない。トレー中央にあるガイドと前記したカットラインをたよりに断裁するものをトレー上にセットし位置決めをする。そしてハンドルを押し下げるだけだ。その際に用紙を手で押さえておく必要はない。なぜならハンドルを押し下げると用紙は自動的に固定されるからだ。

まだ本格的な使い方をするまでに至っていないが、コピー用紙数枚を断裁する程度ではPK-113の実力は分からないだろうと前記した古いコンピュータ雑誌、MACWORLD誌の1冊(2冊あるので)を実際にカットしてみようと試みた。ただし全部で145ページ弱あること、ページ厚の折り込み広告がいくつかあるなどそのまま1度で断裁できないと判断し、表紙や裏表紙を切り離し、折り込み広告や葉書類を取り去って全部で120ページにしてみた。

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※表紙・裏表紙をはじめ折り込み公告や折り込み葉書を予め取り去っておく


安定した台の上にPK-113を置き、最初120ページ...すなわち60枚にして断裁しようとした。しかし表紙などを外した背の側は接着剤が残っていて容易に取れないためにそのままではPK-113のトレーから前カバー内にスムーズに入らない…。それではと、最初の試みとということでもありページ数を100ページ (50枚) に減じてセットした。ちなみにマニュアルによれば断裁する厚さは5.5mm以下でなければならないとある…。

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※100ページ分、50枚を断裁位置を合わせてセットする


トレー上の移動ガイドおよびカットラインをたよりに雑誌の束をセットするが、正直カットラインはよく認識できるものの、前カバーを通しての確認のためか慣れないと少し分かりにくい。ともかく慎重に確認をした上で移動ガイドと固定ガイドを頼りにセットした。

後はハンドルを下ろすだけだ。雑誌を100ページ分1度に断裁する初めての試みなのでどれほどの力が必要なのかを頭の中でシミュレーションしながら片手でハンドルを下げた…。なお繰り返すがその際、紙を手で押さえる必要はなくハンドルを下ろすと紙は自動で固定されるのでズレる心配はない。

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※片手でハンドルを軽々操作。ただし写真を撮るためハンドルを押し切った位置でロックをかけてある


"コンパクト断裁機 PK-113" はこれまでの1/4の軽い力で断裁可能とされていたが、予測していたよりはるかに軽く雑誌50枚は断裁されていた...。正直「これで終わり?」といった感じだった。これは凄いと思った(笑)。さらにその切断面は驚くほど綺麗だった。

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※背面側から落ちた断裁部分(上)とその見事な切断部(下)


私はこの種の断裁機を使うのは初めてだが、その昔にいわゆるペーパーカッターの類を使った事がある。学校に必ず備わっていたアレだ…。そのカッターで “わら半紙” (お分かりだろうか?)を何十枚か切断するとき、かなりの力を必要とした記憶が残っている。そしてあるとき十分に注意したつもりだったが用紙を押さえていた左手親指の爪にカッターの刃を当ててしまった時があった。触れた瞬間に止めたため爪はほぼ切断されたものの指に怪我を負わずに済んだが、自分で肝を冷やした。
そうした負の記憶が残っていたからよけいにPK-113 の安全性と使いやすさが身にしみたのだろうが、これはよい買い物をしたと喜んでいる。





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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員