Lisa用アンチ・グレア・フィルターのミステリー
今回はLisa関係ネタだからしてオールドネタだというだけでなくマイナーな話でもある。それはLisa用のアンチ・グレア・フィルターの話しだ。相変わらずどうでもよいネタだ...と軽蔑してはいけない(笑)。これひとつをとっても時代の最先端を見据えた...はずの...Appleの選択なのだから...。
Lisaが話題にされたところでこのアンチ・グレア・フィルターの事などほとんど表に出て来ないに違いない。
まずお伝えしておくと...。Lisaのスクリーンは液晶ではなくモノクロのブラウン管である。何しろ1983年に発表されたマシンであり、当時液晶モニターをパソコンの表示装置として使いたくても技術的に無理だったからだ。


※Lisaのフロントパネルを外してブラウン管モニターを確認。大変写り込みしやすいことがわかる(上)。電源を入れアンチ・グレア・フィルターを通した画面は確かに写り込みは軽減されている(下)
液晶技術にはいくつかの方式があるが、Lisaが発表された翌年の1984年にEPSONから世界に先駆けて商品化された、液晶ポケットカラーテレビ「ET-10」が登場した。しかしその画面サイズは2インチだった...。
Appleが液晶ディスプレイを商品化した最初は1984年4月24日に発表されたApple IIc 用としてだ。そのフラット・パネル・ディスプレイ(モノクロ)はコンパクトなマシンとして様々な場所へ持ち運びが可能だとアピールされたApple IIcに相応しいものだったが、残念ながら当時の技術ではコントラストが低く見難かった。

※Apple IIc 用のモノクロ液晶ディスプレイはコントラストも低く使いにくかった
さてそうした時代に登場したLisaのブラウン管方式のディスプレイだが、標準で専用のアンチ・グレア・フィルターが付属していた...。
Lisaのカタログやら写真を見てもそれらしいものは見当たらないと思われるかも知れないが、このアンチ・グレア・フィルターはLisaのフロントカバーを取り外すとその裏側モニター部位にはめ込まれている。ただし目立たないし現在残っているLisaにそれがあるかどうかはそれぞれ確認してみなければわからない。


※フロントパネルを外すと、その内側にアンチ・グレア・フィルターがセットされているのがわかる
このアンチ・グレア・フィルターはその名の通り反射しやすいブラウン管をコントラストを強調しつつ反射を防いで見やすくする目的で装備されたが、それは現在様々なモニター反射防止のフィルターのように樹脂やガラス製のものではなく極細の樹脂繊維を網状にした “ネット” なのである。


※アンチ・グレア・フィルターは簡単に取り外し可能(上)。そのフィルター面をマクロで撮影するとネット状であることがわかる(下)
したがって、確かに...完全では無いが反射を軽減する役割を果たすものの、ユーザーによってはそのネットの構造がモニター表示の解像度を落とす感じがして嫌われる場合もあったという。
したがってこのアンチ・グレア・フィルターを外してLisaを使っていたユーザーもいたために余計に知られていない存在かも...。
私が興味を持ったことはブラウン管の反射を押さえるフィルターをと考えた場合、1980年当時だとしても他にもっと選択肢があったのではないかということだ。例えば樹脂製のフィルムにするとか、あるいはモニターそのものに反射防止処理はできなかったのだろうか…と。

※アンチ・グレア・フィルターの存在は分かりにくいがフロント側から触れば一目瞭然だ
Lisaは1万ドルほどで販売された高価なパソコンだった。究極のコスト削減のためにネットになったとは思えない。多少コストがかかったにしてもAppleが選ぶことだからして最良のものを選んだと考えたい。ではこのネット式のアンチ・グレア・フィルターは当時最良のものだったのか…。

※アンチ・グレア・フィルターを装着したモニター表示を拡大した例。通常の使用ではその存在を意識することはない
いや、このアンチ・グレア・フィルターは現行の製品類がそうであるように、写り込み防止のためだけでなくブラウン管のデイスプレイを保護する役目も果たしていたと考えてみたが、柔なネットでは堅いものをぶつけた際の保護には役に立ちそうにも思えない。なぜAppleが選んだアンチ・グレア・フィルターが “コレ” なのか?

※当研究所では別途交換用の純正アンチ・グレア・フィルターも保管してある
確か最初期の一体型MacintoshにはKensington社などからモニター前面にベルクロを使って貼り付けるフィルターが発売されていた。無論ネット状ではなく硬質な樹脂製フィルムだった。
ともあれアンチグレア技術の歴史…といった類の情報となれば素人にはいかんともしがたい…。1980年代前半のテクノロジーではこのネット式フィルターが最良の選択なのか、なぜ “コレ” だったのか…については今のところミステリーなのだ。
Lisaが話題にされたところでこのアンチ・グレア・フィルターの事などほとんど表に出て来ないに違いない。
まずお伝えしておくと...。Lisaのスクリーンは液晶ではなくモノクロのブラウン管である。何しろ1983年に発表されたマシンであり、当時液晶モニターをパソコンの表示装置として使いたくても技術的に無理だったからだ。


※Lisaのフロントパネルを外してブラウン管モニターを確認。大変写り込みしやすいことがわかる(上)。電源を入れアンチ・グレア・フィルターを通した画面は確かに写り込みは軽減されている(下)
液晶技術にはいくつかの方式があるが、Lisaが発表された翌年の1984年にEPSONから世界に先駆けて商品化された、液晶ポケットカラーテレビ「ET-10」が登場した。しかしその画面サイズは2インチだった...。
Appleが液晶ディスプレイを商品化した最初は1984年4月24日に発表されたApple IIc 用としてだ。そのフラット・パネル・ディスプレイ(モノクロ)はコンパクトなマシンとして様々な場所へ持ち運びが可能だとアピールされたApple IIcに相応しいものだったが、残念ながら当時の技術ではコントラストが低く見難かった。

※Apple IIc 用のモノクロ液晶ディスプレイはコントラストも低く使いにくかった
さてそうした時代に登場したLisaのブラウン管方式のディスプレイだが、標準で専用のアンチ・グレア・フィルターが付属していた...。
Lisaのカタログやら写真を見てもそれらしいものは見当たらないと思われるかも知れないが、このアンチ・グレア・フィルターはLisaのフロントカバーを取り外すとその裏側モニター部位にはめ込まれている。ただし目立たないし現在残っているLisaにそれがあるかどうかはそれぞれ確認してみなければわからない。


※フロントパネルを外すと、その内側にアンチ・グレア・フィルターがセットされているのがわかる
このアンチ・グレア・フィルターはその名の通り反射しやすいブラウン管をコントラストを強調しつつ反射を防いで見やすくする目的で装備されたが、それは現在様々なモニター反射防止のフィルターのように樹脂やガラス製のものではなく極細の樹脂繊維を網状にした “ネット” なのである。


※アンチ・グレア・フィルターは簡単に取り外し可能(上)。そのフィルター面をマクロで撮影するとネット状であることがわかる(下)
したがって、確かに...完全では無いが反射を軽減する役割を果たすものの、ユーザーによってはそのネットの構造がモニター表示の解像度を落とす感じがして嫌われる場合もあったという。
したがってこのアンチ・グレア・フィルターを外してLisaを使っていたユーザーもいたために余計に知られていない存在かも...。
私が興味を持ったことはブラウン管の反射を押さえるフィルターをと考えた場合、1980年当時だとしても他にもっと選択肢があったのではないかということだ。例えば樹脂製のフィルムにするとか、あるいはモニターそのものに反射防止処理はできなかったのだろうか…と。

※アンチ・グレア・フィルターの存在は分かりにくいがフロント側から触れば一目瞭然だ
Lisaは1万ドルほどで販売された高価なパソコンだった。究極のコスト削減のためにネットになったとは思えない。多少コストがかかったにしてもAppleが選ぶことだからして最良のものを選んだと考えたい。ではこのネット式のアンチ・グレア・フィルターは当時最良のものだったのか…。

※アンチ・グレア・フィルターを装着したモニター表示を拡大した例。通常の使用ではその存在を意識することはない
いや、このアンチ・グレア・フィルターは現行の製品類がそうであるように、写り込み防止のためだけでなくブラウン管のデイスプレイを保護する役目も果たしていたと考えてみたが、柔なネットでは堅いものをぶつけた際の保護には役に立ちそうにも思えない。なぜAppleが選んだアンチ・グレア・フィルターが “コレ” なのか?

※当研究所では別途交換用の純正アンチ・グレア・フィルターも保管してある
確か最初期の一体型MacintoshにはKensington社などからモニター前面にベルクロを使って貼り付けるフィルターが発売されていた。無論ネット状ではなく硬質な樹脂製フィルムだった。
ともあれアンチグレア技術の歴史…といった類の情報となれば素人にはいかんともしがたい…。1980年代前半のテクノロジーではこのネット式フィルターが最良の選択なのか、なぜ “コレ” だったのか…については今のところミステリーなのだ。
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