UGC '99 Yamaguchi の思い出

仕事柄、一時期は全国をかけずり回った。そのうちのいくつかは大きなイベントだったりもしたがユーザグループが主導する会に招かれて遠出をしたこともある。そんな中で一番の思い出は「第4回中国地区アップルユーザグループカンファレンス」に招かれ、女性スタッフと共に参加させていただいたことだ。                   


現在は...ご承知のようにMACWORLD Expoといった大がかりなイベントが無くなったことでもあり、国内メーカー数社の動向を拝見しているとユーザグループの催事に積極的に参加されているようだ。
無論私が積極的に動いていた時代にも全国のユーザグループの活動は存在したし中には大阪で開催されたiWeekのようになかなか本格的な催事となったケースもあった。しかしビジネスとして捉えた場合、当時の私はそうしたユーザグループからの出展依頼に正直腰が引けていたといえる...。

当然のことながら我々の製品も全国で多くのユーザーが存在した。一時期にはPerformaにいくつかのアプリケーションがバンドルされたことでもあり、例えば「MoviePaint」というアニメーションソフトなどは40万本以上の実出荷本数になったわけだし、そうした多くのユーザーの要望を満たす意味で専門の書籍まで刊行されたほどだ。
したがって様々なところから講演依頼や製品デモの要望が舞い込んだが、私1人で出向けば済む講演やデモはまだしも、規模はともかくブースを出さなければならないケースの場合にはお断りするケースがほとんどだった。
それはまさしく言い訳になってしまうものの、決してユーザグループを軽視していたということではない。
当時我々の会社は超マイクロ企業でありそもそもが営業職は社長であった私しかいなかった(笑)。無論MACWORLD Expoのような大きなイベントの際にはいわゆる間接部門のスタッフも総出で事に当たるしかなかったがそれでも総勢で8人だったから、なかなか多くの要望にお応えすることは費用対効果を含めて難しかったのである。

出展となれば中途半端なものはお見せできないし、かといって遠方であればあるほどタイミング良く機材や人材を移動させることが出来なかったことによる...。
そんな私でも山口県まで女性スタッフ1人を連れ、喜んで出かけたのがUGC '99 Yamaguchi すなわち「第4回中国地区アップルユーザグループカンファレンス」だった。
すでに記憶も曖昧だが、僭越ながら声をかけてくだった方が大変熱心で真摯な方だったからでもある。

私自身は羽田から山口宇部空港へ向かったが、同行することになった札幌支店の女性スタッフは勿論千歳空港からであり、山口宇部空港で待ち合わせ、バスで山口駅に向かったことを覚えている。

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※山口宇部空港(上)とパスでたどり着いた山口駅(下)


文字通り私事だが、当時会社は気苦労が多い時期で気持ちが塞ぐ日々が続いていたから、仕事とはいえ気配り上手な若い女性スタッフと共に遠出することは大きな気分転換でもあったのである(笑)。

無論私も山口県に入るのはまったくの初めてだったから右も左も分からないものの、とにかく宿泊先のホテルにたどり着いた。それはイベント開催日の前日、1999年9月10日(金曜日)の午後のことだった。

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※我々の宿泊先となったホテル


荷物を置いた我々は早速徒歩で会場まで歩いた。本来ならタクシーに乗るべき距離だったが初めての山口、それも2泊3日しか滞在できないこの地の雰囲気を少しでも記憶に止めておきたいという意志だった...。

会場はNHK文化センターという大変立派なビルの1回フロアーで、我々が様子見に立ち寄ったところ会場内ではブース設営準備のため皆さん忙しく立ち振る舞われていた。

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※写真中央はブースエリア全景。写真下は私たちのために用意していただいたブース


しばらくして私たちのブースにも機材が並べられ、展示のための飾りやアプリケーションのインストールなど準備に入ったが翌日の本番は女性や子供も多く、非常にアットホームな雰囲気の中でイベントは進行していった。

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※当日は熱心な方々が多く集まった!


私は特設エリアでデモをしながらお話しをする予定だったこともあり、その時にはブースを女性スタッフに任せてイベントを楽しませていただいた。

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※キューティマスコットをデモする筆者


イベントは一日だけであり、我々は翌日とんぼ返りをしなければならなかったが、イベントの終了後主催者側の方々にお誘いいただき MacArtist Clubというお店で12, 3人の方々としばしビールなどをいただきながら打ち上げの会にお邪魔させていただいた。

まるで勝手のわからない我々は暖かいお持てなしに頬を緩めることしかできなかったが、その記録は十数枚の写真の中に封じ込められている...。
特に印象が強いのは我々が立ち降りた山口宇部空港がその一週間ほど後に台風に見舞われ、腰の高さまで浸水したというニュースがあったことだ。あのときの空港カウンターも、駅前のバス停も一時は水の中だったらしく被害も大きかったと記憶しているが、その後お世話になった皆さんはお元気なのだろうか...。

さて翌日の日曜日、午後の便で私は羽田に、女性スタッフは千歳に向かうまでの半日を有効に使いたいというスタッフの願いで私たちは朝早くホテルをチェックアウトし、時間的に許される範囲でミニ観光を楽しむことにした。
最初に向かったのはあのザビエル記念聖堂、そして国宝の瑠璃光寺五重塔だ。なるべく点と点をも体験したいというスタッフの願いで車に乗らずにすべて徒歩での移動と相成ったが、その日は猛暑となり大汗をかきながら歩いたことは忘れられない。そして途中やっと見つけた古びた喫茶店の冷房で一息入れた我々は空港に向かった...。

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※ザビエル記念聖堂の前でスタッフが記念撮影(上)。そして国宝の瑠璃光寺五重塔(下)


それはすでに11年も前のことだし、当時撮影したデジタルカメラのデータをあらためて確認するとそのフォーマットがなんとPICTだったのだから何をかいわんやである。
たぶん1人で向かったなら観光など一切せずにそのまま戻ったに違いないが、女性スタッフのお陰で、そして山口のユーザグループの方々の暖かい対応のお陰で類のない気持ちの良いイベント参加ができたのである。
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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員