ゲイツとジョブズの合意の元に生まれた...Mac本がある!!
Macintoshが登場してからちょうど1年と1日後「Macintoshそのインテグレーテッドソフトの世界」がアスキー出版局のマイクロソフトプレスシリーズとして出版された。翻訳本ながら、日本語で読める本格的な出版物としては最初期の一冊だったが、本書はS.ジョブズとB.ゲイツの合意の上で企画された実に珍しい本なのだ。
1984年1月24日、Macintoshが発表された。日本市場に正規に輸入されたのがいつ頃だったかはともかく、私は当時の総代理店からその年の10月に手に入れたと記録に残っている。これでも比較的早い時期の購入だったと思う。
しかし、そのMacintoshに関する情報は極端に少なく、米国の雑誌などから細々と情報を得ていたものの、当時のユーザーは特に日本語による情報に飢えていた。
現在もMacintoshはその市場が数パーセントなどといわれるが、その頃はGUIやマウスなどに理解と興味を示すユーザーも少なく、特別な人向けのパソコンと考えられていた時期だった。したがって現在のような関連機器や製品はもとより、Macintoshをターゲットにした出版物などはほとんどなかった。
勿論、日本総代理店だったイーエスディラボラトリ社から隔月で出ていた情報誌「APPLEマガジン」などではその概要を紹介されてはいたが、全容を見通せるような資料がなかったのである。

※1984年発行「APPLEマガジン」2,3月号。Macintoshの特集が掲載されている
1985年1月25日付で「Macintoshそのインテグレーテッドソフトの世界」が出版されたのは、そんな時代だった。したがって繰り返すが現在のように、一時よりは少なくなったとはいえ、多くの出版物の中の一冊ではなく、文字通り貴重な一冊だった。

※アスキー刊「Macintoshそのインテグレーテッドソフトの世界」表紙
興味深いのは本書の冒頭にある「謝辞」の内容である。それによると本書はマイクロソフト社のビル・ゲイツとApple Computer社のスティーブ・ジョブズの会話から生まれ、企画されたものと記されている。
無論その企画が持ち上がっていたときにAppleは秘密裏にMacintoshの開発に取りかかっていた時期だったわけだが、ビル・ゲイツからマイクロソフト社の新しい出版部門で解説書を出してはどうかという提案があったという。そしてマイクロソフト社側のスタッフの協力はもちろんのこと、 Macintoshのソフトウェア開発グループのリーダーであったジェフ・ハーバーズをはじめグループ全員が協力してくれたとある。
いわば本書は極秘で開発が進められていた当時にあって、Macintoshそのものの開発と平行してできあがった解説書ということになる。したがってこの初版本ではそのソフトウェアに関する解説はマイクロソフト社の製品に重点が置かれているのも致し方ない...。
ともかく「マイクロソフト社のビル・ゲイツはMacintosh好き」という話を聞くことがあるが、特にこの時代においては本当だったようだ。
本書の構成は巻頭でカラーページが4ページあり、アップルコンピュータジャパンおよびキヤノン販売の協力によるMacintoshの美しい写真と共に各部位の解説がなされている。ここでも時代というか、現在では当然となっている "アイコン" という単語にも「行おうとする機能を表すシンボルマーク」などと括弧書きがなされている点が興味深い。
内容はMacintoshの扱い方は勿論、操作の基本、MacPaintやMacWriteの解説と操作、表計算ソフトのMultiplanの使い方、MIcrosoft ChartやMicrosoft FileそしてMicrosoft BASICの説明、コミュニケーション、フロッピーディスクの解説、ビデオスクリーンとキーボードおよびマウスについて、I/Oポートやプリンタならびにモデムのあれこれ、Macintosh対IBM PCとかグラフィックアートおよびフォント、そして将来のアプリケーション像やマイクロコンピュータの未来などについても考察されている。
各内容は現在でも参考になる部分が多く、かなり突っ込んだ内容...例えばドットマトリックス型のプリンタリボンをケースごと取り替えると費用がかさむからと、ケースをドライバーでこじ開けてナイロンリボンを取り替える方法...といったマニアックな記述もある。
興味深いのは内容だけでなく、その裏表紙のデザインも往時を知る者にとっては懐かしい。本書の裏表紙には当時テレビコマーシャルやポスターなどで良く目に付いた、今は亡きイラストレーター ペーター佐藤による「菩薩」のイラストレーションが描かれている。仏像好きな私にとってはたまらないコマーシャルだった点も記憶に残っている)。

※「Macintoshそのインテグレーテッドソフトの世界」裏表紙。ペーター佐藤による菩薩のイラストレーションが懐かしい
本書は約280ページほどの本だが、今となっては特に目新しい内容ではない。しかし、Macintoshユーザーにとっては様々な意味で最初期のApple Computer社がMacintoshに秘めた多くのメッセージを読み取れる貴重な資料なのである。
1984年1月24日、Macintoshが発表された。日本市場に正規に輸入されたのがいつ頃だったかはともかく、私は当時の総代理店からその年の10月に手に入れたと記録に残っている。これでも比較的早い時期の購入だったと思う。
しかし、そのMacintoshに関する情報は極端に少なく、米国の雑誌などから細々と情報を得ていたものの、当時のユーザーは特に日本語による情報に飢えていた。
現在もMacintoshはその市場が数パーセントなどといわれるが、その頃はGUIやマウスなどに理解と興味を示すユーザーも少なく、特別な人向けのパソコンと考えられていた時期だった。したがって現在のような関連機器や製品はもとより、Macintoshをターゲットにした出版物などはほとんどなかった。
勿論、日本総代理店だったイーエスディラボラトリ社から隔月で出ていた情報誌「APPLEマガジン」などではその概要を紹介されてはいたが、全容を見通せるような資料がなかったのである。

※1984年発行「APPLEマガジン」2,3月号。Macintoshの特集が掲載されている
1985年1月25日付で「Macintoshそのインテグレーテッドソフトの世界」が出版されたのは、そんな時代だった。したがって繰り返すが現在のように、一時よりは少なくなったとはいえ、多くの出版物の中の一冊ではなく、文字通り貴重な一冊だった。

※アスキー刊「Macintoshそのインテグレーテッドソフトの世界」表紙
興味深いのは本書の冒頭にある「謝辞」の内容である。それによると本書はマイクロソフト社のビル・ゲイツとApple Computer社のスティーブ・ジョブズの会話から生まれ、企画されたものと記されている。
無論その企画が持ち上がっていたときにAppleは秘密裏にMacintoshの開発に取りかかっていた時期だったわけだが、ビル・ゲイツからマイクロソフト社の新しい出版部門で解説書を出してはどうかという提案があったという。そしてマイクロソフト社側のスタッフの協力はもちろんのこと、 Macintoshのソフトウェア開発グループのリーダーであったジェフ・ハーバーズをはじめグループ全員が協力してくれたとある。
いわば本書は極秘で開発が進められていた当時にあって、Macintoshそのものの開発と平行してできあがった解説書ということになる。したがってこの初版本ではそのソフトウェアに関する解説はマイクロソフト社の製品に重点が置かれているのも致し方ない...。
ともかく「マイクロソフト社のビル・ゲイツはMacintosh好き」という話を聞くことがあるが、特にこの時代においては本当だったようだ。
本書の構成は巻頭でカラーページが4ページあり、アップルコンピュータジャパンおよびキヤノン販売の協力によるMacintoshの美しい写真と共に各部位の解説がなされている。ここでも時代というか、現在では当然となっている "アイコン" という単語にも「行おうとする機能を表すシンボルマーク」などと括弧書きがなされている点が興味深い。
内容はMacintoshの扱い方は勿論、操作の基本、MacPaintやMacWriteの解説と操作、表計算ソフトのMultiplanの使い方、MIcrosoft ChartやMicrosoft FileそしてMicrosoft BASICの説明、コミュニケーション、フロッピーディスクの解説、ビデオスクリーンとキーボードおよびマウスについて、I/Oポートやプリンタならびにモデムのあれこれ、Macintosh対IBM PCとかグラフィックアートおよびフォント、そして将来のアプリケーション像やマイクロコンピュータの未来などについても考察されている。
各内容は現在でも参考になる部分が多く、かなり突っ込んだ内容...例えばドットマトリックス型のプリンタリボンをケースごと取り替えると費用がかさむからと、ケースをドライバーでこじ開けてナイロンリボンを取り替える方法...といったマニアックな記述もある。
興味深いのは内容だけでなく、その裏表紙のデザインも往時を知る者にとっては懐かしい。本書の裏表紙には当時テレビコマーシャルやポスターなどで良く目に付いた、今は亡きイラストレーター ペーター佐藤による「菩薩」のイラストレーションが描かれている。仏像好きな私にとってはたまらないコマーシャルだった点も記憶に残っている)。

※「Macintoshそのインテグレーテッドソフトの世界」裏表紙。ペーター佐藤による菩薩のイラストレーションが懐かしい
本書は約280ページほどの本だが、今となっては特に目新しい内容ではない。しかし、Macintoshユーザーにとっては様々な意味で最初期のApple Computer社がMacintoshに秘めた多くのメッセージを読み取れる貴重な資料なのである。
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