「MACLIFE」創刊は20ページのアップルグッズカタログが

前回の「Mac専門誌『MACLIFE』創刊前夜〜アップルの広告など...」に続き今回はその「MACLIFE」誌創刊第一号の一端を紹介しよう。確かに日本におけるMac専門誌は「MACワールド日本語版」であったが現実の問題としては「MACLIFE」誌がその後のMac雑誌の模範となり目標となっていく...。 


手元にある「MAC+」1号と「MACLIFE」創刊号を比較してみるとその両方が同じく178ページで構成されている。まあ「MACLIFE」創刊の行きがかりについては当サイトの他のトピックを参照いただくとして同じ編集者が関わったのだから不思議ではない。 
ただし「MACLIFE」はBNN社で新たなスタートをきったこともあり、その広告と誌面の内容が著しくこれまでと違う...というより現在から見ると些か異質なほどの内容を持っている。 

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※1987年8月1日創刊「MACLIFE」誌第1号表紙


まず目立つのが巻頭のアップルコンピュータジャパンの広告だ。何とも豪華に見開き連続6ページに渡るカラー広告を載せている。 
表紙裏からの2ページにはエントリーモデルとしてのMacintosh Plusを、続いての2ページはビジネスの発展型モデルと位置づけたMacintosh SE、そして最後の2ページは32ビットのオープンアーキテクチャーモデルと銘打った最初のカラーモデルMacintosh IIの広告に当てている。 
またキヤノン販売は裏表紙の両面だけでなく、アップルに続く目次の次から2ページ見開きでアップルの全国取扱店のリストを誇らしげに記している。 

この「MACLIFE」創刊号特有の編集として目立つ点は他にもある。私自身もグラフィック関連の記事を担当しているし特集の「Macintosh Familyの詳細」と「Macとパソコン通信」というのも読み応えは十分なのだが記事とも広告とも分からない不思議なページが20ページも連続で存在するのである。 
しかし最後の20ページ目には「お問い合わせは...アップル・コレクションまで」とあることでやっとこのカラーの20ページは広告であったかと思うにいたる。ともかく「THE APPLE COLLECTION」と題された全20ページのすべてをカラーで構成されているいわばアップル・グッズのカタログなのだ。 

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※創刊「MACLIFE」誌には THE APPLE COLLECTION と題する20ページものアップル・グッズカタログページが存在した


いま冷静な目で眺めれば良くも悪くも創刊号の貴重なページをそれも広告だとしても20ページを商品カタログで埋めるのは何とも変...というより尋常ではないと思う。しかし当時の購読者はほとんど素直にこうした企画を喜んだという記憶があるのだから面白い。 
とはいえ本当の意図は分かるはずもないが、当時の創刊に向けてのゴタゴタなどを総合的に考えればこの創刊号の編集に当てられた時間は極めて限られたものであったと考えざるを得ない。そしてグッズを扱う企業がBNN社と深いつながりがある会社であったことを考えるとこの20ページはある意味でページを埋める苦肉の策であった可能性も高いと考えられるのではないだろうか。 
しかし今となっては当時のアップル・グッズを知るよい資料となっているのだからこれまた面白い話ではある。 

ともかく「MACLIFE」誌は当初は季刊誌ではあったものの、その後に登場する幾多のMacintosh専門誌にとっても目標とすべく大変高い評価を得る雑誌へと成長していく。そのある意味で創生期からこの世界に足を突っ込んでいたことは今となっては何物にも代え難い貴重な経験・体験だったと感謝している。 
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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員