NIBBLE NOTCH って...知ってますか?
nibbleは「軽く噛む」、notchは「切り目/切れ込み」といった意味。実はこの「NIBBLE NOTCH」は雑な製品だが、Apple IIを活用していた私にとって大切な道具であった。
とはいえ、以下の写真を見てこれが何だが分からなくても一向に恥ではない(笑)。今ではまったく使わない道具なのだから...。

※これがNIBBLE NOTCHだ。子供の電車ゴッコセットに入っている切符切りそのものみたいだった
今日は訳あってApple IIを起動したのでそれに関連する昔話をひとつ...。あの天才スティーブ・ウォズニアックが設計したApple II用の5インチフロッピードライブ「DISK II」は、ディスケットを35トラック、16セクタに分割しデータの読み書きをする。
セクタ内は256バイトのデータが書き込まれるので16セクタ×35トラック×256バイトの計算をすると一枚のフロッピーディスクには143KBのデータを扱うことができることになる(正確には1KBは1,024バイトとして計算するので140KBとなる)。ちなみにくどいようだが単位はMBではなくKBである(笑)。
それはともかく、このフロッピーディスクは内側を不織布で覆われたカバー (エンベローブ)の中に円盤型の磁気媒体が納まっているものだが基本的に片面仕様であった。そしてフロッピーのラベルを正面にして見ると右上にはコの字型のノッチ(切れ込み)があり、この状態で書き込みを可能とし、このノッチを専用のシールなどで塞ぐとライト・プロテクト...すなわち書き込み防止にすることができた。

※5インチフロッピーディスケットのノッチ。これを塞ぐと書き込み防止となった
さて当時のApple IIユーザーの問題はフロッピーの容量が少ないことではなかった。一番の問題はそのフロッピーディスケットが高価だったのだ。1980年前後の記録を確認すると10枚組で16,000円とある(笑)。現在の16,000円でも高いが何しろ20年前の16,000円なのだからおいそれと10枚組は買えないからと実際には一枚づつのばら売りもあった。
というわけで我々はこのフロッピーをそれはそれは大切に使ったものだが、そのうち朗報が入った。それはこれらのフロッピーは片面仕様だが確認するまでもなく磁気媒体は両面コーティングされている。メーカーは保証しないというが裏返しにしてドライブに装備するとそのほとんどが使えるということが分かったのだ。ただしその場合は当然の事ながらそのドライブに装着する位置関係上、ライト・プロテクトのノッチを塞いだ形になるから装着はできても書き込みはできない。それなら同じ位置に同じようにコの字型に切り込みすなわちノッチを入れれば良いではないかということになる…。
事実寸法を測り、内側の磁気媒体の円盤に傷をつけないよう注意してカッターやハサミなどで正確にノッチを切ればほぼ使えることが分かった。何しろ手持ちのフロッピーディスクの枚数が倍になる計算だからこれは大発見である。
ただしカッターやハサミでは失敗もあり得るし、その結果も綺麗とはいえない。
ということで登場したのがこの NIBBLE NOTCHなのである。一見...というか事実電車ゴッコセットかなにかに入っているオモチャの切符切りハサミのようであり、その先端をチョイと加工しただけの簡素なものなのだが、これなら位置やその大きさを間違えることなくノッチが切れるのだから安心だ。


※NIBBLE NOTCHでフロッピーの反対側にノッチを切るところ(上)と、その結果(下)
私がバンクチェックを米国のメーカーに郵送して注文したのが1983年6月で品物が届いたのが9月3日のことだった。価格は19.45ドルと記録がある。

※DISK IIとNIBBLE NOTCHおよび5インチフロッピー
ちなみに私がメーカーへ送る注文書につたない英語で「日本はいま6月の梅雨時である」と書いた。届いた包みにその注文書のコピーが同梱されており、そこには「日本は大変美しい国だと聞いている。是非一度行ってみたいと思っている」と記されていた。
遠い米国のメーカーの、それも知らない誰かとだが、ほんの少しでも気持ちが通った気がして嬉しかったものだ。
とはいえ、以下の写真を見てこれが何だが分からなくても一向に恥ではない(笑)。今ではまったく使わない道具なのだから...。

※これがNIBBLE NOTCHだ。子供の電車ゴッコセットに入っている切符切りそのものみたいだった
今日は訳あってApple IIを起動したのでそれに関連する昔話をひとつ...。あの天才スティーブ・ウォズニアックが設計したApple II用の5インチフロッピードライブ「DISK II」は、ディスケットを35トラック、16セクタに分割しデータの読み書きをする。
セクタ内は256バイトのデータが書き込まれるので16セクタ×35トラック×256バイトの計算をすると一枚のフロッピーディスクには143KBのデータを扱うことができることになる(正確には1KBは1,024バイトとして計算するので140KBとなる)。ちなみにくどいようだが単位はMBではなくKBである(笑)。
それはともかく、このフロッピーディスクは内側を不織布で覆われたカバー (エンベローブ)の中に円盤型の磁気媒体が納まっているものだが基本的に片面仕様であった。そしてフロッピーのラベルを正面にして見ると右上にはコの字型のノッチ(切れ込み)があり、この状態で書き込みを可能とし、このノッチを専用のシールなどで塞ぐとライト・プロテクト...すなわち書き込み防止にすることができた。

※5インチフロッピーディスケットのノッチ。これを塞ぐと書き込み防止となった
さて当時のApple IIユーザーの問題はフロッピーの容量が少ないことではなかった。一番の問題はそのフロッピーディスケットが高価だったのだ。1980年前後の記録を確認すると10枚組で16,000円とある(笑)。現在の16,000円でも高いが何しろ20年前の16,000円なのだからおいそれと10枚組は買えないからと実際には一枚づつのばら売りもあった。
というわけで我々はこのフロッピーをそれはそれは大切に使ったものだが、そのうち朗報が入った。それはこれらのフロッピーは片面仕様だが確認するまでもなく磁気媒体は両面コーティングされている。メーカーは保証しないというが裏返しにしてドライブに装備するとそのほとんどが使えるということが分かったのだ。ただしその場合は当然の事ながらそのドライブに装着する位置関係上、ライト・プロテクトのノッチを塞いだ形になるから装着はできても書き込みはできない。それなら同じ位置に同じようにコの字型に切り込みすなわちノッチを入れれば良いではないかということになる…。
事実寸法を測り、内側の磁気媒体の円盤に傷をつけないよう注意してカッターやハサミなどで正確にノッチを切ればほぼ使えることが分かった。何しろ手持ちのフロッピーディスクの枚数が倍になる計算だからこれは大発見である。
ただしカッターやハサミでは失敗もあり得るし、その結果も綺麗とはいえない。
ということで登場したのがこの NIBBLE NOTCHなのである。一見...というか事実電車ゴッコセットかなにかに入っているオモチャの切符切りハサミのようであり、その先端をチョイと加工しただけの簡素なものなのだが、これなら位置やその大きさを間違えることなくノッチが切れるのだから安心だ。


※NIBBLE NOTCHでフロッピーの反対側にノッチを切るところ(上)と、その結果(下)
私がバンクチェックを米国のメーカーに郵送して注文したのが1983年6月で品物が届いたのが9月3日のことだった。価格は19.45ドルと記録がある。

※DISK IIとNIBBLE NOTCHおよび5インチフロッピー
ちなみに私がメーカーへ送る注文書につたない英語で「日本はいま6月の梅雨時である」と書いた。届いた包みにその注文書のコピーが同梱されており、そこには「日本は大変美しい国だと聞いている。是非一度行ってみたいと思っている」と記されていた。
遠い米国のメーカーの、それも知らない誰かとだが、ほんの少しでも気持ちが通った気がして嬉しかったものだ。
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