ラテ飼育格闘日記(495)

一年で一番季節が良い時期だ。日向に出れば少々汗ばむにしても木陰に入れば涼しさを感じるという外歩きには絶好の季節なのだが、我が娘は外に出たいけど歩きたくない…といった態度を見せ始めた。もともとワンコは夏場に弱いものだが、これから雨期を迎え夏場となれば一年で一番散歩が大変な時期になる。


この原稿を書いている日から後20日もすればラテは満10歳になる。とはいえ野良のときに保護されたラテは正確な誕生日などわかりようもないが、オトーサンたちが6月10日を誕生日と決めたからだ…。

2006年11月12日、横浜の動物病院ではじめてラテと会ったときお聞きした話では、保護されたラテは歯の様子などから生後5ヶ月と診断されたという。その1ヶ月後の12月10日、ラテを受け入れるために引っ越しした家に車に酔ったというラテが連れられて来たわけで、その時点でラテは生後約半年だからその日から6ヶ月遡った6月10日を誕生日とした。

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※そろそろ散歩がきつい時期になってきた


しかし月並みな物言いだが、十年といえば決して短い年月ではない理屈だがオトーサンにとっては実に短い…あっという間の十年だった。無論正確には後半年あるが…。
その間ラテと常に一緒に生活してきたわけで、室内飼いだからして散歩以外は寝るのも食事も皆我々と一緒に過ごしてきたから思い出以前にすでに空気のような当たり前の存在になっているようにも思える。

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※オカーサンが写真を撮っていて歩調が遅れるとラテは必ず振り返って待つ


ただし当初はこの野良を経験せざるを得なかったワンコをいかにしたら幸せにできるか…などと考えたときもあったが、それは烏滸がましいことであり、ラテは我々に幸せと活力と笑顔を多々送り続けてくれる希有な存在となった。文字通りラテのいない日常は考えられない。
とはいえ現実にはこれまでワンコ初心者のオトーサンたちにとって毎日が新しい発見であり、楽しいことは勿論だが大変なあれこれも多々経験してきた。当然、ラテと一緒に…。

ラテが我が家に来た日の夜、紹介してくださった方の言われるとおりのドッグフードを容器に入れて差し出したとき、数秒で平らげたときは驚いた。そしてラテ用にと買って置いたハウスには入らず、オトーサン愛用の電気マッサージチェアで最初の夜を過ごした…。

動物病院に連れて行き、健康診断をしてもらったが、足がしっかりしているから体も大きめになるだろうと言われ、かつ食事の量を少し増やしてもう少し太らせた方が良いとアドバイスを貰ったほどスマートだった。

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※アタシ、歩かないわ!と地面に腹ばいになることが多くなった


甘噛みが酷くてオトーサンの両腕は傷だらけだったこと、駅で首輪が切れて身がすくんだこと、公園デビューした直後はどのようなワンコに対してもほふく前進して近づき仲良くなろうとしていたこと、そんなラテだがノーリードのワンコに前足を噛まれ血を流しながら医者に駆け込んだこと、初めての雪に大はしゃぎだったこと、これまた初めて美容室に連れて行ったときに震えていたこと、マキちゃんやハリーちゃん、そしてクロちゃんたちと公園狭しと駆けづり回ったこと、小学生の女子たちに多々可愛がってもらい一緒に遊んだこと、ノーリードのワンコがいると通報を受けて公園に出向いた警察官に正面向いて吠え立てたこと、オカーサンの口元に怪我をさせたこと、アトピーで目の周りを紫色にしながらの笑顔が痛々しかったこと、雨の日に水溜まりが嫌だとはじめて抱っこを要求したこと、オトーサンとオカーサンが夕立の中、激しい雷鳴にビクビクしながら歩く中でラテが堂々とリードを引いていたこと、ピンクのスカートを穿かせたときお尻を振りながら歩く姿に含み笑いしたオトーサン…。いやいや思い出を書き連ねればきりがない。

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※2人の子供から同時に「お手!」といわれ、真ん中に前足を差し出すラテ(笑)


そんなラテとの生活が丸9年半も続いたわけだが、それが気持ちの上ではほんの一瞬にも思える不思議さ…。
ともかく多くの経験や体験を積み重ね、ラテも随分と落ち着いたワンコになったことは確かだ。甘噛みは一切しないし、拾い食いもほとんどしなくなった。
顔には白いものが目立つようになり、歩き方や動作にも些か余裕というか…緩慢さが見られるようにもなったが、興が乗ればオトーサンと走り回ったりもする。

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※久しぶりに出向いたカフェのテラスでホットドッグを狙う


先日、柴犬の飼い主さんと出会ったときにラテは嬉しさの余り飛び跳ねながらワンコ独特の遊びのポーズを連発した。そのとき「ラテちゃんはいつまでも子供のようで可愛いねぇ」と言われた。
ワンコはそもそも典型的なネオトニーだと言われている。それは動物において、性的に完全に成熟した個体でありながら幼生や幼体の性質が残る現象のことを指すが、まさしくラテはオトーサンたちの娘でもある。ただし時に女房の寝姿を見つめるラテの眼差しを観察していると逆に母親のような慈愛に満ちたものを感じるようになった。

というわけで気温が上がり日射しが強くなってきたので今日の散歩もこれまでより小一時間遅く出たものの、真夏ほどではないにしろ路面の温度も上がり嫌なのだろう。家を出てすぐに排泄したらとことことUターンして家に戻ってしまった(笑)。
これから秋風が吹き始める季節までの間、ラテとの散歩は格闘度合いが高くなる。やれやれ…。



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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員