ダニー・ボイル監督作品映画「スティーブ・ジョブズ」を観て
ダニー・ボイル監督作品の映画「スティーブ・ジョブズ」を観た。批判するために観た(笑)。本作はそのタイトルのようにスティーブ・ジョブズの姿、それも絶妙と評価されてきたプレゼンテーション本番直前の舞台裏をテーマにしたものだ。役者は似ていないし史実とは一線を期した作り方にはどうにも強い違和感があるものの、100%エンターテインメントと捉えるならよく出来た脚本だと感じた。
ここに登場するスティーブ・ジョブズの姿が史実の、実際の姿だと思われては困る...。またスティーブ・ジョブズ役のマイケル・ファスベンダーはどう見てもスティーブ・ジョブズには似ていないしジョン・スカリーもそうだ。なかなか感情移入が出来ない...。
かろうじて違和感なく観ることができるのはジョアンナ・ホフマンとリサ・ブレナンくらいなものだ。ああ、アンディ・ハーツフェルドもまずまずか...。
小道具などはかなり史実を調べて再現しているようだし「原作:ウォルター・アイザックソン」も謳っているものの、これを伝記映画の類と捉えてはそもそも間違いだ。

※ダニー・ボイル監督「スティーブ・ジョブズ」Blu-ray/DVDパッケージ
まあ史実がどうの、実際と違う...といった指摘は野暮であり、映画というエンターテインメントに向かっていう話しではないと考える人もいるかも知れないが、作品のサブタイトルに「…天才の知られざる素顔」とあるように、制作側は「これがスティーブ・ジョブズの真実の姿」と主張した作品なのだから…。
映画はひとつの表現手段だとすれば理屈抜きで楽しむことが肝心だろうが、残念ながら私には作品そのものに没頭できなかった。
しかし史実に拘らず、ひとつの娯楽映画作品だと捉えるなら本作品のコンセプトとその演出、そして脚本は見事だと思う。
この映画は1984年1月24日に発表された初代Macintosh、NeXT Cubeの発表会、そしてアップル復帰後ボンダイブルーのiMacを発表したスティーブ・ジョブズにとって大舞台となった3つの発表会におけるプレゼンテーション直前の舞台裏をテーマにした点は面白い着眼点だ。
開演時間が迫る中、トラブル解決やジョブズの無理難題に奔走する人々が緊迫感を盛り上げるし、その中で人を人とも思わないスティーブ・ジョブズの言動が際立っている。たしかにこれはまさしく3幕の舞台なのだ…。実際登場人物も少ないから、映画でなく舞台で演じた方がより面白いかも知れない。そしてスティーブ・ジョブズ役、ジョアンナ・ホフマン役の役者は文句なく一流の演技者だ。

※1983年製作のMac販促ビデオ「The Macintosh Story」パッケージに使われている写真。Macintoshの開発者たちが映っているが、左から3番目がジョアンナ・ホフマン。一番左がアンディ・ハーツフェルドだ【クリックで拡大】
そういえば、実際にスティーブ・ジョブズに対し社内で一番上手に立ち向かえたスタッフがジョアンナ・ホフマンだった。なにしろアップル時代だけでなくNeXT設立時にもホフマンはジョブズに引き抜かれているのだから信頼関係も特別なものだったのだろうし「ジョブズに一番上手に立ち向かった社員」といった賞賛を受けたという。
映画でもスティーブ・ジョブズとのからみが時間的にも多く圧巻というべきか…。したがって映画作品としては2013年に公開されたアシュトン・カッチャー主演の「スティーブ・ジョブズ」より数段上の作品に思える。
そうした意味においては正直、先入観で積極的に観ようという意欲がなかった私の方が偏屈だったことは確かだ(笑)。しかし本作が忘れ得ぬ感動を与え、後世まで記憶に残るであろう名作かと言われればやはり一過性の作品でしかないとも感じる。
勿論そうした感想は私個人の思いであり、一般的なものであるはずもないが、個人的にはあまりにもリアルなアップルの歴史を追い、体験してきたのでこうしたエンターテインメントを素直に楽しめないのだから仕方がない。これもある種の職業病なのである(笑)。
ここに登場するスティーブ・ジョブズの姿が史実の、実際の姿だと思われては困る...。またスティーブ・ジョブズ役のマイケル・ファスベンダーはどう見てもスティーブ・ジョブズには似ていないしジョン・スカリーもそうだ。なかなか感情移入が出来ない...。
かろうじて違和感なく観ることができるのはジョアンナ・ホフマンとリサ・ブレナンくらいなものだ。ああ、アンディ・ハーツフェルドもまずまずか...。
小道具などはかなり史実を調べて再現しているようだし「原作:ウォルター・アイザックソン」も謳っているものの、これを伝記映画の類と捉えてはそもそも間違いだ。

※ダニー・ボイル監督「スティーブ・ジョブズ」Blu-ray/DVDパッケージ
まあ史実がどうの、実際と違う...といった指摘は野暮であり、映画というエンターテインメントに向かっていう話しではないと考える人もいるかも知れないが、作品のサブタイトルに「…天才の知られざる素顔」とあるように、制作側は「これがスティーブ・ジョブズの真実の姿」と主張した作品なのだから…。
映画はひとつの表現手段だとすれば理屈抜きで楽しむことが肝心だろうが、残念ながら私には作品そのものに没頭できなかった。
しかし史実に拘らず、ひとつの娯楽映画作品だと捉えるなら本作品のコンセプトとその演出、そして脚本は見事だと思う。
この映画は1984年1月24日に発表された初代Macintosh、NeXT Cubeの発表会、そしてアップル復帰後ボンダイブルーのiMacを発表したスティーブ・ジョブズにとって大舞台となった3つの発表会におけるプレゼンテーション直前の舞台裏をテーマにした点は面白い着眼点だ。
開演時間が迫る中、トラブル解決やジョブズの無理難題に奔走する人々が緊迫感を盛り上げるし、その中で人を人とも思わないスティーブ・ジョブズの言動が際立っている。たしかにこれはまさしく3幕の舞台なのだ…。実際登場人物も少ないから、映画でなく舞台で演じた方がより面白いかも知れない。そしてスティーブ・ジョブズ役、ジョアンナ・ホフマン役の役者は文句なく一流の演技者だ。

※1983年製作のMac販促ビデオ「The Macintosh Story」パッケージに使われている写真。Macintoshの開発者たちが映っているが、左から3番目がジョアンナ・ホフマン。一番左がアンディ・ハーツフェルドだ【クリックで拡大】
そういえば、実際にスティーブ・ジョブズに対し社内で一番上手に立ち向かえたスタッフがジョアンナ・ホフマンだった。なにしろアップル時代だけでなくNeXT設立時にもホフマンはジョブズに引き抜かれているのだから信頼関係も特別なものだったのだろうし「ジョブズに一番上手に立ち向かった社員」といった賞賛を受けたという。
映画でもスティーブ・ジョブズとのからみが時間的にも多く圧巻というべきか…。したがって映画作品としては2013年に公開されたアシュトン・カッチャー主演の「スティーブ・ジョブズ」より数段上の作品に思える。
そうした意味においては正直、先入観で積極的に観ようという意欲がなかった私の方が偏屈だったことは確かだ(笑)。しかし本作が忘れ得ぬ感動を与え、後世まで記憶に残るであろう名作かと言われればやはり一過性の作品でしかないとも感じる。
勿論そうした感想は私個人の思いであり、一般的なものであるはずもないが、個人的にはあまりにもリアルなアップルの歴史を追い、体験してきたのでこうしたエンターテインメントを素直に楽しめないのだから仕方がない。これもある種の職業病なのである(笑)。
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