ドキュメンタリー映画「スティーブ・ジョブズ 知られざる男の正体」を観て思うこと
ドキュメンタリー映画「スティーブ・ジョブズ 知られざる男の正体」を観た。それぞれの話題についてはほとんど知り尽くした感があるものの面白いとかよく取材したなあ…といった感想以前に最後まで視聴した素直な印象はといえば、気分が悪くなってきた…。
本作品の原題は「THE MAN IN THE MACHINE」であり、そのまま「機械の男」といった、感情や心を持っていない冷たい男という意味と同時に自分が手がけたプロダクトに対しては異常なほどの愛情を注ぐが、対人間にはそうした感情を持てない人といった意味合いもあるのだろう…。
「酷いこというなあ」と思う方は是非この作品をきちんとご覧いただきたい。スティーブ・ジョブズという男の偉業は偉業としてきちんと伝えているが、彼の非情とも思える言動が次第に観る者の気持ちを沈ませる。やはりどこか怖いほどの拘りと時に異常さを持ち合わせた "クソな男” の姿が浮き彫りにされていく。そしてあらためてスティーブ・ジョブズが率いたAppleという会社、ドキュメンタリー後半の印象を正直に言うなら「Appleってブラック企業なのか?」と思ってしまう…。

さて本作品はドキュメンタリーということでスティーブ・ジョブズ本人のインタビューは当然としても、ベンチャー・キャピタリスト/元タイム誌記者のマイケル・モリッツ、リサを生み認知でもめた若かりし頃の恋人クリスアン・ブレナン、一緒にインドへ旅行した友人でアップル最初期の社員ダニエル・コトキらと共にアタリの設立者ノーラン・ブッシュネル、ハイテクマーケティング・コンサルタントのレジス・マッケンナ、MITのシェリー・タークル、ゼロックスからジョブズに引き抜かれMacintoshエンジニアリング部長だったボブ・ベルヴィールなどなどのインタビューは圧巻だし資料として貴重な映像も含まれている。
ではなぜ我々は、これほどまでにスティーブ・ジョブズに惹かれるのか? それが全編129分という本ドキュメンタリーの大きなテーマのはずだが、スティーブ・ジョブズという人物に関しては当ブログでも「ジョブズ学入門」として多くのアーティクルをご紹介してきたし、それらのかなりの部分はジョブズの影の部分をも描いてきた。しかし面白いといってはなんだが、Appleやジョブズについてネガティブな内容のときに限り、近年Appleユーザーになった人たちから反論のメールをいただく傾向が多い…。しかし、たぶん彼ら彼女らのほとんどはスティーブ・ジョブズに会ったことも生で基調講演を聴いたこともないと思うのだが…。
ということで、そろそろ私たちはApple製品を好むのはともかく、いたずらにAppleという企業やスティーブ・ジョブズという男の影を追い、美化することを止めようではないか!
スティーブ・ジョブズという男は世界を変えたとかAppleを世界一の企業にしたということで類の無い企業人とかビジョナリーといった視点で彼の生涯を捉えるのが一般的になった。しかしスティーブ・ジョブズという我が儘で人を人とも思わないヒッピーだった男が亡くなってもこれだけ騒がれるのは何故なのか…。
Appleという起業は最初からセンセーショナルな伝説に包まれ知られるようになった。「ガレージ企業」「2人のスティーブ」「イケメンの25歳で億万長者」といった具合に…。そして丁寧に歴史を追っていけば、Appleという企業のすべてがスティーブ・ジョブズという男に帰せられるように…悪くいえば…印象操作されてきたことも確かなのだ。
無論そうした原因というか要因のすべてがスティーブ・ジョブズ自身の意志によるものではなく、レジス・マッケンナやマイク・マークラ、マイク・スコットといった一流の企業人たちの頭脳が集約された結果だと思われるが、今後個人的にはそうした伝説の作られていく過程をつぶさに追っていくのも面白いのではないかと思うに至った。
私にとって本ドキュメンタリー映画はあらためてそんな思いに浸る作品だったといえる。
無論Apple創業者の1人であるスティーブ・ジョブズは唯一無比の異才だったが、ジョブズも亡くってすでに5年経つ。我々も彼の “現実歪曲フィールド” の重力(影響)からそろそろ自分を引き離すときが来ているように思うのだ。
ともあれ本ドキュメンタリーは見応えのある、そしてスティーブ・ジョブズ好き、Apple好きも十分考えさせられる貴重な作品に違いないが、私自身はこの2016年という年をAppleから精神的に卒業すべき区切りの年のように感じているのだが…。
本作品の原題は「THE MAN IN THE MACHINE」であり、そのまま「機械の男」といった、感情や心を持っていない冷たい男という意味と同時に自分が手がけたプロダクトに対しては異常なほどの愛情を注ぐが、対人間にはそうした感情を持てない人といった意味合いもあるのだろう…。
「酷いこというなあ」と思う方は是非この作品をきちんとご覧いただきたい。スティーブ・ジョブズという男の偉業は偉業としてきちんと伝えているが、彼の非情とも思える言動が次第に観る者の気持ちを沈ませる。やはりどこか怖いほどの拘りと時に異常さを持ち合わせた "クソな男” の姿が浮き彫りにされていく。そしてあらためてスティーブ・ジョブズが率いたAppleという会社、ドキュメンタリー後半の印象を正直に言うなら「Appleってブラック企業なのか?」と思ってしまう…。

さて本作品はドキュメンタリーということでスティーブ・ジョブズ本人のインタビューは当然としても、ベンチャー・キャピタリスト/元タイム誌記者のマイケル・モリッツ、リサを生み認知でもめた若かりし頃の恋人クリスアン・ブレナン、一緒にインドへ旅行した友人でアップル最初期の社員ダニエル・コトキらと共にアタリの設立者ノーラン・ブッシュネル、ハイテクマーケティング・コンサルタントのレジス・マッケンナ、MITのシェリー・タークル、ゼロックスからジョブズに引き抜かれMacintoshエンジニアリング部長だったボブ・ベルヴィールなどなどのインタビューは圧巻だし資料として貴重な映像も含まれている。
ではなぜ我々は、これほどまでにスティーブ・ジョブズに惹かれるのか? それが全編129分という本ドキュメンタリーの大きなテーマのはずだが、スティーブ・ジョブズという人物に関しては当ブログでも「ジョブズ学入門」として多くのアーティクルをご紹介してきたし、それらのかなりの部分はジョブズの影の部分をも描いてきた。しかし面白いといってはなんだが、Appleやジョブズについてネガティブな内容のときに限り、近年Appleユーザーになった人たちから反論のメールをいただく傾向が多い…。しかし、たぶん彼ら彼女らのほとんどはスティーブ・ジョブズに会ったことも生で基調講演を聴いたこともないと思うのだが…。
ということで、そろそろ私たちはApple製品を好むのはともかく、いたずらにAppleという企業やスティーブ・ジョブズという男の影を追い、美化することを止めようではないか!
スティーブ・ジョブズという男は世界を変えたとかAppleを世界一の企業にしたということで類の無い企業人とかビジョナリーといった視点で彼の生涯を捉えるのが一般的になった。しかしスティーブ・ジョブズという我が儘で人を人とも思わないヒッピーだった男が亡くなってもこれだけ騒がれるのは何故なのか…。
Appleという起業は最初からセンセーショナルな伝説に包まれ知られるようになった。「ガレージ企業」「2人のスティーブ」「イケメンの25歳で億万長者」といった具合に…。そして丁寧に歴史を追っていけば、Appleという企業のすべてがスティーブ・ジョブズという男に帰せられるように…悪くいえば…印象操作されてきたことも確かなのだ。
無論そうした原因というか要因のすべてがスティーブ・ジョブズ自身の意志によるものではなく、レジス・マッケンナやマイク・マークラ、マイク・スコットといった一流の企業人たちの頭脳が集約された結果だと思われるが、今後個人的にはそうした伝説の作られていく過程をつぶさに追っていくのも面白いのではないかと思うに至った。
私にとって本ドキュメンタリー映画はあらためてそんな思いに浸る作品だったといえる。
無論Apple創業者の1人であるスティーブ・ジョブズは唯一無比の異才だったが、ジョブズも亡くってすでに5年経つ。我々も彼の “現実歪曲フィールド” の重力(影響)からそろそろ自分を引き離すときが来ているように思うのだ。
ともあれ本ドキュメンタリーは見応えのある、そしてスティーブ・ジョブズ好き、Apple好きも十分考えさせられる貴重な作品に違いないが、私自身はこの2016年という年をAppleから精神的に卒業すべき区切りの年のように感じているのだが…。
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