PFU社 Omoidori の画質考察

PFU社のアルバムスキャナ「Omoidori」を使っているが、今回はあえてその画質に関して確認しておきたい。スキャナとかカメラというと当然その解像度や画質のスペックを求められるが「Omoidori」の場合は些か環境作りが特殊なので一概には決められない...。


それはあらためて申し上げることではないと思うが、アルバムの写真をスキャン...すなわち撮影するのが「Omoidori」にセットするiPhoneだからだ。「Omoidori」で利用出るiPhone は6s, 6, SE, 5s, 5なので使う機種によりiSightカメラの性能が違うことになる。したがって例えばiPhone 6sなら12メガピクセルだが、iPhone 6なら8メガピクセルとなる。
ちなみに今回私が使ったiPhoneはiPhone 5sなのでやはり800万画素となる。

omoidori0808b.jpg

※OmoidoriにiPhone 5sを装着した例


また「Omoidori」によるスキャンはアルバムに貼られている写真の上に「Omoidori」本体を置き、位置関係を確認することになるが、最大L判サイズの写真撮影を想定している(2L判も撮る機能あり)ものの拡大縮小してスキャンすることはできないし元写真のサイズにより解像度は450dpi~600dpi程度と条件により違ってしまうから一般的なイメージスキャナのように「○○dpiでスキャニング」というわけにはいかない。

そうしたことを念頭に入れて同じ写真を「Omoidori」と同じくPFU社のシートフィードスキャナ iX100でスキャンした違いを確認してみたい。勿論 iX100でスキャンできることは写真がアルバムから問題なく剥がすことができたからで、もし剥がせなかった場合は良くも悪くも「Omoidori」の独壇場となる。

なお例として使った写真は私がこの世に生を受けて始めて写真に撮られたもので1948年(昭和23年)7月5日、お宮参りの記念に写真館で撮ったものだ。したがって誕生日からほぼ1ヶ月経った時期ということになる。なお写真のサイズはL判でプリントされている...。

早速「Omoidori」と iX100 (300dpi設定)でデジタル化してみたが、明度や彩度を含めてまったくレタッチしていないデータを比較して見た。

omoidori0808.jpg

※Omoidoriでスキャンした例【クリックで拡大】


結果「Omoidori」は72dpiで1705×2270ピクセルとなっていたが、iX100は前記したように300dpiで992×1351ピクセルのデータだった。
一目で違うのは色味だ。これは両者のカラープロファイルが違うからというしかないが、元写真に近いのは iX100で撮った方だ。またコントラストが「Omoidori」の方が強く、例えば母が座っている椅子の模様が潰れているものの、iX100の方は元写真に近く再現できている。

iX100_0808.jpg

※iX100でスキャンした例【クリックで拡大】


とはいえこの違いは「Omoidori」がスキャナと呼ばれているにしてもその仕組みはデジタルカメラの撮影なのに対しiX100は原稿に限りなく隣接したイメージセンサーで文字通りスキャンするという仕組みの違いからくるものと考えるしかない。

ただし「Omoidori」によりデジタル化されたデータはiPhoneはもとよりiPadなどで閲覧するにはテカリもなく大変綺麗な画像といってよいし、これまた試しにと再保存の意味を含めてインクジェットカラープリンタでL判に印刷してみたが、十分なクオリティを持った復元写真となった。

無論プリントするなら現実には利用するプリンタに適合するよう明度やコントラスト、あるいは色味といったデータは自由にレタッチできるから実用上両者の差は縮まると考えてもよいだろう。

ということで「Omoidori」による画質をあれこれと心配する必要はないというのが結論だ。無論元写真以上のクオリティで撮れるはずもないが、一端デジタル化すれば加工や編集も可能なわけでアルバムに眠っている貴重な写真は「Omoidori」で素早く簡便にデジタル化して再保存すべきに違いない。


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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員