maclalala2 の籐 シローさんが4月に逝去された...

8月10日の朝、いつものようにTwitterのタイムラインを眺めていたら “籐 シロー“ というワードが目に飛び込んできた。ブログが昨年3月から更新されていなかったこともあり瞬間なにがあったのかが分かった気がして戦慄が走った…。そのツイートでブログ maclalala2で知られている藤シローさんが4月に亡くなられていたことを知った。そしてリツイートではお孫さんの書き込みも…。


お孫さんのツイートだからして残念ながら間違いないようだ。長い間アップル関連の情報を、それもユニークで鋭い視点から我々アップルユーザーに届けてくれていたmaclalala2 ブログの主宰者、籐 シローさんが4月に亡くなられていたとのこと。いままで知らなかった…。

以前当該ブログでも「1985年 クリスマス商戦におけるAppleの動向」というアーティクルをアップした際、文末に簡単なご報告をしたが2013年4月のある日、籐 シローさんからメールをいただきそれがご縁でダンボール二箱分の貴重な資料をお譲りいただくことになった。

籐 シローさんとはメールのやりとりしかご縁がなかったが、実に新鮮でユニークな視点からアップル情報を提供し続けてくださったそのmaclalala2ブログの主宰者にあらためて感謝をしつつ心からご冥福をお祈りする意味で “ほんの少し”、当時の足跡を記録しておきたいと思う。

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※籐 シローさんから譲られた資料のうちバインダー5冊に収まっていたMacintosh黎明期の資料(一部)


「ほんの少し」という意味だが、私が籐 シローさんから初代Macintoshが登場した頃、すなわち黎明期の雑誌や新聞記事・カタログ・MUG 誌などなど今となってはほとんど手に入らない貴重な資料を譲られた際、その事実は公開しても良いもののメールでのやりとりで知り得た個人情報は公開してくれるなといわれていたからだ。勿論それは当然のことだが…したがって公開できるのは「ほんの少し」の差し障りがないことだけとなる。

maclalala2というブログは籐 シローさんにとって三代目のブログだったようだが、私も読者のひとりだった。それはアップルに関することならまずは何でも受け入れようとしていたこともあったが多くのウェブサイトやブログの中でmaclalalaは特筆すべき情報が多かったから定期的に覗かせていただいた。ただしコンタクトをしたことはなかった。

そんな籐 シローさんから…繰り返すがちょうど3年前(2013年)の4月、突然メールをいただいた。メールは冒頭「”Apple の過去は未来よりも面白い”という松田さんのお考えには大変共感しています」から始まり、諸般の事情により「初代 Macintoshが登場した頃の黎明期の雑誌・新聞記事・カタログ・MUG 誌などなど」の書類を整理しなければならなくなったが、私ならひょっとして古い書類にも興味があるかとも思いメールをした…といった意味のことが書かれていた。

文面には「諸般の事情」とあったがブログの読者だった私は詳しい事は知る由もなかったものの籐 シローさんが療養中であったことは承知していた。そして失礼ながらご自分の健康状態からこれまでのような活動は難しくなり少しずつ身辺整理されていることがうかがわれたからそのお申し出の意味を重く受け止めた。
無論その時点で当該資料がどのようなものであるかについては分からなかったが、籐 シローさんが集めたものなら相応貴重なものであろうと私は喜んでダンボール箱2つ分の資料を送っていただくことにした。

ただし届いた内容のうちカタログ類や一部黎明期の雑誌などはすでに所持していたものもあったが、Macintoshが発表される前後からの新聞の切り抜きが時系列に集められていたりと今となっては容易に手にできない貴重なものが多々含まれていた。
そしてリップサービスだったにしろ「松田さんに活用していただければこれらの資料も本望だと思う」といっていただいた。だからこれは譲渡というより「託された」…な…と私は受け取った。勿論私は大喜びだったしその後、早速籐 シローさんからいただいた資料を基に十数篇のアーティクルを書いた。

籐 シローさんは「松田純一氏[Macテクノロジー研究所]のアップルヒストリーがおもしろい。」とご紹介いただいたブログで、私がダンボール二箱分の資料を譲られたことを書いた件に触れ、次のように補足されている。

マック草創期の「私のインキュナブラ=古文書」については何度か当ブログで紹介した。
初めて Macintosh の実物を目の前にしたとき、これはスゴいことになると直感したのを覚えている。Macintosh に関するものは何でも集めてやろうと思った。
しかし技術のシロウトに過ぎない筆者にとっては、誰でも入手できる(しかし時が経てば失われてしまう)新聞雑誌ぐらいしか思いつかなかった。
ともかく、なにもかも時系列でファイルしておこうと考えたものだ。
そんな段ボール2箱分の「古文書」を松田氏に寄贈させていただいた。
死蔵され、滅すべき運命だったものを活用していただければ、これらの資料も本望だと思う。
氏の今後の連載に期待したい。

とはいえとても籐 シローさんのようにはいかないだろうが、いま彼が情熱を持って集めたMacintoshリリース直後からの第一次資料ともいうべきあれこれが当Macテクノロジー研究所にあることは確かだ。これからも少しずつ折に触れ私なりに役立てていきたいと念じている。
そういえば送付状代わりのメールには「お送りした資料にはマックユーザーになるまでの自分の軌跡も重なっていささか愛着があります」とも書かれていたこともあって、これらの資料を手にする度に私はお会いしたことのない籐 シローさんを思い出すだろう...。

それにしてもネットという世界は不思議な世界だ。一度もお会いしたことのない方だとしても波長の合う方の情熱は間違いなく伝わってくるのだから…。
…冒頭に記したお孫さんのツイートによれば、籐 シローさんは最後までiPhoneを手にされていたという…。まあ、私もあと10年ほどもすればあちらの世界に行くことになるかも知れない。そのときは是非 籐 シローさんと熱いMacintosh談義をしてみたい! 籐 シローさん安らかに!


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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員