安価なクリップ型3DグラスとiPhoneで3Dムーピーを撮ってみた

VRグラス ヘッドマウント『VR SHINECON』を手にして」で暫くぶりに3D映像に接したが、結局は出来合のコンテンツより自分で3D動画、すなわちサイドバイサイドの3D動画を作ってみたいと思ったものの簡易的なコンバータソフトで2D映像を変換しただけでは効果は希薄なのでまずは安価なスマホ用3Dレンズを入手して実験を始めた。


手にしたのは「Ashbringer 携帯電話3Dレンズ」と「ELECOM 3D撮影レンズ for iPhone」いう製品だが、価格はELECOM製が約倍ほどする。ただしそれでも3,000円だ(笑)。
したがって大きな期待は望めないものの愛用のiPhone 6s Plusに取り付けて3D動画を撮り、3Dグラスで確認や工夫を試みている。当該アーティクルはそのファーストインプレッションである。

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※「Ashbringer 携帯電話3Dレンズ」(右)と「ELECOM 3D撮影レンズ for iPhone」(左)


本格的なサイドバイサイド3D映像を撮るにはカメラ自体が3D対応のものなど相応の機材がいる。ただし前にはFUJIFILM 3Dデジタルカメラ FinePix REAL 3D W1を買ったこともあるものの個人的に満足できなかったし出来ることならもっと手軽により効果的なコンテンツを撮りたいと考えてきた。

今回手に入れたスマホ用3Dレンズはそうした目的には一番合致したアイテムのように思えた。事実ペンタックスのデジタル一眼レフ *istDシリース用に同種の製品もあるが、スマホ用を調べて見ると同じようなものは複数あるもののどれもOEM製品みたいでどれが良品なのかは手にしてみなければわからない。ということで前記したように2種類をAmazonへ注文した次第..。

仕組み的にはこれでなかなかの効果が生まれることは間違いないはずだ。左右両眼の視差を生み出すため相応に離れた位置に左右別々の鏡を置き、その左右映像を同時にiPhoneカメラで撮影するという仕組みだ。単純だが最低限の精度があればそこそこの3D動画が撮れるはずだし、それを3Dグラスで見れば立体動画が楽しめるという理屈である。

届いた3Dレンズのうち最初に「Ashbringer 携帯電話3Dレンズ」を iPhone 6s Plusにセットして3D動画を撮ってみようとしたが、まずはがっかりした...。
光学精度は期待していなかったが、最初に戸惑ったのは「Ashbringer 携帯電話3Dレンズ」両眼からの映像を左右1つにまとめる境界、すなわち2枚の鏡が90度の角度で合わさっている部分に何の工夫もなされていないため、その鏡の合わせ目の厚みがケラレとして映像にかなり幅を利かしてしまうことだった。

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※「Ashbringer 携帯電話3Dレンズ」(上)の出来は雑で3D動画の中央にケラレの幅が目立ってしまう(下)


つぎに難しいのは iPhone 6s Plusのカメラレンズへ理想的な位置として挟み込むことだ。これがラフだと動画はどうにもならない。

対して「ELECOM 3D撮影レンズ for iPhone」の方は仕組みは同じでiPhoneへのセット位置は正確にやる必要があるが、鏡の厚みが「Ashbringer 携帯電話3Dレンズ」と比べてかなり薄く動画の左右境界にできるケラレの幅が狭いため実際の3D動画作りは「ELECOM 3D撮影レンズ for iPhone」を使うことにした。

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※iPhone 6s Plusに「ELECOM 3D撮影レンズ for iPhone」をセットした例(上)と3D動画撮影画面例(下)。こちらはケラレの幅はかなり狭い


しかし左右の良位置で撮った3D映像は意外なことに3Dグラスで観ればケラレの存在もあまり気にならないこともわかった。そして撮影したシーンによっては確かに3Dの効果は十分に確認でき、なかなか面白い…。

結論めくが、この「3D mini Lens」でビジネス向けのコンテンツ制作は望めないが、適切なVRグラスとの組合せで安価で手軽な3D映像を楽しんだり3D映像の理屈や要点を学ぶ初歩的な教育用ツールとしては面白いと思う…。ちなみに今回3D動画を立体視するVRグラスは冒頭に記した「VR SHINECON」ではなくもっと簡素で安価な「Baseus Virtual 3D Glasses」という折り畳み式の製品を使った。

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※折り畳み式の「Baseus Virtual 3D Glasses」


VRグラスに取り付けるiPhoneの位置調整やiPhone内の動画コンテンツの再生といったコントロールもVRグラスに完全な覆いがないため、いちいちカバーを開けて...といった面倒もなくとても扱い易い。
無論両眼位置の調整や上下ならびに前後の調整も可能なわけで、実用上はこれで十分だった。

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※「Baseus Virtual 3D Glasses」にiPhone 6s Plusをセット


まあ「ELECOM 3D撮影レンズ for iPhone」にしてもラフな作りの3DレンズだからしてiPhoneへのセットアップには十分気を遣うべきだが、立体的な映像を求めるなら撮影する対象も考える必要がある。何の変哲もない風景では立体感はあまり望めない。手前にも木があったり建物の端をフレームに入れるなど前後奥行き感のあるシーンを撮影しなければ効果は半減する。
他人事でなく、これらの簡易3Dセットでこれから様々なシーンを撮影してみようと思っている。さてご覧に入れることができるようなものが撮れるだろうか...(笑)。





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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員