Apple本社「アイコン・ガーデン」の思い出

ご承知のように米国西海岸クパチーノにApple Computer社の本社がある。その広い敷地内の一郭に6,7年前までは大変遊び心のある庭があった。私が名付けた名が「アイコン・ガーデン」...まんまである(笑)。 


確か2002年に訪れたときにはその趣向はすでになかった...。これも2000年1月5日、サンフランシスコで開催のMacWorld Expoで一般公開されたMac OS Xの登場に機縁する出来事だったのかも知れない。 
すなわちMac OS 9からMac OS Xに移行することで事実上Mac OS 9に関わる一連のアイコン・ディスプレイも片付けたのだろう...。しかし最初に見たときの感激が大きかっただけに消滅していた殺風景なその場所を見て大変がっかりしたことを思い出す。 

その場所は本社エントランスに向かって右に位置するApple Company Storeの横に広がる一郭だったが、青々とした芝生の上にMacintoshユーザーにはおなじみのアイコンがオブジェとして数種立てかけられていて、ぬけるようなカルフォルニアの蒼い空とマッチングしていた。 

page3_blog_entry76_1.jpg

page3_blog_entry76_2.jpg

※Apple Computer本社エントランス(上)とアイコン・ガーデン(下)。共に筆者撮影


それらはマウスの基本である手のアイコン、矢印アイコン、時計のアイコン、ペンシルのアイコン、消しゴムアイコンそしてペイント缶アイコンなどがドットそのままに拡大されて芝生の上にディスプレイされていたのである。 
Macintoshユーザーなら実際にこの光景をみれば誰でも驚喜するに違いないし、記念の写真を撮っておきたいと考えるのが人情である。 
だから、私も幾たび同じ場所の写真を撮ったか知れない。 
しかし1998年だったか、ここを訪れたとき皆でそのアイコンを囲んだQuickTime VRを撮ろうと撮影を開始した。ちょうど360度の撮影を終わった直後に向こうから脱兎のごとく大きな体を揺らしながら女性警備員が駆けてきた。何事かと思ったら「ここは撮影禁止だ」というのである。 
数年間の間、一度もそんなことを言われたことはないし、第一ここらあたりに小さなデジタルカメラを振り回して奪われるような秘密が転がっているとは思えない(笑)。また撮影禁止の立て札もない。 

本来嫌みのひとつも言ってやりたかったが、幸い必要なデータは撮影済みだったこともあり、トラブルが大きくなってはまずいと素直に引き下がった。そうして作ったQuickTime VRの出来はあまり良くなかったが(笑)、今でも良い思い出の一コマとなっている。そうした数年の間親しんだ思い出のあるアイコンの庭がなくなってしまったのだから寂しい限りである。 
ではMac OS Xのアイコンを同じように並べたらいいか...というとさすがにそうも行かない。Mac OS 9のシンプルなアイコンだから絵になるのであり例えばMac OS Xのアクア調アイコンが並んだって、面白くはないと思うのだ。 
Appleもこれまでの良いモニュメントのひとつとしてこうした遊び心を残して欲しいと思うのだが...。
関連記事
広告
ブログ内検索
Macの達人 無料公開
[小説]未来を垣間見た男 - スティーブ・ジョブズ公開
オリジナル時代小説「木挽町お鶴御用控」無料公開
オリジナル時代小説「首巻き春貞」一巻から外伝まで全完無料公開
ラテ飼育格闘日記
最新記事
カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール

mactechlab

Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員