小説や脚本書き支援アプリケーション「StoryMill」ファーストインプレッション
今般、永らく温めてきた題材を「[小説]未来を垣間見たカリスマ ~ スティーブ・ジョブズ」という文字通り小説の体でご笑覧いただくことにしたが、当然とはいえこれまで手がけてきた原稿とはアプローチも書き方も、そして資料の集め方もいささか違ったものになり戸惑った。しかしよいツールを見つけた。それが「StoryMill」という小説書き支援アプリケーションである。
そもそもこれまで原稿書きのほとんどを「StoryMill」と同じ開発元の製品「MacJournal」で書いて(入力)いた。大変気に入っているツールだが同じ資料集めにしてもストーリーを考え、登場人物とその性格を決め、それを史実という骨格の中でフィクションを交えて形にしていくのは思ったより煩雑だった。
ということでいろいろと探した結果、Mariner Softwareの「StoryMill」に行き着いた…。

※Mariner Software社「StoryMill」アバウト画面
今回はその概要をレポートしてみるが、メニューが英語なのは「MacJournal」と同じだとしても、機能が充実している分、奥が深くまだ活用の仕方が分からない点もある事をご了承願いたい。
さて「[小説]未来を垣間見たカリスマ ~ スティーブ・ジョブズ」の骨格はスティーブ・ジョブズという男の実話、史実を軸としなければならない。その概要は長い間資料と向き合ってきたから頭の中に入っているつもりだが、細かなシチュエーションや固有名詞、年月日といった数値的なことの確認は資料を確認しなければならない。
ただしこれまで自分のブログに書いた物をデータとしてコピペすることができる部分は非常に楽だが、それ以外はゼロから書かなければならない。
というわけで今も私の机上周りには4冊の書籍と当時の新聞の切り抜き、製品カタログや広告といった一次資料となるべきものを広げた状態にあり、その真ん中に文章を書き、写真などをデジタル化するための iMac 27インチが鎮座している。
正直最初からガチガチにストーリーを練りに練って書くわけでもなく、どちらかといえば思うがままに書き始め、後で何度も読み直していく中で構成を変え、ストーリーの追加や削除を行っていくという方法だから厳格な作業ではない。
「このエピソードは入れよう」と思い立ったことなどを箇条書きのように入力し、それを膨らましていくといったイメージである。
問題はそうした多様で雑多なデータを思い立ったときに書き残し、骨格となる史実とどのように組み合わせるか、この台詞は大人のロッド・ホルトにいわせた方がよいのか、あるいは少年のクリス・エスピノサの方が面白いか…といった思いを重ねていくには多機能とはいえ「MacJournal」だけでは難しい。したがってこれまでは「MacJournal」と同時に「ATOK Pad」を開き、メモ収集の役割を果たしてきた。特に「ATOK Pad」が良いと思ったのはページ毎に別データを持てること、入力中保存に気を使わなくてもよいことだった。
こうして何かをあらたに調べるとか前記したように自身のブログ記事を参考にしようとブラウザを立ち上げるわけで、Macの画面を複数セットしたとしてもそれらを行き来するのは大変だし効率も悪く、比較検討もままならないと感じていた...。
要は可能なら、入力ツールはひとつで済ませたいということだ。モニターのスペース効率においても多くのデータを比較参照してストーリーを練り上げるまでをひとつのソフトウェアで済ませられるなら理想的だと考えた。ただし単なるアウトラインプロセッサー的なものでは「MacJournal」と変わらない...。
さてここまで長々とこれまでの環境や作業手順などにお付き合いいただいたが、「StoryMill 4.0.5」は多機能なワードプロセッシングアプリが基本であることは勿論、アウトラインプロセッサー機能を持ち、沢山のカスタマイズ可能な引出を用意でき、簡易的なデータベース要素を組み合わせているツールだ。
章立ては「MacJournal」でも可能だが、「StoryMill」には登場人物のキャラクター、シーン、場所といったカテゴリー別のソースリストが左サイドバーにずらりと列び、タイトルの入力や各リストの追加や削除が可能になっている。

※「StoryMill」の画面例【クリックで拡大】
例えばひとつのリストをクリックすれば右側にはコンテンツ、メタデータのペインが用意されていることが分かる。
使い方にこれといった決まりがある訳でもないが、一般的にはコンテンツペインには本文ならびに注釈やメモ書きと言ったテキストデータを入力する。
またメタデータのペインには"Notes", "Pictures", "Tags", "Links", "Scenes", "Locations", "Characters" といったタブがあり、"Notes" にはサブデータを "Pictures"には文字通り採用する写真やイラストといったデータを常備しておくことができる。
これらの各ペインの内容はキャラクタやシーンではその構成が違ってくる。特にシーンのペインは章立て、ストーリーライン、場所、キャラクタを日時と組み合わせ構成を組み立てる支援をしてくれる機能が備わっている。
またユニークなのは上部ツールバーにある「Timeline」だ。このウィンドウは秒単位から日、週、月、年といった時間軸上にストーリーがどのように展開し進行していくべきかの大まかな計画をビジュアルに仕立てることが可能な機能だ。

※ストーリー展開を時間軸上にビジュアル化できる「Timeline」機能
各コンテンツペインといった本文はSnapshots機能で原稿を現在の状況を把握しつつ比べながら加筆修正し記録することが出来る。さらに本文がドラフトのどの段階なのか、フィニッシュなのか、あるいは出版レベルなのかといった作業の経過チェックやAnnotation Infoすなわち任意の文字列の注釈をメタデータとして別ウィンドウに入力でき、ポップアップメニューで即閲覧が可能、そして削除したデータは一端 Trash に留まっているので完全に消去するまでは復帰も可能などなど、至れり尽くせりだ。

※現在の原稿内容を把握しつつ比べながら加筆修正することも出来る【クリックで拡大】

※本文の任意のワードに注釈を入力
また小説の構成を考えるとき、各章ごとのボリュームすなわち文字数などを管理統一する必要も出てくる。無論そうした大層なこではなく原稿を何文字以内に書こうとする場合でも良いが「StoryMill」では指定した文字数に至るとサウンドで知らせてくれるだけでなくその進捗状況はツールバー上の “Project Goal” にあるプログレスバーで示してくれる。さらにそれだけではなく、ページ数や文字数はもとより作業時間を分単位に監視し、例えば原稿書きを一時間にセットすればその時間になるとこれまたサウンドで知らせてくれる。

※作業の進捗を示してくれる “Project Goal” 機能
その他、書き切れないがフルスクリーン・モード、指定時間毎に自動でファイル保存、一時的に「StoryMill」表示全体を半透明にして重なっている原稿などを確認する機能(Fade Window)なども効率よく安心して執筆が出来る環境作りには大切だ。
要は...ひとつひとつのシーンの構成を準備し、それを章として組み立て一本の小説に仕上げるための様々なデータの置き場所が用意され、比較検討しつつ本文入力が出来るように後押ししてくれるわけだ。
「StoryMill」は英語メニューだが日本語の入力は問題なくできる。そして「MacJournal」とインターフェイスが同種の部分もあって私には取っつきやすい。しかしこれは是非にも完全日本語版が欲しいアプリケーションだ!
そもそもこれまで原稿書きのほとんどを「StoryMill」と同じ開発元の製品「MacJournal」で書いて(入力)いた。大変気に入っているツールだが同じ資料集めにしてもストーリーを考え、登場人物とその性格を決め、それを史実という骨格の中でフィクションを交えて形にしていくのは思ったより煩雑だった。
ということでいろいろと探した結果、Mariner Softwareの「StoryMill」に行き着いた…。

※Mariner Software社「StoryMill」アバウト画面
今回はその概要をレポートしてみるが、メニューが英語なのは「MacJournal」と同じだとしても、機能が充実している分、奥が深くまだ活用の仕方が分からない点もある事をご了承願いたい。
さて「[小説]未来を垣間見たカリスマ ~ スティーブ・ジョブズ」の骨格はスティーブ・ジョブズという男の実話、史実を軸としなければならない。その概要は長い間資料と向き合ってきたから頭の中に入っているつもりだが、細かなシチュエーションや固有名詞、年月日といった数値的なことの確認は資料を確認しなければならない。
ただしこれまで自分のブログに書いた物をデータとしてコピペすることができる部分は非常に楽だが、それ以外はゼロから書かなければならない。
というわけで今も私の机上周りには4冊の書籍と当時の新聞の切り抜き、製品カタログや広告といった一次資料となるべきものを広げた状態にあり、その真ん中に文章を書き、写真などをデジタル化するための iMac 27インチが鎮座している。
正直最初からガチガチにストーリーを練りに練って書くわけでもなく、どちらかといえば思うがままに書き始め、後で何度も読み直していく中で構成を変え、ストーリーの追加や削除を行っていくという方法だから厳格な作業ではない。
「このエピソードは入れよう」と思い立ったことなどを箇条書きのように入力し、それを膨らましていくといったイメージである。
問題はそうした多様で雑多なデータを思い立ったときに書き残し、骨格となる史実とどのように組み合わせるか、この台詞は大人のロッド・ホルトにいわせた方がよいのか、あるいは少年のクリス・エスピノサの方が面白いか…といった思いを重ねていくには多機能とはいえ「MacJournal」だけでは難しい。したがってこれまでは「MacJournal」と同時に「ATOK Pad」を開き、メモ収集の役割を果たしてきた。特に「ATOK Pad」が良いと思ったのはページ毎に別データを持てること、入力中保存に気を使わなくてもよいことだった。
こうして何かをあらたに調べるとか前記したように自身のブログ記事を参考にしようとブラウザを立ち上げるわけで、Macの画面を複数セットしたとしてもそれらを行き来するのは大変だし効率も悪く、比較検討もままならないと感じていた...。
要は可能なら、入力ツールはひとつで済ませたいということだ。モニターのスペース効率においても多くのデータを比較参照してストーリーを練り上げるまでをひとつのソフトウェアで済ませられるなら理想的だと考えた。ただし単なるアウトラインプロセッサー的なものでは「MacJournal」と変わらない...。
さてここまで長々とこれまでの環境や作業手順などにお付き合いいただいたが、「StoryMill 4.0.5」は多機能なワードプロセッシングアプリが基本であることは勿論、アウトラインプロセッサー機能を持ち、沢山のカスタマイズ可能な引出を用意でき、簡易的なデータベース要素を組み合わせているツールだ。
章立ては「MacJournal」でも可能だが、「StoryMill」には登場人物のキャラクター、シーン、場所といったカテゴリー別のソースリストが左サイドバーにずらりと列び、タイトルの入力や各リストの追加や削除が可能になっている。

※「StoryMill」の画面例【クリックで拡大】
例えばひとつのリストをクリックすれば右側にはコンテンツ、メタデータのペインが用意されていることが分かる。
使い方にこれといった決まりがある訳でもないが、一般的にはコンテンツペインには本文ならびに注釈やメモ書きと言ったテキストデータを入力する。
またメタデータのペインには"Notes", "Pictures", "Tags", "Links", "Scenes", "Locations", "Characters" といったタブがあり、"Notes" にはサブデータを "Pictures"には文字通り採用する写真やイラストといったデータを常備しておくことができる。
これらの各ペインの内容はキャラクタやシーンではその構成が違ってくる。特にシーンのペインは章立て、ストーリーライン、場所、キャラクタを日時と組み合わせ構成を組み立てる支援をしてくれる機能が備わっている。
またユニークなのは上部ツールバーにある「Timeline」だ。このウィンドウは秒単位から日、週、月、年といった時間軸上にストーリーがどのように展開し進行していくべきかの大まかな計画をビジュアルに仕立てることが可能な機能だ。

※ストーリー展開を時間軸上にビジュアル化できる「Timeline」機能
各コンテンツペインといった本文はSnapshots機能で原稿を現在の状況を把握しつつ比べながら加筆修正し記録することが出来る。さらに本文がドラフトのどの段階なのか、フィニッシュなのか、あるいは出版レベルなのかといった作業の経過チェックやAnnotation Infoすなわち任意の文字列の注釈をメタデータとして別ウィンドウに入力でき、ポップアップメニューで即閲覧が可能、そして削除したデータは一端 Trash に留まっているので完全に消去するまでは復帰も可能などなど、至れり尽くせりだ。

※現在の原稿内容を把握しつつ比べながら加筆修正することも出来る【クリックで拡大】

※本文の任意のワードに注釈を入力
また小説の構成を考えるとき、各章ごとのボリュームすなわち文字数などを管理統一する必要も出てくる。無論そうした大層なこではなく原稿を何文字以内に書こうとする場合でも良いが「StoryMill」では指定した文字数に至るとサウンドで知らせてくれるだけでなくその進捗状況はツールバー上の “Project Goal” にあるプログレスバーで示してくれる。さらにそれだけではなく、ページ数や文字数はもとより作業時間を分単位に監視し、例えば原稿書きを一時間にセットすればその時間になるとこれまたサウンドで知らせてくれる。

※作業の進捗を示してくれる “Project Goal” 機能
その他、書き切れないがフルスクリーン・モード、指定時間毎に自動でファイル保存、一時的に「StoryMill」表示全体を半透明にして重なっている原稿などを確認する機能(Fade Window)なども効率よく安心して執筆が出来る環境作りには大切だ。
要は...ひとつひとつのシーンの構成を準備し、それを章として組み立て一本の小説に仕上げるための様々なデータの置き場所が用意され、比較検討しつつ本文入力が出来るように後押ししてくれるわけだ。
「StoryMill」は英語メニューだが日本語の入力は問題なくできる。そして「MacJournal」とインターフェイスが同種の部分もあって私には取っつきやすい。しかしこれは是非にも完全日本語版が欲しいアプリケーションだ!
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