Mac 128KとMac Plus 外観の違いについて

先日知人とオールドマックの話題となり、Mac 128KからMac Plusに至る相違について話していた...。通り一遍の違いについてはすでに知られていることばかりだが、実は些細な事ながら知人が認識していない外観の相違部分が存在する...。 


機会のあるごとに申し上げているが、すでに20数年も前のマシンに興味を向けること自体が希有なことなのかと思う。しかしオールドMacはそれだけの魅力を備えている。 
思うにその魅力とは「20年も前のOSやアプリケーションをそのまま体現できる」ことは勿論、「GUIを備えたパソコン初期の形を確認できること」そして「現在までのハード・ソフトの進化ついて身をもって知ることが出来る」ことなどが挙げられるのではないか...。 
どれもこれも実用面というより知的好奇心を刺激することが好まれる要因だと思う。 
ただし当サイトのコンセプトにも通じるが、古いもの...過去の製品をきちんと評価することは未来の価値ある足がかりになると信じている。 

Mac 128KからMac 512K、そしてMac Plusに至るコンパクトMacの相違点はすでに言い尽くされてきた。ただしMac 512Kについては128Kのメモリが4倍になっただけと見ることができるがMac 128KとMac Plusの違いはメモリだけでなく外観的にも多々存在する。 
そうした点について当サイトでもいくつかご紹介してきたが、繰り返すならケース内部のサインの違い、背面のインターフェースの違い、そしてMac 128Kフロントにはなかった製品名表記がMac Plusには"Macintosh Plus"と記されるようになったこと、さらにMac 512Kまで背面にあったアップルロゴとMacintoshロゴのエンブレムがMac Plusでは無くなっていることが挙げられる。 
無論製作された年代とロットの違いにより本体の色味もベージュからプラチナホワイトまでの製品が作られた。 

さてここでクエスチョンをひとつ! 
小ネタではあるが、上記の他にMac 128KとMac Plusの外観的違いはどのようなものがあるか? 
繰り返すが、本体カラーでもなく、エンブレムの有る無しでもない...。勿論本体の外観に関わる問題だからケース内部のサインとかキーボーが違うといったことではない。 
こうしたクエスチョンに即答できる人は、かなりオールドマックに詳しい方に違いない。事実Mac 128KとPlusを手元に置き、日々眺めていなければどうでも良いこととして見逃されているに違いない(笑)。ただし違いは明白である。 
先の知人もオールドマックのファンの一人だがMac 128Kを所有していないので知らなかったという。 

では早速回答である。それはアイコンやロゴの使い方に大きな違いがあることだ。これは比較すればすぐ分かる...。 
両機種の違いはMac 128Kがロゴやアイコンを表現する方法として、角を丸くした四角形の中に収めていたのをMac Plusでは廃止し、直接アイコンが表示されるようになったことである。 
具体的にそれらを示そう。 
まず筐体フロントに目立つ存在して6色のアップルロゴが貼り付けられているが、Mac 128Kのアップルロゴプレート自体は四角形であり、Mac本体もその四角いプレートを収めるように型取られている。それに対してMac Plusのアップルロゴはリンゴの形状がそのまま本体に埋め込まれているという違いがある。 

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※Macintoshのフロントにあるアップルロゴの作りの違い。左がMac 128Kで右がMac Plus。Mac 128Kのそれは矩形がベースになっている


こうした類の違いは他にも共通して見られる。 
Macintosh本体にはケーブルの差し込みを間違わないように、あるいは操作性を明確にするためにいくつかのアイコンが配されている。 
Mac 128KとMac Plusはインターフェースの違いやペリフェラルの進化に関係して各アイコンに多少の違いも見られるが基本的には同じである。それらは正面ならモニターの輝度調節つまみの下、キーボードケーブル・ポート、そして背面ならバッテリーカバーやインターフェースコネクタ位置の各ポートや盗難防止のロック穴などである。 

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※モニターの輝度調節つまみのアイコン。前例と同様に左がMac 128Kである


これらのアイコンについて、Mac 128Kを見てみると電源コネクタなどの一部を除けばそれぞれのアイコンはやはり矩形の中におさめられているのだ...。このことはあらためて確認するなら、Mac 128Kに付属していたワンボタン・マウスやショートキーボードに刻印されているアップルロゴも同種の手法でデザインされている。これらは当然きちんとした意図があってなされたデザインと見るべきだろう。 

対して同様な箇所についてMac Plusを確認してみよう...。その違いは一目瞭然である。Mac Plusの各アイコンは矩形の中ではなくそれぞれのアイコンデザインがそのまま刻印されている。 
勿論Mac Plusのこの手法はその後のMacintoshに踏襲されていく。 

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※バックのインターフェース部位にあるアイコン。上がMac 128Kで下がMac Plus


ではなぜこの違いが生じたのか...。それは残念ながら今となっては知る由もないが、想像力を逞しくすれば少しは真意に近づくことができるかも知れない。 
Mac 128Kの手法だと回りの矩形が凸で内側が凹面、そして肝心のアイコンが凸となる。対してMac Plusの方法だと回りがないだけアイコンそのものは凹形で彫ったイメージになる。最初のMacintosh、すなわちMac 128K筐体デザインのアイコンは先のアップルロゴと同様にあくまで矩形の中に収まった主張がコンセプトとなっているわけだ。 
もしコストを際限なく使えたなら、スティーブ・ジョブズは各アイコンを6色アップルロゴと同様にエンブレム化して埋め込みたかったのではあるまいか(笑)。 
暑い一夜...そんなことを夢想させるMac 128Kであった。 
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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員