時代小説「首巻き春貞 小石川養生所始末」を自身の誕生日に公開
筆者の誕生日に初めての時代小説を公開することにした。読んでいただける方がどれほどいらっしゃるかは心許ないが、ある意味これは自身へのプレゼントでもある!
私は池波正太郎、藤沢周平、佐伯泰英、司馬遼太郎らのいわゆる時代小説のファンである。しかしまさか自分が時代小説を書くとは正直思いもよらないことだった。
それが今年 (2017年) の春先、急に「書きたい」と思った。
まさしくいきなりストーリーやプロットが浮かび、主人公を初めとする登場人物たちが自然に自己主張し始めた。
大げさに思えるかも知れないが本当である。

自分なりに分析するなら、良くも悪くもこれまで見聞きした時代小説は膨大な量でもあり、流行り言葉でかつ大仰に例えるなら、そうしたビッグデータが私の頭の中で何らかの形を取り、自分なりに興味のあるストーリーやプロットを生み出したのではないかと思っている。
それらしいものが書けるかどうか、それはやってみなければわからない。
それに歳を取ると言うことは実に過酷なことだ。自身は30代とか40代の自分とそう変化はないと思っているが体が思うように動かないし記憶力も落ちていることがわかる。せめて興味のあることに向かう意欲は衰えたくないと思っていた矢先だから、これは良い刺激でありモチベーション向上の試みであると考えた。
江戸時代中期の風俗や言葉、医療、食べ物などなどこれまで気にも留めなかったことを織り込まなければならない。数十冊の書籍や資料を集めてにわか勉強を始めた。しかしそのことを面白く楽しく感じる自分がいることにまずは驚き、意欲高揚を目的として一編の小説を書いてみるのも自分にとっては大きな意味のあることではないかと挑戦をしてみた。
ともあれ舞台は小石川養生所である。
となれば主人公は榊原伊織と大岡越前となり竹脇無我と加藤剛の顔が浮かぶ(笑)。しかし基本は可能な限り史実に忠実でありたいと考えたし時代考証もこれまたできうる限りリアルなものにしたいと考え、養生所の肝煎は史実通り小川笙船とし、他の本道や外科・眼科の医師たちも実在の人たちを配した。
ただし主人公は得体の知れない風来坊、ヒロインは尾張藩江戸家老の一人娘とした。勿論フィクションだ。
さらに尾張藩主やその背景に関しては史実に頼ったが、家老や登場人物は架空の名である。また南町奉行所の奉行、大岡越前は申し上げるまでもなく実在の人物だが、登場させた与力や同心たちの名はこれまた創作である。
ストーリーはあまり深刻な展開はせず、心安らかに読めるようにと考えた。しかし何らかのリアリティを求めるとすれば時代小説の魅力は主人公たちの生き様はもとより、やはり剣術の魅力に他ならない。
この点も多くの文献を参考にさせていただき、尾張柳生新陰流の名手である主人公を引き立たせるべく気を遣った。そしていくつか剣を振るうシーンもあるが、私自身居合いの真似事をしていることが意外と役にたった。とはいえ柳生新陰流の一端を主人公に語らせているものの、それはあくまで筆者の勝手な解釈なので念のため。
また手前味噌ながら本小説には小石川養生所の設立当時の出来事が表現はフィクションながら史実を重視して書かれている。したがって養生所の描写は勿論、当時の医療、町火消し、湯屋といった江戸中期の風俗などにも興味を持っていただけたら嬉しい。
ということで、本編はまさしく筆者自身が楽しんで執筆したものだ。
考えたプロットの通りにシーンを決め、登場人物を決めると彼ら彼女らが自然に江戸の町を歩き回る様が手に取るように見える気がした。
一番厄介だったことは自身が考えたストーリーに時代考証をマッチングさせることだったが、いかんせん、にわか仕立ての小説故不備も間違いも多々あろうかと思う。しかし虚の世界を作る面白さを知ってしまったような気がして些か困惑もしている。それでも一般的な文庫本1冊分の量を2ヶ月半ほどで書き上げた。

※PDFをダウンロードし例えばKindleにインストールすれば電子ブックとして利用できる
最後に、小説ではあえて説明していない事項も多い。例えば大岡忠相と主人公の出会い、岡っ引きの親分や「い組」の頭とどのように親交を持ったのかなどなどだ。これらを説明するとそれだけでページが増え、緊張感が間延びするように思えたのであえて次回作への布石と考えた。
縦書きで執筆したデータはPDFとしてMacTechnology Lab.ウェブサイトに載せた。そのままブラウザでお読みいただけるが、例えばダウンロードしていただき Kindle にインストールすればまさしく電子ブックとしてご利用いただける。
ともあれお一人でも楽しんでいただければ嬉しい。
■時代小説「首巻き春貞 小石川養生所始末」
私は池波正太郎、藤沢周平、佐伯泰英、司馬遼太郎らのいわゆる時代小説のファンである。しかしまさか自分が時代小説を書くとは正直思いもよらないことだった。
それが今年 (2017年) の春先、急に「書きたい」と思った。
まさしくいきなりストーリーやプロットが浮かび、主人公を初めとする登場人物たちが自然に自己主張し始めた。
大げさに思えるかも知れないが本当である。

自分なりに分析するなら、良くも悪くもこれまで見聞きした時代小説は膨大な量でもあり、流行り言葉でかつ大仰に例えるなら、そうしたビッグデータが私の頭の中で何らかの形を取り、自分なりに興味のあるストーリーやプロットを生み出したのではないかと思っている。
それらしいものが書けるかどうか、それはやってみなければわからない。
それに歳を取ると言うことは実に過酷なことだ。自身は30代とか40代の自分とそう変化はないと思っているが体が思うように動かないし記憶力も落ちていることがわかる。せめて興味のあることに向かう意欲は衰えたくないと思っていた矢先だから、これは良い刺激でありモチベーション向上の試みであると考えた。
江戸時代中期の風俗や言葉、医療、食べ物などなどこれまで気にも留めなかったことを織り込まなければならない。数十冊の書籍や資料を集めてにわか勉強を始めた。しかしそのことを面白く楽しく感じる自分がいることにまずは驚き、意欲高揚を目的として一編の小説を書いてみるのも自分にとっては大きな意味のあることではないかと挑戦をしてみた。
ともあれ舞台は小石川養生所である。
となれば主人公は榊原伊織と大岡越前となり竹脇無我と加藤剛の顔が浮かぶ(笑)。しかし基本は可能な限り史実に忠実でありたいと考えたし時代考証もこれまたできうる限りリアルなものにしたいと考え、養生所の肝煎は史実通り小川笙船とし、他の本道や外科・眼科の医師たちも実在の人たちを配した。
ただし主人公は得体の知れない風来坊、ヒロインは尾張藩江戸家老の一人娘とした。勿論フィクションだ。
さらに尾張藩主やその背景に関しては史実に頼ったが、家老や登場人物は架空の名である。また南町奉行所の奉行、大岡越前は申し上げるまでもなく実在の人物だが、登場させた与力や同心たちの名はこれまた創作である。
ストーリーはあまり深刻な展開はせず、心安らかに読めるようにと考えた。しかし何らかのリアリティを求めるとすれば時代小説の魅力は主人公たちの生き様はもとより、やはり剣術の魅力に他ならない。
この点も多くの文献を参考にさせていただき、尾張柳生新陰流の名手である主人公を引き立たせるべく気を遣った。そしていくつか剣を振るうシーンもあるが、私自身居合いの真似事をしていることが意外と役にたった。とはいえ柳生新陰流の一端を主人公に語らせているものの、それはあくまで筆者の勝手な解釈なので念のため。
また手前味噌ながら本小説には小石川養生所の設立当時の出来事が表現はフィクションながら史実を重視して書かれている。したがって養生所の描写は勿論、当時の医療、町火消し、湯屋といった江戸中期の風俗などにも興味を持っていただけたら嬉しい。
ということで、本編はまさしく筆者自身が楽しんで執筆したものだ。
考えたプロットの通りにシーンを決め、登場人物を決めると彼ら彼女らが自然に江戸の町を歩き回る様が手に取るように見える気がした。
一番厄介だったことは自身が考えたストーリーに時代考証をマッチングさせることだったが、いかんせん、にわか仕立ての小説故不備も間違いも多々あろうかと思う。しかし虚の世界を作る面白さを知ってしまったような気がして些か困惑もしている。それでも一般的な文庫本1冊分の量を2ヶ月半ほどで書き上げた。

※PDFをダウンロードし例えばKindleにインストールすれば電子ブックとして利用できる
最後に、小説ではあえて説明していない事項も多い。例えば大岡忠相と主人公の出会い、岡っ引きの親分や「い組」の頭とどのように親交を持ったのかなどなどだ。これらを説明するとそれだけでページが増え、緊張感が間延びするように思えたのであえて次回作への布石と考えた。
縦書きで執筆したデータはPDFとしてMacTechnology Lab.ウェブサイトに載せた。そのままブラウザでお読みいただけるが、例えばダウンロードしていただき Kindle にインストールすればまさしく電子ブックとしてご利用いただける。
ともあれお一人でも楽しんでいただければ嬉しい。
■時代小説「首巻き春貞 小石川養生所始末」
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