当研究所に待望の Lisa2 が入所!そのファーストインプレッション
Macが登場した1984年の前年にAppleからLisaがリリースされたことは周知のとおりである。Lisaはその革新性で話題を独占したもののビジネスとしては不成功に終わり、税金対策から売れ残った約2700台を破砕しユタ州の埋立処分場に埋めたことはショッキングなニュースとして私などにはまだまだ記憶の端に残っている...。それはともかく今般Lisa 2が当研究所に鎮座することになった。
「なぜ今頃 Lisaなのか...」について説得力のある説明をするのは難しい...。
販売からすでに25年も経っているマシンをいま手に入れることにどれほど意味があるのか...と問う人もいるかも知れないが、私にとっては決して骨董趣味から出た興味ではないのである。
私は現在Mac Pro (Early 2008) 2.8GHz/8コアマシンを便利に使っているが、今年最新のMac Proが登場したニュースに接してもワクワク感がまったく感じられない...。どうやら実用品としてのパーソナルコンピュータには慣れすぎてしまったのか。
反して今般まさしく縁があって手に入れたLisa 2を前にすると、なにか若かりし時代の恋人にでも再会したようなワクワク感でいっぱいなのである。

※セットアップの前に記念撮影したLisa 2とCF化したProFile
それにMacintoshのGUI (グラフィカル・ユーザーインターフェース)を研究し、より理想的なGUIを求めようとする立場から考えるなら、Macintoshの前にLisaが存在したことは紛れもない事実である。そしてパーソナルコンピュータとしてはじめてGUIを搭載したLisaはまさしくMacintoshの母親的な存在ということになる。
無論LisaのオペレーションはMacintoshと同一ではなく例えばマルチタスクをサポートし電源のOFFもソフトウェア的に行うなどまさしく革新的なマシンであり1984年に登場したMacintoshより優れていた部分が多かったのも事実なのだ。
Appleのスティーブ・ジョブズらがゼロックス社のパロアルト研究所を視察した際にインスピレーションを得てLisaプロジェクトはGUIを持つことになったが、Lisaそのものが商業的には失敗したこともあって製品は短命に終わり、その仔細な能力や魅力については納得のいく情報がいたって少ないのも事実である。それは例えばGoogleでLisaを検索してみればお分かりになるに違いない。
Macintosh開発者のひとりでファインダの共作者だったスティーブ・キャプスはMacintoshの仕様について「みんなは、(マックのGUIは) ゼロックスからぱくったって思ってるらしいけど、本当はリサから盗んだのさ」と発言しているくらいLisaはMacintoshの生みの親でもあるのだ。
“盗んだ”とは文字通りのことでなく、例えばビル・アトキンソンなどはLisaとMac両方の開発にたずさわったわけだから製品のコンセプトは別にしても似ていても不思議はないわけだし事実彼がLisaのために書いたウインドウマネージャー、メニューマネージャー、イベントマネージャーをアンディ・ハーツフェルドがMacintoshのQuickDrawとして移植したものがその基本グラフィックルーチンになった。
そして事実MacintoshとLisaは平行して開発がなされており、Lisaプロジェクトのリーダーだったジョン・カウチとMacintoshプロジェクトのリーダーだったスティーブ・ジョブズはLisaとMacのどちらが先に出荷できるかを競って賭をした逸話も残っている。
無論事実が証明するようにLisaの販売が先行しスティーブ・ジョブズは5,000ドルの掛け金を払ったという。
私自身、これまでLisa1あるいはLisa2の実機をさらわせてもらったことがあるものの、時間的な制約もありその体験は十分なものではなかった。さらにLisaの在庫はユタ州の埋立処分場に埋められたこともあって一部の熱狂的なユーザーを別にすればその存在は忘れ去れることになる...。
それにLisaに限らないが、30年近くにも前のマシン...それもProFileというハードディスクや特殊な5.25インチのツゥイギーフロッピーディスクドライブは壊れやすく、純正の構成のままできちんと起動できるマシンがどれほど現存しているかは大変心許ない。というか、近年何回かLisaを眼前にする機会があったもののきちんと動作するマシンは皆無といってよいほどだった。
勿論Lisaについて調べるには現物を手にすることが不可欠だし、事実これまでにもその機会がなかったわけではない。しかしもし入手できたとしても安定した動作が保証できないマシンでは思うように調べることもできないしリスクが大きすぎるので手に入れることを躊躇ってきた...。
無論日本国内はもとよりだが例えばeBayといった海外オークションなどにはたまたま動作するというLisaが出品されることもあるが、価格はともかくとしても海外から送られてきたマシンが何のトラブルもなく動作すると考えるのはいかにもお目出度すぎるだろう。だから...正直Lisaを手元に置くことは諦めていたのである。
しかし願うことは叶うのかも知れない...。長い間恋い焦がれてきた甲斐があったのか、チャンスは意外な方向から開けてきた...。
とあるご縁からLisaに大変お詳しい方と知り合うことができ、その方のご厚意ご尽力により現時点で比類のないほど状態のよいLisa2を手に入れることができたのである。まさしく私にとっても最後のチャンスであったに違いない...。
ところでLisa1とかLisa2といっているが、まずはその違いを明確にしておかねばならない。
Lisa1とは1983年1月19日にAppleから正式に発表された文字通り最初のLisaを意味する。ちなみにこの“LISA”という名は若かりし頃スティーブ・ジョブズの恋人が生んだ子供の名前から取ったのだと囁かれてきた。ただし公式には “LOCAL Integrated Software Architecture” の略だとされているがいかにもこじつけたような名だ(笑)。実際「マッキントッシュ伝説」(アスキー出版局刊)の中でLisaプロジェクトのリーダーだったジョン・カウチはLisaという名前はジョブズの娘の名に由来していることを認めている。それどころか当時開発プロジェクトのコードネームだったLisaはジョブズ自身が付けた名だという。
ともかくLisaはCPUが5MHzのモトローラ 68000、1MBのRAMと容量860KBの5.25インチのツゥイギーフロッピーディスクドライブ2台を装備し、もともとApple III用に開発された外付けProFile という5MBハードディスクで構成された。そしてキーボードとワンボタンマウス、12インチで720×364ピクセルのビットマップ・モノクロディスプレイといった仕様だった。
さらにLISA 7/7 Office Systemといわれている LisaCalc, LisaDraw, LisaWrite, LisaProject, LisaGraph, LisaList, LisaTerminalが標準添付され定価9,995ドルで発売された。
これが後にLisa1と呼ばれるモデルである。ちなみに日本での価格は当時アップル日本総代理店だったイーエスディラボラトリ社の価格表によれば本体および5MBのProFileハードディスク、そしてプリンタのセットで228万円だった...。
Lisaはゼロックス社パロアルト研究所のAltoの真似事だったという輩がいるが、それはまったく誤った考え方だ。確かにポップアップメニュー、オーバーラップウィンドウ、スクロールバーはAltoによる暫定ダイナブックのSmalltalkを手本としたと考えて良いだろう。しかしワンボタンマウスをはじめ、ゴミ箱、ウィンドウ開閉のアニメーション、メニューバー、ドラッギング、クリップボードそしてダブルクリックなどはApple独自の発明である。
やはりLisaはこれまでにない革新的なコンピュータであったことは間違いないのである。そしてLisaならびにMacintoshでGUIは認知を得たからこそ、その元祖だといわれているAltoといった存在も表だって語られることになったのは事実だろう。
周知のように歴史に“if” は無意味だが、もしスティーブ・ジョブズがバロアルト研究所を訪れなかったら、もしLisaやMacにGUIが採用されなかったら現在我々が使っているパーソナルコンピュータはかなり違ったものになっている可能性もある。ましてやAltoやSmalltalkは完全に忘れ去られたか、あるいはずっと評価の低いものになっていたかも知れない。それだけLisaの登場はもっともっと高い評価を得てよいものだと考える。
さて、Lisa2はLisa1の改良型としてMacintoshを発表した1984年1月24日に同時発表されたものだが、フロッピードライブはMacintoshのものと同様でソニー製の3.5インチが1台ビルトインされている。そして最上位版のLisa2/10は内蔵で10MBのハードディスクドライブも備えることになった。
ちなみにAppleは翌年1985年1月には製品ラインを整理する目的でLisa2/10をMacintosh XLという名前に変更しMacWorksエミュレーションによりMac用のアプリケーションを走らせることを実現した。しかし早くも同年4月29日にAppleはMacintosh XLおよびLisaの販売中止を発表する。
その後Sun Remarketing社が売れ残ったLisaの在庫を引取り、サポートならびにアップグレードして延命を試みたが1989年9月Appleは税金対策の意味も含めてLisaを完全に葬ることを決断し、ユタ州ローガンの埋め立て地に埋められLisaは事実上消滅したのである。
「宇宙に衝撃を与えるほどのものを作るんだ」とスティーブ・ジョブズが意気込んでいたLisaはAppleにとって実質2年ほどの短い命だった。
とはいえ世の中は広いというか「事実は小説より奇なり」である。少ないとはいえその販売時に高価なLisaを購入したユーザーもいるだろうし、熱心なファンやコレクターの方々が後に限られた台数のLisaを手に入れて保有しているケースもある。
そして今回まさに縁があり、ほぼその入手を諦めていたLisa2が我が研究所に鎮座することになった。それもきちんと動作するマシンとして...。
ただしいつ壊れてもおかしくない外付けProFileそのままでは安心して使えないからとその筐体内部をX/Profileと呼ばれるCF(コンパクトフラッシュ)化したものに替えてある。そのため、Lisa7/7 Office Systemなどが高速にそして何よりも安定して走る。

※さすがに無事起動したときにはホッとした!
また同時に取り寄せていただいたソフトウェア類も豊富でいわゆるLisa OS (LOS)2.0や3.0だけでなく、疑似Macを体現できるMacWorksや開発環境であるBasic, COBOL, PASCALも体験することができるのだ。
私にとってLisaはコレクションアイテムではないが無論実用機でもなく研究材料というべき存在だ。これから少しずつ時間を割いてパーソナルコンピュータとして最初にGUIを搭載したこのマシンのグラフィカル・ユーザーインターフェースをあらためて探求しMacintoshのルーツとなったそのコンセプトを体現したいと考えている。
当サイトは1993年にスタートしたが、最近までLisa自身の話題はほとんど取り上げてこなかった。それはこれまでその詳細について語る資格がないと自身で考えていたからにほかならない。
Lisaは私にとって一種のミッシングリングだったが、これでAppleのUIに関して全体像がつながるのではないか...。
ということで実機が揃い、関連資料が少しずつではあるが手元に集まってきたので今後はLisa自身の話題やMacとの関連性についてお話しをしていけたらと思っている。
「なぜ今頃 Lisaなのか...」について説得力のある説明をするのは難しい...。
販売からすでに25年も経っているマシンをいま手に入れることにどれほど意味があるのか...と問う人もいるかも知れないが、私にとっては決して骨董趣味から出た興味ではないのである。
私は現在Mac Pro (Early 2008) 2.8GHz/8コアマシンを便利に使っているが、今年最新のMac Proが登場したニュースに接してもワクワク感がまったく感じられない...。どうやら実用品としてのパーソナルコンピュータには慣れすぎてしまったのか。
反して今般まさしく縁があって手に入れたLisa 2を前にすると、なにか若かりし時代の恋人にでも再会したようなワクワク感でいっぱいなのである。

※セットアップの前に記念撮影したLisa 2とCF化したProFile
それにMacintoshのGUI (グラフィカル・ユーザーインターフェース)を研究し、より理想的なGUIを求めようとする立場から考えるなら、Macintoshの前にLisaが存在したことは紛れもない事実である。そしてパーソナルコンピュータとしてはじめてGUIを搭載したLisaはまさしくMacintoshの母親的な存在ということになる。
無論LisaのオペレーションはMacintoshと同一ではなく例えばマルチタスクをサポートし電源のOFFもソフトウェア的に行うなどまさしく革新的なマシンであり1984年に登場したMacintoshより優れていた部分が多かったのも事実なのだ。
Appleのスティーブ・ジョブズらがゼロックス社のパロアルト研究所を視察した際にインスピレーションを得てLisaプロジェクトはGUIを持つことになったが、Lisaそのものが商業的には失敗したこともあって製品は短命に終わり、その仔細な能力や魅力については納得のいく情報がいたって少ないのも事実である。それは例えばGoogleでLisaを検索してみればお分かりになるに違いない。
Macintosh開発者のひとりでファインダの共作者だったスティーブ・キャプスはMacintoshの仕様について「みんなは、(マックのGUIは) ゼロックスからぱくったって思ってるらしいけど、本当はリサから盗んだのさ」と発言しているくらいLisaはMacintoshの生みの親でもあるのだ。
“盗んだ”とは文字通りのことでなく、例えばビル・アトキンソンなどはLisaとMac両方の開発にたずさわったわけだから製品のコンセプトは別にしても似ていても不思議はないわけだし事実彼がLisaのために書いたウインドウマネージャー、メニューマネージャー、イベントマネージャーをアンディ・ハーツフェルドがMacintoshのQuickDrawとして移植したものがその基本グラフィックルーチンになった。
そして事実MacintoshとLisaは平行して開発がなされており、Lisaプロジェクトのリーダーだったジョン・カウチとMacintoshプロジェクトのリーダーだったスティーブ・ジョブズはLisaとMacのどちらが先に出荷できるかを競って賭をした逸話も残っている。
無論事実が証明するようにLisaの販売が先行しスティーブ・ジョブズは5,000ドルの掛け金を払ったという。
私自身、これまでLisa1あるいはLisa2の実機をさらわせてもらったことがあるものの、時間的な制約もありその体験は十分なものではなかった。さらにLisaの在庫はユタ州の埋立処分場に埋められたこともあって一部の熱狂的なユーザーを別にすればその存在は忘れ去れることになる...。
それにLisaに限らないが、30年近くにも前のマシン...それもProFileというハードディスクや特殊な5.25インチのツゥイギーフロッピーディスクドライブは壊れやすく、純正の構成のままできちんと起動できるマシンがどれほど現存しているかは大変心許ない。というか、近年何回かLisaを眼前にする機会があったもののきちんと動作するマシンは皆無といってよいほどだった。
勿論Lisaについて調べるには現物を手にすることが不可欠だし、事実これまでにもその機会がなかったわけではない。しかしもし入手できたとしても安定した動作が保証できないマシンでは思うように調べることもできないしリスクが大きすぎるので手に入れることを躊躇ってきた...。
無論日本国内はもとよりだが例えばeBayといった海外オークションなどにはたまたま動作するというLisaが出品されることもあるが、価格はともかくとしても海外から送られてきたマシンが何のトラブルもなく動作すると考えるのはいかにもお目出度すぎるだろう。だから...正直Lisaを手元に置くことは諦めていたのである。
しかし願うことは叶うのかも知れない...。長い間恋い焦がれてきた甲斐があったのか、チャンスは意外な方向から開けてきた...。
とあるご縁からLisaに大変お詳しい方と知り合うことができ、その方のご厚意ご尽力により現時点で比類のないほど状態のよいLisa2を手に入れることができたのである。まさしく私にとっても最後のチャンスであったに違いない...。
ところでLisa1とかLisa2といっているが、まずはその違いを明確にしておかねばならない。
Lisa1とは1983年1月19日にAppleから正式に発表された文字通り最初のLisaを意味する。ちなみにこの“LISA”という名は若かりし頃スティーブ・ジョブズの恋人が生んだ子供の名前から取ったのだと囁かれてきた。ただし公式には “LOCAL Integrated Software Architecture” の略だとされているがいかにもこじつけたような名だ(笑)。実際「マッキントッシュ伝説」(アスキー出版局刊)の中でLisaプロジェクトのリーダーだったジョン・カウチはLisaという名前はジョブズの娘の名に由来していることを認めている。それどころか当時開発プロジェクトのコードネームだったLisaはジョブズ自身が付けた名だという。
ともかくLisaはCPUが5MHzのモトローラ 68000、1MBのRAMと容量860KBの5.25インチのツゥイギーフロッピーディスクドライブ2台を装備し、もともとApple III用に開発された外付けProFile という5MBハードディスクで構成された。そしてキーボードとワンボタンマウス、12インチで720×364ピクセルのビットマップ・モノクロディスプレイといった仕様だった。
さらにLISA 7/7 Office Systemといわれている LisaCalc, LisaDraw, LisaWrite, LisaProject, LisaGraph, LisaList, LisaTerminalが標準添付され定価9,995ドルで発売された。
これが後にLisa1と呼ばれるモデルである。ちなみに日本での価格は当時アップル日本総代理店だったイーエスディラボラトリ社の価格表によれば本体および5MBのProFileハードディスク、そしてプリンタのセットで228万円だった...。
Lisaはゼロックス社パロアルト研究所のAltoの真似事だったという輩がいるが、それはまったく誤った考え方だ。確かにポップアップメニュー、オーバーラップウィンドウ、スクロールバーはAltoによる暫定ダイナブックのSmalltalkを手本としたと考えて良いだろう。しかしワンボタンマウスをはじめ、ゴミ箱、ウィンドウ開閉のアニメーション、メニューバー、ドラッギング、クリップボードそしてダブルクリックなどはApple独自の発明である。
やはりLisaはこれまでにない革新的なコンピュータであったことは間違いないのである。そしてLisaならびにMacintoshでGUIは認知を得たからこそ、その元祖だといわれているAltoといった存在も表だって語られることになったのは事実だろう。
周知のように歴史に“if” は無意味だが、もしスティーブ・ジョブズがバロアルト研究所を訪れなかったら、もしLisaやMacにGUIが採用されなかったら現在我々が使っているパーソナルコンピュータはかなり違ったものになっている可能性もある。ましてやAltoやSmalltalkは完全に忘れ去られたか、あるいはずっと評価の低いものになっていたかも知れない。それだけLisaの登場はもっともっと高い評価を得てよいものだと考える。
さて、Lisa2はLisa1の改良型としてMacintoshを発表した1984年1月24日に同時発表されたものだが、フロッピードライブはMacintoshのものと同様でソニー製の3.5インチが1台ビルトインされている。そして最上位版のLisa2/10は内蔵で10MBのハードディスクドライブも備えることになった。
ちなみにAppleは翌年1985年1月には製品ラインを整理する目的でLisa2/10をMacintosh XLという名前に変更しMacWorksエミュレーションによりMac用のアプリケーションを走らせることを実現した。しかし早くも同年4月29日にAppleはMacintosh XLおよびLisaの販売中止を発表する。
その後Sun Remarketing社が売れ残ったLisaの在庫を引取り、サポートならびにアップグレードして延命を試みたが1989年9月Appleは税金対策の意味も含めてLisaを完全に葬ることを決断し、ユタ州ローガンの埋め立て地に埋められLisaは事実上消滅したのである。
「宇宙に衝撃を与えるほどのものを作るんだ」とスティーブ・ジョブズが意気込んでいたLisaはAppleにとって実質2年ほどの短い命だった。
とはいえ世の中は広いというか「事実は小説より奇なり」である。少ないとはいえその販売時に高価なLisaを購入したユーザーもいるだろうし、熱心なファンやコレクターの方々が後に限られた台数のLisaを手に入れて保有しているケースもある。
そして今回まさに縁があり、ほぼその入手を諦めていたLisa2が我が研究所に鎮座することになった。それもきちんと動作するマシンとして...。
ただしいつ壊れてもおかしくない外付けProFileそのままでは安心して使えないからとその筐体内部をX/Profileと呼ばれるCF(コンパクトフラッシュ)化したものに替えてある。そのため、Lisa7/7 Office Systemなどが高速にそして何よりも安定して走る。

※さすがに無事起動したときにはホッとした!
また同時に取り寄せていただいたソフトウェア類も豊富でいわゆるLisa OS (LOS)2.0や3.0だけでなく、疑似Macを体現できるMacWorksや開発環境であるBasic, COBOL, PASCALも体験することができるのだ。
私にとってLisaはコレクションアイテムではないが無論実用機でもなく研究材料というべき存在だ。これから少しずつ時間を割いてパーソナルコンピュータとして最初にGUIを搭載したこのマシンのグラフィカル・ユーザーインターフェースをあらためて探求しMacintoshのルーツとなったそのコンセプトを体現したいと考えている。
当サイトは1993年にスタートしたが、最近までLisa自身の話題はほとんど取り上げてこなかった。それはこれまでその詳細について語る資格がないと自身で考えていたからにほかならない。
Lisaは私にとって一種のミッシングリングだったが、これでAppleのUIに関して全体像がつながるのではないか...。
ということで実機が揃い、関連資料が少しずつではあるが手元に集まってきたので今後はLisa自身の話題やMacとの関連性についてお話しをしていけたらと思っている。
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