ウッディ・アレン脚本・監督の映画「カフェ・ソサエティ」雑感
DVD化を待っていたウッディ・アレン脚本・監督の映画「カフェ・ソサエティ(CAFÉ SOCIETY)」(劇場公開日:2017年5月5日)を観た。ウッディ・アレン監督の映画とえば「ミッドナイト・イン・パリ」にすっはりハマってしまった私だが、だからこそ新作のラブ・コメディにも期待を持った。
「ミッドナイト・イン・パリ」がその名の通りパリが舞台だったのに対し、「カフェ・ソサエティ」の舞台はニューヨークとハリウッドだ。相変わらずその美しいカメラワークで街並みを堪能できるが、年代は1930年代のニューヨークでありハリウッドなのが興味のあるところ。
映画は二人の女と一人の男のもつれた恋を通し、人生の選択という誰もが味わうであろう出来事をテーマにしている。

あらすじだが、主人公のボビーが現状の生活に満足できず、もっと刺激的で胸のときめく人生を送りたいと叔父であるフィルを頼ってハリウッドにやってくる。
ニューヨーク生まれのボビーにお上りさんというのも変だが、ボビーにとって華やかで人を蹴落としてまでも名を残そうとする男女が渦めくハリウッドは右も左も分からない別世界だった。
叔父のフィルは映画業界の大物エージェントとして成功し財をなした人物だが、叔父のところで雑用係として働き始めたボビーは叔父の秘書ヴェロニカ(愛称ヴォニー)に恋をしてしまう。
付き合い始めたヴォニーとの結婚を夢見るようになるボビーだったが、実はヴォニーには恋人がいた。
ボビーはハリウッドに嫌気が差し、故郷のニューヨークに戻り成功しつつあったとき彼の前にもう一人のヴェロニカが現れる…。
本作の見所は大別して二つと思っている。
ひとつは1930年代のハリウッドおよび社交界の有様だ。ちなみにタイトルの「カフェ・ソサエティ」とは1930年代に夜ごと都会のお洒落なレストランやクラブに繰り出すというライフスタイルを実践したセレブリティのことだというが、そこに登場する人たちの言動はもとより衣裳や髪型などは興味深い。
事実映画にはシャネルが提供した衣裳や本物のダイヤモンドあるいはホワイトゴールで作られた貴重な装身具が豊富に使われているのも見所である。
二つ目はなんといっても二人のブェロニカの美しさだ。
私は演じた女優、クリステン・ジェイムズ・スチュワートとブレイク・クリスティーナ・ライブリーについて予備知識がなかったが、その美しさには魂を奪われた(笑)。その何とも美しくそして違いがはっきりとした二人のブェロニカをうっとりと眺めているだけでも得がたい映画だ…。
そういえば「ブェロニカ」という名は私に聖ブェロニカの逸話を思い出す。
ブェロニカは、十字架を背負いゴルゴタの丘へと歩くキリストを憐れみ、額の汗を拭くよう自身の身につけていたヴェールを差し出した女性の名だ。
キリストはそれで汗を拭き、ヴェールを彼女へ返した。するとヴェールにはキリストの顔が浮かび上がっていたという。こうした伝承から、絵画などに表される聖ヴェロニカは聖顔布を手にした姿で表されるのが普通だ。
しかし「カフェ・ソサエティ」に登場する二人のヴェロニカは私の心のヴェールにその美しい表情をプリントしてくれた。
俗な男としてどちらのヴェロニカが好みだと聞かれても正直答えられない。それほど二人のヴェロニカはそれぞれ個性豊かで美しい。
さて映画の出来として個人的な感想をいえば正直「ミッドナイト・イン・パリ」には及ばないと感じたが、「カフェ・ソサエティ」は大人のおとぎ話を美しく見せてくれる秀作ではあると思う。またアレン監督が自らナレーションを務めていることも楽しい。
お洒落で夢のような映画であった…。
「ミッドナイト・イン・パリ」がその名の通りパリが舞台だったのに対し、「カフェ・ソサエティ」の舞台はニューヨークとハリウッドだ。相変わらずその美しいカメラワークで街並みを堪能できるが、年代は1930年代のニューヨークでありハリウッドなのが興味のあるところ。
映画は二人の女と一人の男のもつれた恋を通し、人生の選択という誰もが味わうであろう出来事をテーマにしている。

あらすじだが、主人公のボビーが現状の生活に満足できず、もっと刺激的で胸のときめく人生を送りたいと叔父であるフィルを頼ってハリウッドにやってくる。
ニューヨーク生まれのボビーにお上りさんというのも変だが、ボビーにとって華やかで人を蹴落としてまでも名を残そうとする男女が渦めくハリウッドは右も左も分からない別世界だった。
叔父のフィルは映画業界の大物エージェントとして成功し財をなした人物だが、叔父のところで雑用係として働き始めたボビーは叔父の秘書ヴェロニカ(愛称ヴォニー)に恋をしてしまう。
付き合い始めたヴォニーとの結婚を夢見るようになるボビーだったが、実はヴォニーには恋人がいた。
ボビーはハリウッドに嫌気が差し、故郷のニューヨークに戻り成功しつつあったとき彼の前にもう一人のヴェロニカが現れる…。
本作の見所は大別して二つと思っている。
ひとつは1930年代のハリウッドおよび社交界の有様だ。ちなみにタイトルの「カフェ・ソサエティ」とは1930年代に夜ごと都会のお洒落なレストランやクラブに繰り出すというライフスタイルを実践したセレブリティのことだというが、そこに登場する人たちの言動はもとより衣裳や髪型などは興味深い。
事実映画にはシャネルが提供した衣裳や本物のダイヤモンドあるいはホワイトゴールで作られた貴重な装身具が豊富に使われているのも見所である。
二つ目はなんといっても二人のブェロニカの美しさだ。
私は演じた女優、クリステン・ジェイムズ・スチュワートとブレイク・クリスティーナ・ライブリーについて予備知識がなかったが、その美しさには魂を奪われた(笑)。その何とも美しくそして違いがはっきりとした二人のブェロニカをうっとりと眺めているだけでも得がたい映画だ…。
そういえば「ブェロニカ」という名は私に聖ブェロニカの逸話を思い出す。
ブェロニカは、十字架を背負いゴルゴタの丘へと歩くキリストを憐れみ、額の汗を拭くよう自身の身につけていたヴェールを差し出した女性の名だ。
キリストはそれで汗を拭き、ヴェールを彼女へ返した。するとヴェールにはキリストの顔が浮かび上がっていたという。こうした伝承から、絵画などに表される聖ヴェロニカは聖顔布を手にした姿で表されるのが普通だ。
しかし「カフェ・ソサエティ」に登場する二人のヴェロニカは私の心のヴェールにその美しい表情をプリントしてくれた。
俗な男としてどちらのヴェロニカが好みだと聞かれても正直答えられない。それほど二人のヴェロニカはそれぞれ個性豊かで美しい。
さて映画の出来として個人的な感想をいえば正直「ミッドナイト・イン・パリ」には及ばないと感じたが、「カフェ・ソサエティ」は大人のおとぎ話を美しく見せてくれる秀作ではあると思う。またアレン監督が自らナレーションを務めていることも楽しい。
お洒落で夢のような映画であった…。
- 関連記事
-
- 二度目の白内障手術顛末記 (2019/03/18)
- メリークリスマス ! (2018/12/24)
- オリジナル時代小説「首巻き春貞」第十一巻(長幼之序)公開 (2018/10/29)
- オリジナル時代小説「首巻き春貞」第11巻「長幼之序」公開覚書 (2018/10/22)
- コンパクトな収納バッグ付き軽量 折りたたみチェアは当たりだった! (2018/10/08)
- ウッディ・アレン脚本・監督の映画「カフェ・ソサエティ」雑感 (2017/11/13)
- 映画「最高の人生のはじめ方」を観て (2017/10/25)
- これぞ事典の醍醐味「江戸時代役職事典」 (2017/10/20)
- 書き下ろし時代小説「首巻き春貞(三)御金蔵破り」を公開 (2017/09/22)
- 1941年製作公開映画「教授と美女」鑑賞 (2017/09/11)
- 日本刀の魅力 (2017/09/06)