J&T 3Dプリンターのノズル詰まりに関する覚書

3Dプリンター、J&T Technology​の/DIYキット(JT-28-004)はすでに実用レベルで活用しているが、ひとつだけ心配なことがあった。それはフィラメント交換時にどういうわけかノズルが詰まってしまい新しいフィラメントを装着できないことだ。これまで二度そうしたトラブルに遭遇したがフィラメント交換は日々行う可能性があるわけで一番の不安材料だった。


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※J&T Technology​の/DIYキット(JT-28-004)のエクストルーダー。ホットエンドブロックにはシリコンカバーを装着している


最初に遭遇した際にはエクストルーダーからノズルユニットを取り出し、ノズルレベルまでを分解してみた。結果ノズルが詰まってたのは勿論、新しいフィラメントが入らなかった原因はホットエンドに繋がっているパイプに2.5mmほどの粒が詰まっていたからだった。
これまで使ってきた二機種の3Dプリンターではノズルの詰まりを経験したことがなったこともあって原因が掴めないでいた…。

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※詰まったノイズユニットを分解(上)とホットエンドブロックに至るパイプ中に詰まりの原因のフィラメント残を発見(下)


結局このときにはノズルユニットをまるごと新品に交換して事なきを得たが、フィラメント交換の度に詰まらせては使い物にならない。とはいえ同機種でこの種のトラブルが多々あればともかく何か私の使い方が問題であろうことは察していた。

例えばFLASHFORGE Inventorという機種は液晶パネルの指示通り、ヘッドが交換温度に達すると「ヘッドのレバーを押してフィラメントを引き抜いてください」といった指示が出る。そのタイミングで指示通りにフィラメントを抜けばよいのであり、逆にフィラメントを装填する際にも指示に従いフィラメントをエクストルーダーのパイプに差し込めば、自動的に引き込んでくれるという手間いらずで安心できるオペレーションなのだ。

Clogging nozzle_05

※J&T 3Dプリンターのエクストルーダー(交換用として買った未使用品)


対してJ&T の方はただただヘッドの温度を上げてノズルユニットのレバーを押しながらフィラメントを抜き、装填はその逆というだけであり至極シンプルであるが手順そのものは大して変わらない。なのにどうしてJ&T は詰まるのか…。
ひとつ心当たりがあった。
それはJ&Tのフィラメントを抜くとき、スルッといかずに引っかかる感じがするときがあった。

当時はろくな知識もなく闇雲に使っていた時期でもあり、ひとつひとつ検証し体験勉強するしかなかった。ともかく繰り返すが例え詰まる可能性があるとしてもフィラメントの交換はやらざるを得ない。
その後、交換用のノズルユニットを別途複数購入したおかげで万一また詰まっても取り急ぎ新品と交換すれば続けて使用できる自信はついたので慎重にフィラメント交換を続けた。

そうした中で今更だが大きな勘違いをしていたことが分かった。
それはフィラメントをエクストルーダーに組み込まれている押出しパーツに差し込むわけだが、挿入したフィラメントはスプリングの力で回転するギアに挟まれホットエンドブロックに送られる。しかしレバーを押すとギアから解放されフィラメントはフリー状態になる。

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※J&T 3Dプリンターの押出しユニットの仕組み


したがってフィラメントを抜く際はギアを解放するためにレバーを押すわけだが、押せば押すほどギアから距離を取ると思い込んでいた。確かにそれはそうなのだが、反対に押しすぎるとフィラメントを弯曲させると共にホットエンドブロックに続く通路の根元で曲げを作ることになる。だから押しすぎると逆に引っかかる感じがしたのだ…。

要は少し押せばギアのロックが外れるのにそれ以上深く押すとフィラメントを抜く際に負荷がかかり、温度を高くしていることもあって引き抜くときに先端の一部がちぎれて残留しやすい…というのが詰まりの原因と思われる。
前記したホットエンドブロックに至るパイプの中に固まったフィラメントの粒があったのもそうした理由に違いない。

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※フィラメント交換時に引き抜いた先端を見て詰まりの原因を特定できた。このケースも無理をすれば先端がパイプ中に残ったに違いない


こうした要領が分かったので引き抜く際にレバーの押し具合を意識しつつ、引き抜くときに少しでも抵抗があったときには無理せず逆に押し込んでノズルから溶解して出し、さらに引き抜く動作をするようにした。
その後、数え切れないほどフィラメント交換、それもPLA、TPU、PVAを出し入れしているが今のところトラブルはない。
理屈が分かればどうということもないが、ノズルの詰まりは気が滅入る(笑)。
もし同じ悩みを抱えている方がいらっしゃれば参考にしていただきたい。


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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員