J&T 3Dプリンター JT-28-004-Ⅱ 刷新高機能版購入動機

今年の8月以来、J&T 3Dプリンター JT-28-004を愛用してきたが、思うところがあり新たに登場した刷新高機能版 JT-28-004-Ⅱ を手に入れた。これがこれまでのJT-28-004のようにきちんと動作すれば私のFDM方式3Dプリンター本体の投資は終息と考えている(ホントカ)。


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※J&T 3Dプリンター JT-28-004-Ⅱ


ではJT-28-004購入後まだ4ヶ月ほどしか経っていないのに何故 JT-28-004-Ⅱ を手にしたかについて簡単に言い訳…いや、ご説明したい。
具体的な検証レポートは別途お届けしたいと考えているが、買い換えの動機の第一はJT-28-004-Ⅱに「一時停止継続機能」が付いたことだ。

「フィラメント切れ検出機能」も有り難いが私にとってそれだけでは買い換える動機にはならない。しかしまともなというかJT-28-004の最大造型サイズ 310 × 310 × 410mmを生かして…となればどうしてもそのプリント時間は数十時間、数日かかることが多くなる。
しかし一軒家の一人暮らしならともかく、我が家はマンション住まいでもあり夜間のプリントはやはり遠慮せざるを得ない。ということは十数時間を超える造型は事実上出来ないことになる。

ただしそれでは3Dプリンターを十分に使いこなすことはできない…。防音ボックスを自作することも考えたが手間はともかくかなり大がかりになるはずで悩んでいたがJT-28-004-Ⅱの登場で迷いに迷った結果購入することにした次第。
消音ボックスの材料や部品そして一部工具などを揃える事を考えたらJT-28-004-Ⅱを買った方がよいと判断した。
ということでここではJT-28-004とJT-28-004-Ⅱの違いを簡単にご紹介したい。

まず基本的構造や押出ユニットなどの部品はT-28-004と同じであり、筐体サイズは勿論最大造形サイズの 310 * 310 * 410mmも一緒だ。
そして何といってもAmazonでは価格据え置きである点も魅力だ。
反対に見栄えで違う点はフィラメント検出機能がフレーム上部に付いたことからフィラメントスプールをその隣に設置できる仕様になっている。

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※フィラメントスプールをフレーム頭上に設置できる。またフィラメント検出機能が付いた


これは机上面の高さからフィラメント検出ユニットの高さまでフィラメントを引き上げるのは適切ではないという判断に違いないが、組立構造はしっかりしているものの1kgにもなるフィラメントを頭上に乗せることはプリント時の振動でフレームが揺れないかが心配だった。しかし実際に組み立ててみると問題ないことがわかった。
ただし個人的にはeBOXを「ステンレス製ミニ昇降台」で高い位置に配しフィラメント検出ユニットへフィラメントを供給するつもりでいる。

またエクストルーダー全体がカバーで覆われた点も見栄えが格段によくなった。別にこれまで通りステッピングモーターや押出ユニットはもとより配線がむき出しでも利用に関して一向に差し支えがなかったが、カバーのおかげで全体的にシャープな印象となった。

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※エクストルーダー全体が金属製カバーで覆われた


そして一見分かりづらいが、エクストルーダー下部にLED照明が装備され、例えば手暗がりで薄暗くなりがちな室内でもプリントの状態を把握できるのは有り難い。

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※エクストルーダー下部にLED照明が装備された


とはいえ何といってもJT-28-004-Ⅱの見るべき点は「一時停止継続機能」と「レベリング調整補助機能」である。特に「一時停止継続機能」は前記したとおりの理由からこの機能を使えば夜に一時停止にして翌朝プリントを再開することができる。したがって気兼ねなく長時間のプリントも可能になった。

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※一時停止継続機能


ただし今回は深く立ち入らないが「一時停止継続機能」は上位機種の「停電回復機能」といった類のものとは違うことも知っておきたい。
「停電回復機能」は電源そのものをOFFにして(停電で)もその後継続したプリントができる機能だが、ここでいうところの「一時停止継続機能」は電源はONにしたままだ。
それではいわゆるポーズ機能とどこが違うのかと訝しく思う方もいるに違いない。

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※プリント再開メニュー(上)と再開の確認(下)。そのとき、ノズルから垂れているフィラメントがあれば取り除いておくことが大切


JT-28-004にもそのポーズメニューがあるから文字通りの一時停止および再開は可能だ。ただしこれはプリント途中の一時停止であるからしてノズルはポーズした瞬間の積層ポイントで止まる。
なにかの確認といった短時間ならよいだろうが、このポーズ状態で6時間とか8時間放置することは200℃といった高温のノズルが定位置で止まったままになるわけで、そのポイントの積層を溶かしてしまったり、逆にノズルから溶解したフィラメントが垂れて痕を残したりする。

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※一般的なポーズ状態を7時間続けた結果、止めた位置にフィラメントの固まりが出来ていた


また1,2度やってみると6時間置いた後のプリント再開はできたが、長時間放置後の再開は保証していないようで巧くいかないこともあるらしい。

その点JT-28-004-Ⅱの「一時停止継続機能」はプリント中に一時停止するとノズル(Z軸)が停止点より数cm上がり、X軸、Y軸が原点に戻る。したがってノズルは積層している印刷物に接触しないのだ。
そして再開するとノズルが自動的に停止点に戻り、その箇所から引き続きプリントを再開してくれる。

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※「一時停止継続機能」はプリント中に一時停止するとノズル(Z軸)が停止点より数cm上がり、X軸、Y軸が原点に戻るのでノズルは積層している印刷物接触しない


これで完璧な長時間プリントが実現するわけで個人的には飛び上がるほど嬉しい。
しいていえばその一時停止の6時間とか8時間はくどいようだが電源は入ったままだからフルパワーではないものの消費電力がかかってしまうことか…。

その電気料金だが、念のため8時間「一時停止継続機能」を続けるとどの程度かかるのかを確認してみた。
JT-28-004-Ⅱの消費電力がフルパワー時360Wとのことだから、一応1 kWhあたりの電力契約料金を25円として計算すると 360W(消費電力)÷1000×8h(時間)×25円=72円(電気代)という計算になる。
省エネには努力しているつもりだがこの「一時停止継続機能」にしても1ヶ月にせいぜい2,3度あるかどうかといった程度と考えている。だとすれば私にとって電気代には変えられない大きなメリットがあるのだ。

なお「レベリング調整補助機能」についても触れておきたい。何が、どこが "補助" なのかということだが、これまでのJT-28-004ではホットベッドの指定4箇所に手動でノズル位置を合わせ、A4用紙などを使いノズル先端との間隔を調整するという完全なマニュアル操作だった。
しかしJT-28-004 II はコントローラーボックス側の指示で水平出しする位置5箇所(ホットベッドの4隅と中央)へ自動的にノズルが移動してくれるようになった。ただし水平出しは手動でやることになる。
なおホットベッドの高さ調節をしている裏面のねじだが、JT-28-004 II は金属の蝶ネジだったが円形のナットに変わっていた。

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※「レベリング調整補助機能」開始メニュー



JT-28-004-Ⅱは難しくはないものの未組立の製品でもありレベリング調整を別にしてもトラブルなくプリントを続けるには日々相応の調整と整備が必要な製品だと考えている。したがってまったく3Dプリンターを使った事のない方にはお勧めしないが、積層も綺麗だし静音であり、メーカーサポートもしっかりしている。
ただし一般家電とは違い、この手の3Dプリンターは組立てたからすぐに実力を発揮してくれるかといえばなかなかそうは問屋は降ろさない。かなりシビアな調整と検証が必要だがそうした行為そのものまでをも楽しめる方にはコストパフォーマンスに優れた製品である。




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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員