「Apple 32 SuperMicros」Developer's Handbookとは?!
1984年2月にAppleから発行された「Apple 32 Developer’s Handbook」という面白い資料が手に入った。このちょっと見は味気ないハンドブックはMacintosh用のソフトウェア開発を促進しようとAppleがデベロッパー向けに用意したもので今となっては珍しい資料である。
さてまず「Apple 32」と言われてもほとんどの方はご存じないだろう。とはいえこれはApple内部の部門名でありAppleがLisaをリリースし、Macintoshの開発が佳境に入った1983年のことだからご存じなくても一向にかまわない(笑)。

※1984年2月リリース「Apple 32 Developer’s Handbook」表紙。プルダウンメニューがタイトル名のデザイン
その年、すなわち1983年の4月はスティーブ・ジョブズがAppleへの転職をと説得したジョン・スカリーがAppleの社長兼CEOとなり、Appleの機構も大きく様変わりした時期だった。
それらに合わせスティーブ・ジョブズは新任のスカリーがそれまでの経緯を知らない事を利用し自身の指揮権強化をアピールし始めたのである。なぜならそれまでの社長だったマイク・スコットからジョブズはLisaのプロジェクトの指揮権を剥奪されていたこともあり、ジョブズはMacintoshの開発列びに販売に関してすべての指揮を取りたかったからだ。
ジョブズの強力な訴えに動かされ、スカリーはジョブズにMacintosh部門を自由に統括する権限を与えた。そしてその11月にはMacintoshとLisa部門は「Apple 32 SuperMicros 」部門として統合されたのである。
この頃のパッケージにはそれを示す「Apple 32 SuperMicros 」というロゴタイプが印刷されている。

※これはLisa 2上でMacのアプリを動作させるソフトウェア「MacWorks」のパッケージだが、左上に "Apple 32 SuperMicros" と記されている
ともかく重要なのはこの「Apple 32 SuperMicros 」部門の指揮をスティーブ・ジョブズが取ることになったことだ...。いわば彼は念願のMacおよびLisa開発に関わるすべての指揮をとる権限を与えられたわけだ。
この辺のApple内部における確執についてはこれまでにも幾度がご紹介してきたから繰り返さないが、この事実はMacintoshの開発および販売を一大優先と考えるジョブズによってLisaの販売は意図的にブレーキをかけられることになった。ただしそのLisaにも実は大切な存在意義があったのである。
それはLisaがMacintoshのソフトウェア開発のためのフロントエンドマシンだったからだ。なぜならMacintosh登場の最初期はMacintoshそのものでプログラムを組むことが難しかったからだ。
何しろメモリは128KBしか搭載されていなかったしハードディスクも装備されていなかった。開発マシンとしても非力としいうしかなかったから当時のプログラマはLisaとPascalを使ってMacintosh用ソフト開発をしていたケースも多いのだ。そしてLisaのコードはPascal言語で書かれているものがほとんどだったからMacintoshへの移植も比較的やりやすかった事も大きく関係している。
そうした背景もありAppleはひとつでも多く魅力的なソフトウェアをデベロッパーが開発してくれるようにと画策しなければならなかったわけで、すでに存在したLisaとその開発者らにMacintoshの情報を正しく理解してもらうためこの「Apple 32 Developer’s Handbook」を配布したようだ。無論それだけでなくエバンジェリストとして知られているあのガイ・カワサキ氏などがデベロッパー各社を飛び回ってソフト開発をするように説得を続けたことは知られていることだ。
ともかく内容は32ページという薄いものだが Introductionの後、The Marketing of Apple 32 SuperMacros、The Apple 32 SuperMaicro Products、Macintosh : A : Look Inside、Apple SuperMaciro Product DevelopmentそしてMarleting Apple 32 SuperMicro Products、How to Get Startedなどなどといったタイトルを見るだけでAppleの熱意が伝わってくる。
それに一般ユーザー向けのハンドブックではないからだろう作りは地味で全ページが2色刷りなのはともかく写真は一枚もないのも特徴だ。奥付に “All graphics were created using MacPaint in the Macintosh.”と書かれているように文中にあるMacやLisa、Apple IIなどの図版はすべてMacintoshとMacPaintによって描かれたものだ。さらにプルダウンメニューを表紙タイトルに使ったりページタイトルに用いるデザインなど良い意味で遊び心も見受けられて今見ても「さすがにアップルだ」と思わず笑みが浮かぶ...。

※本「Apple 32 Developer’s Handbook」の図版は全てMacとMacPaintによるものだ
まあこの「Apple 32 Developer’s Handbook」がリリースされたのは本体が発表された翌月だが、現実問題として本ハンドブックがどれほど役に立ったのか...効果があったのか、なかったのかは今となっては分からないもののMacintoshのユニークなアプリケーション...それも実用的なアプリケーションが登場し始めたのはFat Mac、すなわちメモリが4倍の512KBを搭載したモデルが登場してからだったことは間違いない。
さてまず「Apple 32」と言われてもほとんどの方はご存じないだろう。とはいえこれはApple内部の部門名でありAppleがLisaをリリースし、Macintoshの開発が佳境に入った1983年のことだからご存じなくても一向にかまわない(笑)。

※1984年2月リリース「Apple 32 Developer’s Handbook」表紙。プルダウンメニューがタイトル名のデザイン
その年、すなわち1983年の4月はスティーブ・ジョブズがAppleへの転職をと説得したジョン・スカリーがAppleの社長兼CEOとなり、Appleの機構も大きく様変わりした時期だった。
それらに合わせスティーブ・ジョブズは新任のスカリーがそれまでの経緯を知らない事を利用し自身の指揮権強化をアピールし始めたのである。なぜならそれまでの社長だったマイク・スコットからジョブズはLisaのプロジェクトの指揮権を剥奪されていたこともあり、ジョブズはMacintoshの開発列びに販売に関してすべての指揮を取りたかったからだ。
ジョブズの強力な訴えに動かされ、スカリーはジョブズにMacintosh部門を自由に統括する権限を与えた。そしてその11月にはMacintoshとLisa部門は「Apple 32 SuperMicros 」部門として統合されたのである。
この頃のパッケージにはそれを示す「Apple 32 SuperMicros 」というロゴタイプが印刷されている。

※これはLisa 2上でMacのアプリを動作させるソフトウェア「MacWorks」のパッケージだが、左上に "Apple 32 SuperMicros" と記されている
ともかく重要なのはこの「Apple 32 SuperMicros 」部門の指揮をスティーブ・ジョブズが取ることになったことだ...。いわば彼は念願のMacおよびLisa開発に関わるすべての指揮をとる権限を与えられたわけだ。
この辺のApple内部における確執についてはこれまでにも幾度がご紹介してきたから繰り返さないが、この事実はMacintoshの開発および販売を一大優先と考えるジョブズによってLisaの販売は意図的にブレーキをかけられることになった。ただしそのLisaにも実は大切な存在意義があったのである。
それはLisaがMacintoshのソフトウェア開発のためのフロントエンドマシンだったからだ。なぜならMacintosh登場の最初期はMacintoshそのものでプログラムを組むことが難しかったからだ。
何しろメモリは128KBしか搭載されていなかったしハードディスクも装備されていなかった。開発マシンとしても非力としいうしかなかったから当時のプログラマはLisaとPascalを使ってMacintosh用ソフト開発をしていたケースも多いのだ。そしてLisaのコードはPascal言語で書かれているものがほとんどだったからMacintoshへの移植も比較的やりやすかった事も大きく関係している。
そうした背景もありAppleはひとつでも多く魅力的なソフトウェアをデベロッパーが開発してくれるようにと画策しなければならなかったわけで、すでに存在したLisaとその開発者らにMacintoshの情報を正しく理解してもらうためこの「Apple 32 Developer’s Handbook」を配布したようだ。無論それだけでなくエバンジェリストとして知られているあのガイ・カワサキ氏などがデベロッパー各社を飛び回ってソフト開発をするように説得を続けたことは知られていることだ。
ともかく内容は32ページという薄いものだが Introductionの後、The Marketing of Apple 32 SuperMacros、The Apple 32 SuperMaicro Products、Macintosh : A : Look Inside、Apple SuperMaciro Product DevelopmentそしてMarleting Apple 32 SuperMicro Products、How to Get Startedなどなどといったタイトルを見るだけでAppleの熱意が伝わってくる。
それに一般ユーザー向けのハンドブックではないからだろう作りは地味で全ページが2色刷りなのはともかく写真は一枚もないのも特徴だ。奥付に “All graphics were created using MacPaint in the Macintosh.”と書かれているように文中にあるMacやLisa、Apple IIなどの図版はすべてMacintoshとMacPaintによって描かれたものだ。さらにプルダウンメニューを表紙タイトルに使ったりページタイトルに用いるデザインなど良い意味で遊び心も見受けられて今見ても「さすがにアップルだ」と思わず笑みが浮かぶ...。

※本「Apple 32 Developer’s Handbook」の図版は全てMacとMacPaintによるものだ
まあこの「Apple 32 Developer’s Handbook」がリリースされたのは本体が発表された翌月だが、現実問題として本ハンドブックがどれほど役に立ったのか...効果があったのか、なかったのかは今となっては分からないもののMacintoshのユニークなアプリケーション...それも実用的なアプリケーションが登場し始めたのはFat Mac、すなわちメモリが4倍の512KBを搭載したモデルが登場してからだったことは間違いない。
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