初めての3Dペン体験レポート
3DプリンターはFDM式のものを二台常設しいつでも使えるようにしているが、今回初めて「3Dペン」なるものを手にした。無論これで見栄えのする造形を…と考えているわけではなく、一つには3Dプリンターによる造形物の保守に使えるのではないかと考えたこと、そして3Dプリンターはまだ難しいと考える人や子供たちにこの楽しさを伝えてみたいと考えた…。
今回手に入れた「3Dペン」は二種だ。ひとつはXYZプリンティングの「ダヴィンチ3Dペン Cool」という製品。そしてもうひとつは「Homecube 3D STEREO DRAWING PEN」という製品だ(以下「Homecube 3Dペン」)。

※XYZプリンティングの「ダヴィンチ3Dペン Cool」パッケージ

※「Homecube 3D STEREO DRAWING PEN」パッケージ
ちなみに「Homecube 3Dペン」は3Dプリンターのフィラメントでも馴染みのある1.75mmのPLAおよびABSが使える。一方の「ダヴィンチ3Dペン Cool」は子供用を意識したのだろう、安全に配慮して約70℃で溶ける専用のPCAフィラメントを使う設計になっている。なにしろPLAではノズルが200℃近い高温になるため、子供に使わせるには火傷の心配がある。

※「Homecube 3D STEREO DRAWING PEN」本体とシリコンカバー
ただし、私自身は3Dプリンターで主にPLAフィラメントを活用していることでもあり「Homecube 3Dペン」を使ってみるつもりだが、今回はその「Homecube 3Dペン」を例にして遅ればせながら「3Dペン」の可能性を探ってみた。
要はどのようなことができるのか、どう使ったらよいかを正確に伝えられなければ子供たちの関心を得ることはできないだろうから、まずはその魅力を伝えられるように練習だ…。

※「Homecube 3Dペン」で作った一輪の花。なお花瓶は3Dプリンターで造形したもの
さて3Dプリンターを使っているからして「3Dペン」の構造や理屈についてはよく理解しているつもりだ。メーカーによって多少の機能に違いはあるとしてもフィラメントを引き込み、先端で溶解してノズルから押し出すという点については基本同じである。ただし厳密に言えば3Dプリンターのノズルは一般的に0.4mmとか0.3mmが知られているがこの「3Dペン」は0.7mmだという。
また3Dプリンターはフィラメントの押し出しをソフトウェアでコントロールできるが「3Dペン」は設定した一定速度で押し出すだけだ(速度は4段階の設定可)。
その一定速度で抽出されていくフィラメントは抽出後に当然凝固するわけで、こうした性質を利用し線画を描く要領で物体を形成していくのが一般的な「3Dペン」の使い方となる。
ただし誤解があるかも知れないが、空中に描くことはできようもない。そうした表現が必要な場合はダミーだとしてもどこかに支点・支柱を作る必要がある。
したがって作り方を考えながら「3Dペン」を使うというやり方は現実的ではない。あらかじめ紙に展開図のようなものを描き、それにしたがって…沿って「3Dペン」を動かしていくという方法がよい。


※3Dペンは3Dプリンターの代用品ではない。目的が違う。上は3Dプリンターで造形した例。下は3Dペンによる作例(一輪挿しは3Dプリンター製)
ということで早速「Homecube 3Dペン」を使ってみよう…。
パッケージを開けると3D本体と先端カバーがまず現れる。カバーは3Dペンの先端(ノズル)保護のためもあるが、200℃前後の高音になるため電源が入っている際に不用意な場所や物の上に置かないよう注意すると共に火傷防止のためにこのカバーを被せておくべきだ。その下のスペースには電源ケーブルやテスト用フィラメント、火傷防止の指サック、シリコンシート、教材用プリントおよびユーザーガイドなど一式が同梱されている。
なおユーザガイドには少々分かりづらいが、一応日本語表記のページも用意されている。
まずは「Homecube 3Dペン」に電源を供給するが、いわゆるスイッチは無い。附属のUSB電源ケーブルのコネクタを本体に差し込み、一方をUSB電源側に接続することで電源が入る。
「Homecube 3Dペン」の電源を入れ待機状態になったらフィラメント選択ボタンでPLAかABSを選ぶ。勿論実際に使用するフィラメントの材質に合わせなければならない。そして使用するフィラメントに適切な温度を設定する。
そしてフィラメント送りボタンを押せばフィラメントは引き込まれノズルから溶けて出てくるが、この間一分ほどかかる…。
ノズルからフィラメントが出てくれば準備OKだが、フィラメント送りボタンを押している間、あるいはダブルクリックするとボタンを放しても連続にフィラメントがでてくるのでペンをなるべく垂直にして描いていく。必要なら抽出スピードの可変もできる。
ボタンを放すかボタンをクリックするとフィラメントは一時停止するが再度押せば再開となる。
実際に使ってみると慣れの問題だとして話しは片付いてしまうかも知れないが、決して簡単とは言えない(笑)。また、最初から最後まで1色のフィラメントを使い切るというやり方ならまだしも、任意のところでフィラメントのカラーを取り替えたいとなれば3Dプリンターと同程度の神経を使わなければならない。
どういうことかといえば、フィラメントの交換時はまず現状のフィラメントの排出から始めることになるが、押し戻しボタンを長押しし、フィラメントをゆっくりと無理をせずに最後まで引き出す。そして新しいフィラメントを挿入して送り出しボタンを押すわけだが、ノズル付近に直前に使っていたフィラメントが若干残っているからそれをすべて排出して新しいフィラメントが出てくるまで待つことになる。
なによりも3Dペンをどのように操ったら目的のオブジェクトが描ける…作れるかだ。
まずトライするのはパッケージに同梱されている制作ガイドなどをなぞることから始めるべきだ。もっと初歩的なペンの使い方を学ぶためには例えばプリンター用紙に簡単な図形をプリントし、その線をなぞる練習をすることをお勧めしたい。まずはなるべく綺麗な線を描けるように練習しよう。それがなにを描くにも基本となる。
このとき、用紙によっては乗せたフィラメントが剥がれにくいことがあれば用紙の上に同梱されているシリコン透明シートをマスキングテープなどで仮止めし、その上からフィラメントで描くと良い。剥がすのが容易になる。
とにかく3Dペンの動かし方や移動速度が適切でないと均等な描写は難しいし、特にストップさせるときには最も神経を使う。何故ならフィラメント送りを止めても垂れや糸引きがあり得るから、綺麗な表現はかなりの熟練を必要とするように思える。
とははいえ、よく3Dペンは使い物にならないといった評価を見聞きするが、3Dペンは3Dプリンターの代用品ではない。3Dペンはあくまでフリーハンドの妙を味わいながら作品作りができるツールであり、3Dプリンターのように精緻なものは作れないと考えるより、3Dプリンターでは作り得ない造形を楽しむことが出来ると考えるべきだ。
例えばメガネを作る場合、その実寸の形を用紙にプリントアウトし、それをなぞり塗りつぶす。こうして出来たフレームとツルをフィラメントを使って接着すれば完成だ。


※プリンターでメガネの構成部品であるフレームと2本のツルを描いて印刷(上)。その上をなぞって3Dペンで塗りつぶす(下)

※用紙から剥がしたフレームとツルを同じフィラメントで接着させて完成
また蝶の例も基本は同じだ。まずプリンターで作りたいサイズに蝶のパターンを印刷する。そのパターンを「Homecube 3Dペン」でなぞっていくが、左右の羽に角度を付けたかったこともあり、まるごと一緒に描くのではなく左右の羽とボディにわけて作り、最後にフィラメントで接着させた。
とにかく「あれを作ってみよう」と考えた際、どのような手順でやれば可能かを考えるのも楽しい。

※「Homecube 3Dペン」で作った蝶
本製品は8歳以上を対象とした製品だが、お子さんが使う際には必ず親御さんか製品の理屈をよく知っている大人の目が届く場所で使わせることをお勧めする。
ユーザーが大人ならともかく、子供にプレゼントしようとお考えの方も多いと思うが、火傷といった怪我への注意だけでくフィラメント交換時などは面倒だろうし無理無茶をすればフィラメントを詰まらせてしまうことにもなりかねない。
すでに3Dプリンターを活用されている方なら仕組みやらの理解はできると思うので、利用のポイントは難しくはないと思うが、何の予備知識も無く3Dペンを手にした場合を想像するとトラブルだらけになるような気がする。
私は子供が喜ぶカラフルな物を作りたいと別途3Dペン向け24色のPLAフイラメントを購入したが、まずはこれまでの3Dプリンター使用で残った様々なフィラメントで十分な練習を試みたいと考えている。

※3Dペン用の巻きが少ない24色PLAフィラメント
というわけで、「Homecube 3Dペン」は残念ながら低学年の子供に100%安心して手渡すのは躊躇するが、3Dペンは他に類を見ない創造的なツールであることは間違いない。したがって正しく理解し子供に限らず大人の方にも是非とも楽しんでいただきたいものだ。
その子供たちにしても将来本格的な3Dプリンターを使う場合に3Dペンを利用したことは大いにプラスとなるに違いない。
今回手に入れた「3Dペン」は二種だ。ひとつはXYZプリンティングの「ダヴィンチ3Dペン Cool」という製品。そしてもうひとつは「Homecube 3D STEREO DRAWING PEN」という製品だ(以下「Homecube 3Dペン」)。

※XYZプリンティングの「ダヴィンチ3Dペン Cool」パッケージ

※「Homecube 3D STEREO DRAWING PEN」パッケージ
ちなみに「Homecube 3Dペン」は3Dプリンターのフィラメントでも馴染みのある1.75mmのPLAおよびABSが使える。一方の「ダヴィンチ3Dペン Cool」は子供用を意識したのだろう、安全に配慮して約70℃で溶ける専用のPCAフィラメントを使う設計になっている。なにしろPLAではノズルが200℃近い高温になるため、子供に使わせるには火傷の心配がある。

※「Homecube 3D STEREO DRAWING PEN」本体とシリコンカバー
ただし、私自身は3Dプリンターで主にPLAフィラメントを活用していることでもあり「Homecube 3Dペン」を使ってみるつもりだが、今回はその「Homecube 3Dペン」を例にして遅ればせながら「3Dペン」の可能性を探ってみた。
要はどのようなことができるのか、どう使ったらよいかを正確に伝えられなければ子供たちの関心を得ることはできないだろうから、まずはその魅力を伝えられるように練習だ…。

※「Homecube 3Dペン」で作った一輪の花。なお花瓶は3Dプリンターで造形したもの
さて3Dプリンターを使っているからして「3Dペン」の構造や理屈についてはよく理解しているつもりだ。メーカーによって多少の機能に違いはあるとしてもフィラメントを引き込み、先端で溶解してノズルから押し出すという点については基本同じである。ただし厳密に言えば3Dプリンターのノズルは一般的に0.4mmとか0.3mmが知られているがこの「3Dペン」は0.7mmだという。
また3Dプリンターはフィラメントの押し出しをソフトウェアでコントロールできるが「3Dペン」は設定した一定速度で押し出すだけだ(速度は4段階の設定可)。
その一定速度で抽出されていくフィラメントは抽出後に当然凝固するわけで、こうした性質を利用し線画を描く要領で物体を形成していくのが一般的な「3Dペン」の使い方となる。
ただし誤解があるかも知れないが、空中に描くことはできようもない。そうした表現が必要な場合はダミーだとしてもどこかに支点・支柱を作る必要がある。
したがって作り方を考えながら「3Dペン」を使うというやり方は現実的ではない。あらかじめ紙に展開図のようなものを描き、それにしたがって…沿って「3Dペン」を動かしていくという方法がよい。


※3Dペンは3Dプリンターの代用品ではない。目的が違う。上は3Dプリンターで造形した例。下は3Dペンによる作例(一輪挿しは3Dプリンター製)
ということで早速「Homecube 3Dペン」を使ってみよう…。
パッケージを開けると3D本体と先端カバーがまず現れる。カバーは3Dペンの先端(ノズル)保護のためもあるが、200℃前後の高音になるため電源が入っている際に不用意な場所や物の上に置かないよう注意すると共に火傷防止のためにこのカバーを被せておくべきだ。その下のスペースには電源ケーブルやテスト用フィラメント、火傷防止の指サック、シリコンシート、教材用プリントおよびユーザーガイドなど一式が同梱されている。
なおユーザガイドには少々分かりづらいが、一応日本語表記のページも用意されている。
まずは「Homecube 3Dペン」に電源を供給するが、いわゆるスイッチは無い。附属のUSB電源ケーブルのコネクタを本体に差し込み、一方をUSB電源側に接続することで電源が入る。
「Homecube 3Dペン」の電源を入れ待機状態になったらフィラメント選択ボタンでPLAかABSを選ぶ。勿論実際に使用するフィラメントの材質に合わせなければならない。そして使用するフィラメントに適切な温度を設定する。
そしてフィラメント送りボタンを押せばフィラメントは引き込まれノズルから溶けて出てくるが、この間一分ほどかかる…。
ノズルからフィラメントが出てくれば準備OKだが、フィラメント送りボタンを押している間、あるいはダブルクリックするとボタンを放しても連続にフィラメントがでてくるのでペンをなるべく垂直にして描いていく。必要なら抽出スピードの可変もできる。
ボタンを放すかボタンをクリックするとフィラメントは一時停止するが再度押せば再開となる。
実際に使ってみると慣れの問題だとして話しは片付いてしまうかも知れないが、決して簡単とは言えない(笑)。また、最初から最後まで1色のフィラメントを使い切るというやり方ならまだしも、任意のところでフィラメントのカラーを取り替えたいとなれば3Dプリンターと同程度の神経を使わなければならない。
どういうことかといえば、フィラメントの交換時はまず現状のフィラメントの排出から始めることになるが、押し戻しボタンを長押しし、フィラメントをゆっくりと無理をせずに最後まで引き出す。そして新しいフィラメントを挿入して送り出しボタンを押すわけだが、ノズル付近に直前に使っていたフィラメントが若干残っているからそれをすべて排出して新しいフィラメントが出てくるまで待つことになる。
なによりも3Dペンをどのように操ったら目的のオブジェクトが描ける…作れるかだ。
まずトライするのはパッケージに同梱されている制作ガイドなどをなぞることから始めるべきだ。もっと初歩的なペンの使い方を学ぶためには例えばプリンター用紙に簡単な図形をプリントし、その線をなぞる練習をすることをお勧めしたい。まずはなるべく綺麗な線を描けるように練習しよう。それがなにを描くにも基本となる。
このとき、用紙によっては乗せたフィラメントが剥がれにくいことがあれば用紙の上に同梱されているシリコン透明シートをマスキングテープなどで仮止めし、その上からフィラメントで描くと良い。剥がすのが容易になる。
とにかく3Dペンの動かし方や移動速度が適切でないと均等な描写は難しいし、特にストップさせるときには最も神経を使う。何故ならフィラメント送りを止めても垂れや糸引きがあり得るから、綺麗な表現はかなりの熟練を必要とするように思える。
とははいえ、よく3Dペンは使い物にならないといった評価を見聞きするが、3Dペンは3Dプリンターの代用品ではない。3Dペンはあくまでフリーハンドの妙を味わいながら作品作りができるツールであり、3Dプリンターのように精緻なものは作れないと考えるより、3Dプリンターでは作り得ない造形を楽しむことが出来ると考えるべきだ。
例えばメガネを作る場合、その実寸の形を用紙にプリントアウトし、それをなぞり塗りつぶす。こうして出来たフレームとツルをフィラメントを使って接着すれば完成だ。


※プリンターでメガネの構成部品であるフレームと2本のツルを描いて印刷(上)。その上をなぞって3Dペンで塗りつぶす(下)

※用紙から剥がしたフレームとツルを同じフィラメントで接着させて完成
また蝶の例も基本は同じだ。まずプリンターで作りたいサイズに蝶のパターンを印刷する。そのパターンを「Homecube 3Dペン」でなぞっていくが、左右の羽に角度を付けたかったこともあり、まるごと一緒に描くのではなく左右の羽とボディにわけて作り、最後にフィラメントで接着させた。
とにかく「あれを作ってみよう」と考えた際、どのような手順でやれば可能かを考えるのも楽しい。

※「Homecube 3Dペン」で作った蝶
本製品は8歳以上を対象とした製品だが、お子さんが使う際には必ず親御さんか製品の理屈をよく知っている大人の目が届く場所で使わせることをお勧めする。
ユーザーが大人ならともかく、子供にプレゼントしようとお考えの方も多いと思うが、火傷といった怪我への注意だけでくフィラメント交換時などは面倒だろうし無理無茶をすればフィラメントを詰まらせてしまうことにもなりかねない。
すでに3Dプリンターを活用されている方なら仕組みやらの理解はできると思うので、利用のポイントは難しくはないと思うが、何の予備知識も無く3Dペンを手にした場合を想像するとトラブルだらけになるような気がする。
私は子供が喜ぶカラフルな物を作りたいと別途3Dペン向け24色のPLAフイラメントを購入したが、まずはこれまでの3Dプリンター使用で残った様々なフィラメントで十分な練習を試みたいと考えている。

※3Dペン用の巻きが少ない24色PLAフィラメント
というわけで、「Homecube 3Dペン」は残念ながら低学年の子供に100%安心して手渡すのは躊躇するが、3Dペンは他に類を見ない創造的なツールであることは間違いない。したがって正しく理解し子供に限らず大人の方にも是非とも楽しんでいただきたいものだ。
その子供たちにしても将来本格的な3Dプリンターを使う場合に3Dペンを利用したことは大いにプラスとなるに違いない。
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