5台目の3Dプリンターはフルカラー!「ダヴィンチ Color mini」ファーストインプレッション
本来なら来年自分の誕生日あたりに購入…と考えていたXYZ Printing社のカラー3Dプリンター「ダヴィンチ Color mini」が早くも到着した…。先日AmazonでクリスマスセールとCyber Mondayそしてタイムセールの合わせ技の魅力に負けた結果だ(笑)。思惑より半年早く現物が目の前にあるわけだが、まあ自身のクリスマスプレゼントということにしようか…。
XYZ Printing社のカラー3Dプリンター「ダヴィンチ Color mini」は上位機種「ダヴィンチ Color」のコンパクト版という位置づけだが、広々としたオフィスならいざ知らず、我が仕事部屋には447 x 447 x 541 mmのサイズ、重量24kgは決してコンパクトでは無い。しかし全体がブラックで一部がレッドという配色とシンプルなデザインの妙なのか存在感の中にも引き締まった印象を受ける。

※セットアップが終わった「ダヴィンチ Color mini」
ともあれ「ダヴィンチ Color mini」は、熱溶解樹脂積層方式(FFF)でYMC三色一体型のインクジェットカラーインクを専用フィラメント積層毎に塗っていくことでフルカラーを実現しているというユニークな製品である。
これから折に触れて「ダヴィンチ Color mini」のあれこれをご紹介させていただくが、「ダヴィンチ Color mini」は一般的な3Dプリンターと比較して造型時間が非常にかかること、インクや専用PLAフィラメントなどのためにランニングコストもかなり高くなる。しかしこれまでカラーの3Dプリンターは数百万円もする業務用しかなかったことでもあり「ダヴィンチ Color」シリーズの登場は画期的なのだ。

※インクのテストプリント
さて本来なら開封の儀ということで梱包を開けるところからご紹介するところだが、メーカーサイトにメチャ詳しい情報があるので無駄なことはやらない(笑)。
「ダヴィンチ Color mini」は私にとって5台目の3Dプリンターとなるが、使用するフィラメントは1.75mm、ノズルも0.4mmと一般的な製品と変わりはない。なお最大印刷範囲 (幅x奥行x高さ)が130 x 130 x 130 mmと些か小さいが、筐体内にはエクストルーダはもとより三色のインクカートリッジが取り付けられているため可動範囲が狭くなるという理屈だ。

※三色一体型の専用インクカートリッジを使う
とはいえプラットフォームは脱着式マグネットシートで造形物が取り外しやすいし、優秀な自動キャリブレーション機能が搭載されているだけでなく停電回復機能も搭載されているという優秀な仕様である。そうそう…本製品はパッケージを開けた後にエクストルーダを取り付ける必要があるが完成品でありすぐに使える。
また「ダヴィンチ Color mini」はカラー専用というわけではなく、単色のフィラメントを使う3Dプリンターとしても活用できるしオプションでレーザーモジュールも用意されている。そしてこれまた別売のエクストルーダーに取り替えればメタリックPLAやカーボンPLAフィラメントも使用可だ。ただしプラットホームは加熱できないのでABSは使えないものの代替としてタフPLAが用意されている。
まずは設置だが24kgの本体はなんとか一人で移動できるもののできれば二人が必要かも…。しっかりした場所に置いた後、梱包材を外し最初期のセッティンクだ。
ガイドチューブの取り付け、マグネットシートにマイラーシートを貼り付け、フィラメントの設置、エクストルーダーの取り付け、そしてインクカートリッジの取り付けだ。フィラメントは本体正面右側側面にセットするがガイドチューブの両端をしっかりと取り付けることが肝心なようだ。

※フィラメントリールとオートフィーダー部分
そうした情報を得ていたから十分な対処をしたつもりだったがガイドチューブが外れてプリントが正常に出来ないというトラブルに見舞われたがこの件は別項でご紹介したい。
そしてプリント前の準備としてインクのセッティングとインクの噴き出し・位置のチェックテストを行いプラットフォームのキャリブレーション(水平調整)、Zオフセット調整(ノズルとプラットフォーム間の距離調整)そしてフィラメントのロードとなる。
大変そうだが、3Dプリンターの基礎と「ダヴィンチ Color mini」ならではの仕様を理解すれば難しい事はない。
これで準備ができたのでプリントの開始となるが、プリントはXYZプリンティングのホームページから無料でダウンロードできる3Dプリントソフトウェア「XYZ maker suite」を使う。プリントそのものはXYZ maker suiteの中にある「XYZ print」というソフトがスライスソフトだ。

※スライサーソフト「XYZ print」使用例
プリンタからの出力はUSBケーブル接続、Wi-FiそしてUSBメモリによる3種が使えるがUSBメモリの場合は「XYZ print」から「3cp」ファイルをエクスポートしUSBメモリに書き込んだ上でプリンタ内部のUSBポートに装着することになる。

※左下の小さな白いものがポートに差し込んだ同梱のUSBメモリ
「XYZ print」はフルカラー3Dデータの場合「obj」という拡張子のデータを読み込むが、単色3Dデータであれば「stl」データも読み込むことができる。なお「XYZ print」では使用するフィラメントの長さは勿論YMCの各色インクの使用量およびフィラメントとインクの残量も表示されるので新たなプリント時には注視する習慣をつけたい。
ということでまだ設置ができたという段階だが、FDMとかFFFといった3Dプリンターについてはこれまで多くの経験をしてきたので戸惑うことは無いが、3Dプリンターに関わるカラーは未知の事象なのでこれから様々なことを自分の手・眼でひとつひとつ確認していきたいと考えている。

※iPhone XRとScandyProで3Dスキャンした本物のピザをデータ化し「ダヴィンチ Color mini」でプリントした例。大きさは直径5センチだ
最後にひとつ大切な事を記しておきたい…。
個人の考えだが、この「ダヴィンチ Color mini」は現時点で3Dプリンターを欲するすべての方にお勧めする製品では無いと思っている。
最大の問題はやはり造型時間が一般のものと比較してべらぼうに長くかかることだ。30mm程度の人の顔(頭)を作るのに8時間以上もかかる。それもピッチは0.2mmでだ。そしてフィラメントに艶があるため目的により仕上がりをマットになるようスプレー処理が必要になるかも知れない。そして間違いなくカラー造型ができるものの、その仕上がりが一般的なカラープリンターによるプリント結果のようなクオリティを想像されるとすれば間違いだ。

※これまた3Dスキャンした頭部を3センチほどのサイズでプリント(ピッチ0.2mm)。プリント時間は約8時間半かかった
ただし私が目指しているのが3Dスキャンした人物やらといったリアルなオブジェクトたちだからこそ余計にそう感じるが、これが単色の組合せによる玩具のようなオブジェクトのプリントであればまずまず思い通りの結果が期待できるだろう。
「ダヴィンチ Color mini」は縦横高さ共に最大プリントサイズは13cm立方という制約もあるが、そもそもこの造型空間をフルに使ったプリントを実施しようとすると果たして何日かかるのだろうか…(笑)。
したがって実用を第一に考えるユーザーは自ずと限られるものと思うし、闇雲にカラープリントができると飛びつくと埃を被ることになるように思うので老婆心ながら記しておく。
XYZ Printing社のカラー3Dプリンター「ダヴィンチ Color mini」は上位機種「ダヴィンチ Color」のコンパクト版という位置づけだが、広々としたオフィスならいざ知らず、我が仕事部屋には447 x 447 x 541 mmのサイズ、重量24kgは決してコンパクトでは無い。しかし全体がブラックで一部がレッドという配色とシンプルなデザインの妙なのか存在感の中にも引き締まった印象を受ける。

※セットアップが終わった「ダヴィンチ Color mini」
ともあれ「ダヴィンチ Color mini」は、熱溶解樹脂積層方式(FFF)でYMC三色一体型のインクジェットカラーインクを専用フィラメント積層毎に塗っていくことでフルカラーを実現しているというユニークな製品である。
これから折に触れて「ダヴィンチ Color mini」のあれこれをご紹介させていただくが、「ダヴィンチ Color mini」は一般的な3Dプリンターと比較して造型時間が非常にかかること、インクや専用PLAフィラメントなどのためにランニングコストもかなり高くなる。しかしこれまでカラーの3Dプリンターは数百万円もする業務用しかなかったことでもあり「ダヴィンチ Color」シリーズの登場は画期的なのだ。

※インクのテストプリント
さて本来なら開封の儀ということで梱包を開けるところからご紹介するところだが、メーカーサイトにメチャ詳しい情報があるので無駄なことはやらない(笑)。
「ダヴィンチ Color mini」は私にとって5台目の3Dプリンターとなるが、使用するフィラメントは1.75mm、ノズルも0.4mmと一般的な製品と変わりはない。なお最大印刷範囲 (幅x奥行x高さ)が130 x 130 x 130 mmと些か小さいが、筐体内にはエクストルーダはもとより三色のインクカートリッジが取り付けられているため可動範囲が狭くなるという理屈だ。

※三色一体型の専用インクカートリッジを使う
とはいえプラットフォームは脱着式マグネットシートで造形物が取り外しやすいし、優秀な自動キャリブレーション機能が搭載されているだけでなく停電回復機能も搭載されているという優秀な仕様である。そうそう…本製品はパッケージを開けた後にエクストルーダを取り付ける必要があるが完成品でありすぐに使える。
また「ダヴィンチ Color mini」はカラー専用というわけではなく、単色のフィラメントを使う3Dプリンターとしても活用できるしオプションでレーザーモジュールも用意されている。そしてこれまた別売のエクストルーダーに取り替えればメタリックPLAやカーボンPLAフィラメントも使用可だ。ただしプラットホームは加熱できないのでABSは使えないものの代替としてタフPLAが用意されている。
まずは設置だが24kgの本体はなんとか一人で移動できるもののできれば二人が必要かも…。しっかりした場所に置いた後、梱包材を外し最初期のセッティンクだ。
ガイドチューブの取り付け、マグネットシートにマイラーシートを貼り付け、フィラメントの設置、エクストルーダーの取り付け、そしてインクカートリッジの取り付けだ。フィラメントは本体正面右側側面にセットするがガイドチューブの両端をしっかりと取り付けることが肝心なようだ。

※フィラメントリールとオートフィーダー部分
そうした情報を得ていたから十分な対処をしたつもりだったがガイドチューブが外れてプリントが正常に出来ないというトラブルに見舞われたがこの件は別項でご紹介したい。
そしてプリント前の準備としてインクのセッティングとインクの噴き出し・位置のチェックテストを行いプラットフォームのキャリブレーション(水平調整)、Zオフセット調整(ノズルとプラットフォーム間の距離調整)そしてフィラメントのロードとなる。
大変そうだが、3Dプリンターの基礎と「ダヴィンチ Color mini」ならではの仕様を理解すれば難しい事はない。
これで準備ができたのでプリントの開始となるが、プリントはXYZプリンティングのホームページから無料でダウンロードできる3Dプリントソフトウェア「XYZ maker suite」を使う。プリントそのものはXYZ maker suiteの中にある「XYZ print」というソフトがスライスソフトだ。

※スライサーソフト「XYZ print」使用例
プリンタからの出力はUSBケーブル接続、Wi-FiそしてUSBメモリによる3種が使えるがUSBメモリの場合は「XYZ print」から「3cp」ファイルをエクスポートしUSBメモリに書き込んだ上でプリンタ内部のUSBポートに装着することになる。

※左下の小さな白いものがポートに差し込んだ同梱のUSBメモリ
「XYZ print」はフルカラー3Dデータの場合「obj」という拡張子のデータを読み込むが、単色3Dデータであれば「stl」データも読み込むことができる。なお「XYZ print」では使用するフィラメントの長さは勿論YMCの各色インクの使用量およびフィラメントとインクの残量も表示されるので新たなプリント時には注視する習慣をつけたい。
ということでまだ設置ができたという段階だが、FDMとかFFFといった3Dプリンターについてはこれまで多くの経験をしてきたので戸惑うことは無いが、3Dプリンターに関わるカラーは未知の事象なのでこれから様々なことを自分の手・眼でひとつひとつ確認していきたいと考えている。

※iPhone XRとScandyProで3Dスキャンした本物のピザをデータ化し「ダヴィンチ Color mini」でプリントした例。大きさは直径5センチだ
最後にひとつ大切な事を記しておきたい…。
個人の考えだが、この「ダヴィンチ Color mini」は現時点で3Dプリンターを欲するすべての方にお勧めする製品では無いと思っている。
最大の問題はやはり造型時間が一般のものと比較してべらぼうに長くかかることだ。30mm程度の人の顔(頭)を作るのに8時間以上もかかる。それもピッチは0.2mmでだ。そしてフィラメントに艶があるため目的により仕上がりをマットになるようスプレー処理が必要になるかも知れない。そして間違いなくカラー造型ができるものの、その仕上がりが一般的なカラープリンターによるプリント結果のようなクオリティを想像されるとすれば間違いだ。

※これまた3Dスキャンした頭部を3センチほどのサイズでプリント(ピッチ0.2mm)。プリント時間は約8時間半かかった
ただし私が目指しているのが3Dスキャンした人物やらといったリアルなオブジェクトたちだからこそ余計にそう感じるが、これが単色の組合せによる玩具のようなオブジェクトのプリントであればまずまず思い通りの結果が期待できるだろう。
「ダヴィンチ Color mini」は縦横高さ共に最大プリントサイズは13cm立方という制約もあるが、そもそもこの造型空間をフルに使ったプリントを実施しようとすると果たして何日かかるのだろうか…(笑)。
したがって実用を第一に考えるユーザーは自ずと限られるものと思うし、闇雲にカラープリントができると飛びつくと埃を被ることになるように思うので老婆心ながら記しておく。
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