パソコン時代の幕開けを象徴する第一回WCCFの会報を入手
WCCFとは「ウェストコーストコンピュータフェア」の略である。その第一回は1977年4月15日から3日間サンフランシスコのシビックオーデトリアムにて開催されたが、その開催はまさしくパーソナルコンピュータ時代の幕開けを宣言するエキサイティングな催事だった…。
実は手元にその第一回「ウェストコーストコンピュータフェア」の会報(Conference Proceedings)がある…。
これまで漠然とだが WCCF すなわち「ウェストコーストコンピュータフェア」のことは知っていた。ジム・ウォーレンらにより開催されたコンピュータの展示会であり、その1回目は起業したてのApple Computer社が会場正面入り口に大きなブースを確保し華々しくApple IIをお披露目した記念すべき催事となった。
その150社ほどの出展企業…といっても会社らしいブースは数えるほどだったそうだが…そのAppleブースをイーエスディラボラトリ社の社長、水島敏雄氏がたまたま立ち寄ってスティーブ・ジョブズの説明を聞いたことがApple IIを日本に持ち込むきっかけとなったことなども知っていた。
この第一回WCCFについては西海岸で開催された最初の本格的なマイコンフェアだったこと、そして黎明期にも関わらず150社ものマイコン・パソコン業界の出展があったことで関係者たちにその市場の未来をおぼろげながらに感じさせた印象深い催事だったに違いない。したがって第一回WCCFの模様は様々なパソコン関連書籍などに歴史の一幕として登場するが誤植も含めてそれらの情報には間違いも多くどうにも全体像がわからないでいた。

※1977年発行、第一回「ウェストコーストコンピュータフェア」会報(Conference Proceedings)の表紙
過去の出来事を調べようとするとまず基本はその年月日からしてどの情報が正しいのか迷ってしまう。それほど不確かな情報が溢れているのだ。
それはこの第一回WCCFの開催年月日からして同じである。
斎藤由多加著「マッキントッシュ伝説」(アスキー出版局刊)の初版ではジム・ウォーレンとのインタビュー冒頭に「1974年に開催された第一回ウェストコーストコンピュータフェア(WCCF)…」と明記されている。しかし同じく斎藤由多加著「林檎の樹の下で」(アスキー出版局)のプロローグには1977年4月16日とあり、明らかに「マッキントッシュ伝説」は編集側のミスだ。
前記したESD社の水島敏雄氏は「APPLEマガジン」(ESD社刊)1984年6月7月号の「アップルとイーエスディ」の中で「…私の袖をスティーブが掴まえたのが始まりです…」とし1977年5月のことだと記している。
またスティーブ・ウォズニアック著「アップルを創った怪物」(ダイヤモンド社刊)でウォズニアック自身の語りとして「…ウェストコースト・コンピュータ・フェアでアップルIIのお披露目をしょうと考えた。…1977年1月にサンフランシスコで開催される予定だった。」と言っている。まったくこれでは何が何だか分からなくなってくるではないか…(笑)。
何しろ前記したジム・ウォーレンはWCCFの主催者だ。そのインタビューで本人が発言したとするなら「マッキントッシュ伝説」を読んだ人はそれを信用してしまうに違いないが、事情通であれば1974年の前半にはIMSAI 8080もApple IIも存在しないのだから出展できる訳はないことがすぐにわかる(笑)。
ただしP.フライバーガー/M.スワイン著「パソコン革命の英雄たち」(マグロウヒル社刊)では1977年4月、スティーブン・レビュー著「ハッカーズ」(工学社刊)も1977年4月になっている。勿論この種の書籍を元にして書かれたウェブ情報はそれこそまちまちである。
開催年度や開催月でさえこの有様なのだから、幾多の情報をただ単にかき集めても混乱するだけだ。
であるならなるべく確かな情報資料を手に入れるしかない。ということでその第一回WCCFの会報の実物を探し続けていたがこの度運良く見つかった…。
どうやら資料としてはプログラムとこの会報の2種あるようだが、この会報だけでも出展者のリストや当時どのようなことが興味の対象だったのかがおぼろげながら分かってくる。
なかなか全てがこう上手くはいかないが、原典というか一次資料を確認する努力をすることが大切なのは何でも同じであろう。
ともかく第一回「ウェストコーストコンピュータフェア」の開催は会報によれば1977年4月15日から17日の三日間開催され、場所はサンフランシスコのシビックオーデトリアムにて、そして宴会会場はセント・フランシス・ホテルで開催されたことが分かった。
別途本会報(Conference Proceedings)そのものに関しては勿論、情報を精査し、この第1回WCCFの情景を描いてみたいと考えている。
実は手元にその第一回「ウェストコーストコンピュータフェア」の会報(Conference Proceedings)がある…。
これまで漠然とだが WCCF すなわち「ウェストコーストコンピュータフェア」のことは知っていた。ジム・ウォーレンらにより開催されたコンピュータの展示会であり、その1回目は起業したてのApple Computer社が会場正面入り口に大きなブースを確保し華々しくApple IIをお披露目した記念すべき催事となった。
その150社ほどの出展企業…といっても会社らしいブースは数えるほどだったそうだが…そのAppleブースをイーエスディラボラトリ社の社長、水島敏雄氏がたまたま立ち寄ってスティーブ・ジョブズの説明を聞いたことがApple IIを日本に持ち込むきっかけとなったことなども知っていた。
この第一回WCCFについては西海岸で開催された最初の本格的なマイコンフェアだったこと、そして黎明期にも関わらず150社ものマイコン・パソコン業界の出展があったことで関係者たちにその市場の未来をおぼろげながらに感じさせた印象深い催事だったに違いない。したがって第一回WCCFの模様は様々なパソコン関連書籍などに歴史の一幕として登場するが誤植も含めてそれらの情報には間違いも多くどうにも全体像がわからないでいた。

※1977年発行、第一回「ウェストコーストコンピュータフェア」会報(Conference Proceedings)の表紙
過去の出来事を調べようとするとまず基本はその年月日からしてどの情報が正しいのか迷ってしまう。それほど不確かな情報が溢れているのだ。
それはこの第一回WCCFの開催年月日からして同じである。
斎藤由多加著「マッキントッシュ伝説」(アスキー出版局刊)の初版ではジム・ウォーレンとのインタビュー冒頭に「1974年に開催された第一回ウェストコーストコンピュータフェア(WCCF)…」と明記されている。しかし同じく斎藤由多加著「林檎の樹の下で」(アスキー出版局)のプロローグには1977年4月16日とあり、明らかに「マッキントッシュ伝説」は編集側のミスだ。
前記したESD社の水島敏雄氏は「APPLEマガジン」(ESD社刊)1984年6月7月号の「アップルとイーエスディ」の中で「…私の袖をスティーブが掴まえたのが始まりです…」とし1977年5月のことだと記している。
またスティーブ・ウォズニアック著「アップルを創った怪物」(ダイヤモンド社刊)でウォズニアック自身の語りとして「…ウェストコースト・コンピュータ・フェアでアップルIIのお披露目をしょうと考えた。…1977年1月にサンフランシスコで開催される予定だった。」と言っている。まったくこれでは何が何だか分からなくなってくるではないか…(笑)。
何しろ前記したジム・ウォーレンはWCCFの主催者だ。そのインタビューで本人が発言したとするなら「マッキントッシュ伝説」を読んだ人はそれを信用してしまうに違いないが、事情通であれば1974年の前半にはIMSAI 8080もApple IIも存在しないのだから出展できる訳はないことがすぐにわかる(笑)。
ただしP.フライバーガー/M.スワイン著「パソコン革命の英雄たち」(マグロウヒル社刊)では1977年4月、スティーブン・レビュー著「ハッカーズ」(工学社刊)も1977年4月になっている。勿論この種の書籍を元にして書かれたウェブ情報はそれこそまちまちである。
開催年度や開催月でさえこの有様なのだから、幾多の情報をただ単にかき集めても混乱するだけだ。
であるならなるべく確かな情報資料を手に入れるしかない。ということでその第一回WCCFの会報の実物を探し続けていたがこの度運良く見つかった…。
どうやら資料としてはプログラムとこの会報の2種あるようだが、この会報だけでも出展者のリストや当時どのようなことが興味の対象だったのかがおぼろげながら分かってくる。
なかなか全てがこう上手くはいかないが、原典というか一次資料を確認する努力をすることが大切なのは何でも同じであろう。
ともかく第一回「ウェストコーストコンピュータフェア」の開催は会報によれば1977年4月15日から17日の三日間開催され、場所はサンフランシスコのシビックオーデトリアムにて、そして宴会会場はセント・フランシス・ホテルで開催されたことが分かった。
別途本会報(Conference Proceedings)そのものに関しては勿論、情報を精査し、この第1回WCCFの情景を描いてみたいと考えている。
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