ラテ飼育格闘日記(746)

「犬も歩けば…」の諺ではないが、歩き回ればそれだけ色々なことや様々に人に出くわす。無論不快なことであっては嫌だが興味深いのはやはり面識のない方達との一時の交流ではないだろうか。


時間帯にもよるもののオトーサンたちは基本人の歩かないような場所には足を踏み入れない。一昔前はともかくラテも力強かったしオトーサンも体力があったから実によく歩いたし、それまで足を踏み入れたことのない場所へ積極的にラテと出かけたものだ。したがって自宅を中心に半径2キロメートルの場所は一部地域を除いて皆歩き回った。

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※散歩から戻り、体を綺麗にしてブラッシング後の笑顔


半径2キロメートルというと大した距離に思えないがこれは地図上の直線距離だし、現実の地形は起伏が激しく回り道を強いられる場所も多いから中々に大変なのだ。
その途中途中には緑も多く、春は桜にむせ返るようだし秋には見事な紅葉を楽しむことが出来る。

その過程で多くのワンコたちとその飼い主さんたちと出会ってきたし、時にワンコ好きの方たちからは様々な声がかかった。しかし子供たちはともかく、初対面の大人が近づき、ましてや声をかけてくる状況はラテにとっては警戒すべきことのようで間違いないというほど吠え続け時には唸った。
したがって挨拶程度はともかくいつもオトーサンはラテに吠えられたそれらの方々に「すみません」と謝るしかなかったし、すれ違うワンコの頭を撫でようものならこれまたラテが嫉妬で吠え掛かるから我慢するしかなかった。

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※ラテはエレベータが好き!


それがこのところ、100%というわけではないいが初対面の大人が近づいても吠えなくなった。
吠える体力が無くなったのか、あるいは経験上大丈夫と思うようになったのか、またはその両方なのかは分からないが、ともかく初対面の人に近づき笑顔を見せるときさえある。

先日も印象的なことがあった。それは朝の散歩途中後ろから「ワンちゃん、おいくつ?」という声がかかった。振り向くと老齢のご婦人だったが、ラテの眼前に躊躇なく座り込んだのだ…。
聞けば昨年16歳の愛犬を看取ったのだという。いまでも辛くて他のワンコにもなかなか声をかけられなかったが今朝はどういうわけか声をかけてみる気になったという。

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※初対面にも関わらず座り込んだ方の手袋をペロリと舐めた


病気ではなく老衰だったそうだが、簡単にペットロスのひとことで片付けられないものを含んでいることは重々分かる。幸いラテは後3ヶ月で15歳になるが、今のところそうそう心配する点はないようだが、次々と同年配の友達ワンコが亡くなっていくのは実に辛いし、日常でもビーグル犬を見ればひとつの容器から一緒に水を飲んでたハリーのことを思い出すし、ボーダーコリーを見ればボーちゃんとラテが体をぶつけ合って走り回っている姿が目に浮かぶ。そして今でも涙ぐんでしまう…。

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※散歩途中のご機嫌な表情


ラテは少々難はあっても元気でいてくれるが歳であることは事実。そして考えたくはないが、いつかは別れの時がくるはずだがそのときオトーサンは正常な神経でいられるのだろううか…。
ラテの前に跪き、涙ぐみながら手袋のままの手をラテに向けたご婦人だったが、ラテは吠えないだけでなく初対面の人の手袋をペロリと舐めたのだ!
まるで慰めるように…。

その数日後、女房の仕事が休みだったこともあり久しぶりの道をラテと歩いた。そして女房が買い物をしている間、以前はよく乗っかったベンチにラテは飛び乗り上機嫌だったのでオトーサンもそのベンチの端に座り込んで休んでいた。
するとこれまた年配のご婦人がニコニコしながら近づいて来た。オトーサンは習性でラテのリードを手元に引いたがその方は「愛嬌のあるワンちゃんだこと。何犬ですか?」と聞いてきた。

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※これまた初対面の方を前にして笑顔のラテ


ラテはベンチに乗ったまま笑顔を続けている。無論そのご婦人も初対面の方だが、ラテは吠える気配は無く大人しい。
そのご婦人は長い間、野良猫の保護と飼い主を探すというボランティアを続けてきたのだという。性分で野良猫と出会うと放っておけないのだという。そして去り際に「犬猫はね、生き仏さまなのよ…」と言いつつ踵を返した。





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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員