J&T Technology社 3Dプリンター「JT-Maker-HC50」ファーストインプレッション

現在メインで使っている3DプリンターはJT-28-018 2020(JT-28-004-III)だが、昨年7月に購入して以来愛用してきた。今般新たに同じくJ&T Technology社の新製品JT-Maker-HC50を手に入れた。一昔前と違い今や3Dプリンターは多くのメーカーが存在し、多彩な製品がしのぎを削っているが、今回もJ&T Technology社の製品を選んだ理由は…。


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※J&T Technology社の新製品JT-Maker-HC50


■JT-Maker-HC50を選んだ一番の理由
何故か…。それはサポートの良さに尽きる。現状の3Dプリンターは極々手慣れたユーザーを別にして確実にメーカーサポートを必要とする製品だ。そこが一般家庭電化製品と明らかに違うものなのだが、サポートは単に「購入後1年間」等とあるだけでは実際の対応の良し悪しは分からない。詳細な話になると差し障りがあるだろうから控えるが、とあるメーカーの3Dプリンターを国内正規販売店から購入し、即トラブルに巻き込まれたとき電話をかけたことがあった。

しかしその対応は思い出したくないほど実に酷いものだった。また保証期間も一年は標準だと思えるし最近国内で販売を伸ばしている製品は二年間の保守を謳っている。反して駆動部など一番トラブルの可能性がある部位の保証を90日間としているメーカーもある。

またご承知の方も多いだろうが業務用の機種は別にしてコンシューマー向け3Dプリンターのほとんどは中国製だ。したがって正確な日本語で重要なやりとりが出来ないメーカーもある。J&T Technology社も深圳の会社だがメールにしても電話による問い合わせにしても実に真摯に対応してくれてきた。そんな訳で今回も同社の製品にした…。
勿論製品自体も安定していてトラブルが少ないことも気に入っている理由のひとつだ。

■JT-Maker-HC50の特長と主なスペック
さてそれでは JT-Maker-HC50の特長およびこれまでのJT-28-018 2020(JT-28-004-III)と違う点を確認して見よう。

① フィラメント供給がボーデン式
  これまでJ&T社から購入してきた組立式の3Dプリンターはすべてダイレクト式だったので今回はこの種の製品としては初めてボーデン式を採用したことになる。それぞれ一長一短がある訳だが、ボーデン式はエクストルーダーが小型化できるのが特徴でもある。

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※フィラメント引込みギアの前にはフィラメント切れ検出ユニットを通す


② 最大造形サイズ 220 x 220 x 250mm
現在使っているJT-28-018 2020の最大造形サイズは310×310×410mmだから、JT-Maker-HC50の造型サイズは一回り小さいものの、日常多くの造型時には十分であると考える。無論それ以上のサイズが必要な時はJT-28-018 2020を使う。

③ 25点(箇所)のオートレベリングを採用
JT-28-018 2020 はレベリングの補助機能は持ってはいるが本当の意味でのオートレベリングは搭載していない。その点JT-Maker-HC50は待ちに待ったオートレベリングを採用している。

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※オートレベリングはプラットホームの全域にあたる縦横25ポイントをチェックする


目立つ点はこんなところだが、その他電源オフ再開機能、電源オフデータ保存機能、フィラメント切れ検出機能は当然サポートしている。
造型サイズが一回り小さくなった関係で筐体サイズもJT-28-018 2020と比べ小振りになったがその他にも見るべき点は多い。

例えば独立していた箱形コントロールボックスが廃されフレーム下に組み込みという形になったこと。液晶画面がタッチ式でカラー化されたこと。最新散熱ターボファンを採用しており、散熱の安定、均一性がアップされたこと。フレームに強化型アルミ合金が採用され、さらなる安定性に貢献していることなどだ。

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※オペレーション用タッチディスプレイは本体向かって右側に固定する。ディスプレイはカラー化されていた


実際にJT-28-018 2020と見比べてみると部品点数も簡素化合理化されている。まずステッピングモーターだがエクストルーダーをZ軸に上下させるステッピングモーターがJT-Maker-HC50は向かって左側支柱だけになっている。またプラットホームの小型化にも関係するのか、プラットホームを支え前後移動をアシストするレールが中央一本となっている。
ただしJT-Maker-HC50のフレームは幅が40mmと幅広であり不安定感はない。

■スライサーの問題も…
そうした中で今回の目玉は何と言っても25点(箇所)のオートレベリング機能だ。今どきオートレベリング機能など珍しくはないが、J&T社のこのシリーズでは初めて搭載されたので楽しみだった。実際にテストプリントをやってみたが、オートレベリングを実行だけで綺麗なプリントができた。

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※テストプリントしたオブジェクトは積層痕も見られないほど綺麗な結果だった


そして今回特に留意したことにスライサーの問題がある。新機種購入の際には国内で販売され人気を博しているとある機種も検討候補に上がったが、独自のスライサーを使わなければならない点で断念した。

現在スライサーはSimplify 3Dと時にUltimaker Curaを使っている。ということで是非ともSimplify 3DおよびUltimaker Curaと親和性がある3Dプリンターでなければと判断した結果でもある。

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※本体向かって右サイドにUSBコネネクタとmicro SDカードスロットがある


幸い組立も配線も問題なかったようで電源投入後のテストプリントも無事に終わった。そうした中で気づいた事は動作音が大変静かだということ…。事実上はファンの音が聞こえるだけでエクストルーダーなどの稼働音はまったくといって良いほどしなかった。
ちなみにiPhoneの㏈計測アプリで確認したところ3Dプリンター正面から1メートルのところで40デシベル前後だった。

■終わりに
思い返せば2018年初頭に最初の3Dプリンターを手に入れてからこの3年半の間に7機種の3Dプリンターを使う結果になっている。気が多いという性格もあるが(笑)それ以上にこの数年の間の3Dプリンターの進歩はめざましいものがあるのだから仕方がない…。
また組立式(といってもゼロからでは無いが)の3Dプリンターも今回で4台目だからして、多少の仕組みや仕様が違う製品の組立も苦も無く不安も無く確実にできたことはそれなりの進歩だと自己評価している。




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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員