ラテ飼育格闘日記_835

こうして多々一年前の記録を振り返り、写真を選別していると実に辛い…。時期的にラテの死が近づいているからだ。リアルタイムでは無論そんなことは分からずただただ一日でも長くラテと一緒にいたいという願いだけで介護を続けていたのだが…。


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この頃は幸いというか自力で立ち上がり、ドッグフードと牛乳をきちんと食べていたから点滴はまぬがれていた。しかし日常その魅力的だった両眼は力なく閉じられていることが多かったものの、ときに思い出したようにオトーサンたちのいる場所に様子を伺うように歩いてくることがあった。

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※女房の様子を見によたよたと出て来た


また相変わらず首の腺腫からの出血もあり、包帯は欠かせないでいたからさぞや鬱陶しかったに違いないがそれをふるい落とす力もないようだった。
ただし室内をときによたよたと歩くことがあるものの、通常の散歩ができるはずもなく、カートで公園に連れて行ったり、排泄目的だけのときにはボディを吊る下げる治具をつけ、オトーサンが引っ張り上げる形で外に連れ出していた。

あれだけ歩くのが好きで散歩から帰るのを拒否していたラテがまともな散歩すらできない現実をどう感じていたのか、それを考えるとラテの体重を右手一本に支えているオトーサンはいつも涙ぐんでいた。
そんなわけで散歩というか外にいる時間は僅かだったが、自宅に戻れば四つ脚を綺麗に拭き、体もブラッシングを欠かさなかったしお尻のメンテはもとより首の包帯を取り替え、ときに左右の腰にできた床擦れの手当と老犬の介護は大変だった。

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※この頃の表情は実に穏やかで幼く忘れられない…


一番辛かったのは夜泣きが多くなり、オトーサンたちもまともな睡眠を取れなくなっていたことだ。ときに女房が起きて様子を見に行くこともあったが仕事に行かなければならず睡眠不足は冗談ではなく命取りの恐れもあり、できるだけオトーサンがラテのケアをするつもりでいたがときに起きたくても起きられないのには困った。
しかしある時期から考え方を変えた…。確かに辛いが、希望はともかくこの状態が半年続くとは思えなかったから、この大変で辛いあれこれもラテが生きていればこそだと…。

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※カートで公園に連れていっても立っているのがやっとで歩くことができないでいた


ともかく元気な時には夜泣きなどまったくなかったラテだが、辛いのかあるいは心細いのか真夜中に声をあげるとマンションなので廻りに気を使わざるを得ない。
幸い我々の部屋は特別な構造というか、作りのおかげで直接声が響くとすれば上階のお宅だったのである日その上階の方に事情を話し迷惑をかけるがしばしお許し願いたいと申し出た。そのご家庭もワンコを飼っていたからか「まったく気になりませんよ」とおっしゃっていただけたのは有り難かった。

ということでオトーサンたちはラテを決して粗略に扱ったことはなく心から愛していたが、ラテが亡くなってみると「あのとき、もっとこうしてあげたらよかった」とか「もっとやり方があったではないか」といった自責の念も湧いてくる。
今一度タイムマシンであのときに戻りたいとは思わないが、もしそんなことがあったらいま少しよい接し方があったのではないかと今でも考えるときがある。

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※オムツはしているものの外で排泄したいからとまともに歩けない体で玄関のドアに頭を付けるラテ


オトーサンの両手はいまでもラテの体のボリュームや暖かさ、重さを覚えているし抱っこしたときのラテの頬の感触も忘れられない。
他のワンコたちと比較すると決して飼い主だからといって特別ベタベタするワンコではなかったが、ラテなりの愛情を振りまいてくれたことは間違いなく、ラテなくしてこの16年間はあり得ないと思うほど大きな存在だった。



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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員