40年ぶり〜ピアノのある生活

この三月、40年ぶりにピアノを再開した。音楽、それも楽器を演奏するのが好きでクラシックギターをはじめフメランコギターを好んでいたが腱鞘炎のためフレットがきちんと押さえられないときがあり諦めざるを得なくなった。その後弦の張りが弱いリュートを楽しんできたがどうしたことか急にピアノをやりたくなった。

Life with piano_03


クラシックギターは高校時代から独学だったが、実は1981年から1年半ほど近所のビアノの教室に通っていた時代があったのだ。そのとき、先生はポピュラー音楽を勧めてくれたが私は頑なにクラシックを選んだ。ためにバイエルを終えツェルニーの半分ほどまで行ったところでパソコンの仕事が優先せざるを得なくなってピアノは埃をかぶることに…。

Life with piano_02

※1981年に手に入れたローランド製電子ピアノ


なんで今年後期高齢者になる歳なのに今更ピアノをやりたくなったのかは自分でもよく分からない(笑)。
ただし前記した弦楽器が指の腱鞘炎のため、思うように動かないのがひとつの原因で、キーボードなら問題なく打鍵できるからでもあるに違いない。
そしてYouTubeなどで時折見てきた魅力的な演奏に惹かれたということもある…。

またやはりこの歳になるとボケになるのが怖い。本人はともかく女房に多大な迷惑をかけることになるだろうし、自分にしても可能な限り知的な生活はしたいものだ。
廻りの人たちは「多趣味で常に好奇心を持っているお前なら惚けないよ」と言ってくれるが、本人が一番危機感を持っているわけで承知のように指先を使うピアノは惚け防止にも効果があるものと信じているからでもある。事実ピアニストの多くは高齢になっても矍鑠としている例が多い。

ともかくピアノを…といってもまさかマンションに本物のピアノという訳にもいかないし一時の気の迷いという可能性もある。そして何よりも予算があるので当然?の結果として電子ピアノをと考えて探して見た。
その昔はアップライト型のローランド製電子ピアノを使っていたが、機械だらけの作業部屋には入らないだろうとまずはコンパクトな製品をと考えたが、驚いたことに一昔では考えられない安価で良さそうな製品が多々あることに気がついた。

そんな折り、Twitterで松尾公也氏が紹介されていた電子ピアノが良さそうだと即買いした次第。

Life with Piamo_01

※専用台にセットしたNikoMaku 電子ピアノは88鍵。背面にあるのは空気清浄機


なにしろこのNikoMaku 電子ピアノは88鍵、鍵盤のサイズも本物のピアノと同じでそのタッチも良いしダウンウエイトもそれなりの重さを持っている。しかも2万円以下なのだ…。
これを狭いとは言え、メインコンピュータの席の左側に設置し、思い立ったらすぐに弾けるようにと工夫した。
また内蔵スピーカーは小さいが音もなかなかに良いし利用時のほとんどはヘッドフォンを使うのでほぼ問題はない。

Life with piano_04

※左右にあるスピーカーもまずまずの音だ


ただし当然のこととは言え完全無欠であるはずはなく、MIDIなどを通してキーボードとして使うにはまったく問題ないと思うがこと私の様に「ピアノの代用品」として考える向きには多々問題もある。
一番の問題はこの種の安価な電子ピアノの鍵盤の多くはバネ式のはずだし本物のピアノはダンバーとハンマー等から構成される複雑なハンマーアクションなので本製品が12レベルの指力感知レベルを持っているというものの本来はタッチはもとより微妙なニュアンスはピアノと比べようがない。また連打をする際に音が出ないケースもあり得るし鍵盤の中央から奥を押さえるには些か力が必要であり弾きにくくなる。

繰り返すが要はピアノの鍵盤はハンマーアクションが基本。しかし安価な電子ピアノなどは簡便なバネを使っているからだが。今少し…後2万円ほど出せば簡易電子ピアノでもハンマーアクションの製品もあったのでちょっと早まったかも知れない。ただし私の力量では例えグランドピアノがあったとしてもその魅力とスペックを行かせるはずも無く、ここしばらくはこの電子ピアノで練習し、可能な範囲で早めに少しでもピアノのタッチに近づきたいこともありハンマーアクション式鍵盤の製品に買い換えようと考えている。
まあ、別に人に聴かせようとかコンサートを開くとかを考えているわけではなくあくまで己自身の楽しみのためなので懲りすぎは要注意かも(笑)。

で、電子ピアノそのに関してはまずまず満足しているし実はそれ以上に思わなかった成果が出た。それはiPadの活用である。
iPadは昨年、別の用途で手に入れたが、電子ピアノがBluetooth対応でiOSアプリをサポートしているという事を知り早速手元にiPadを電子楽譜として活用しようと試みた。

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NikoMaku 電子ピアノ 88鍵盤 SWAN コンパクトとiOS App「楽譜スキャナ」で紙の楽譜をiPadのカメラ(別途フラットベッドスキャナ等を使う方がクオリティが高くなる)で読み取れるだけでなくその曲をNikoMaku 電子ピアノで自動演奏してくれる。
いまどきのAIの時代、驚く事ではないかも知れないが、これは素敵だし例え機械的な音出しだとしても音の流れを確認出来るのは心強いし、さらにこのiPadがあればいちいち閉じられた楽譜を取り出す必要もなく好みの楽曲を多々納め、必要時に簡単に表示利用が出来る。

当初いまさらクラシックでもないからと簡単なジャズを弾きたいと練習をはじめた。そして何とか簡素に編曲された「枯葉」は弾けるようになると身の程も知らぬ思いが膨らんでくる。それは生涯一度でよいから…何の曲でも良いから…ショパンの曲を弾きたいという願望だ。

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※ジャズの楽譜とショパンの曲集らの楽譜を揃えてみたが…


ということで駄目で元々…との覚悟でショパン前奏曲ホ短調Op.28 No4(パデレフスキ版)に取り組みはじめた。短い曲なので二週間ほどでいわゆる譜読みはでき、たどたどしく、突っかかりながら音出しが出来るようになったが、さてこれが音楽となるにはまだどれほどの時間が必要なのか…分からない。

ともあれ、大昔のこと…朝、目が覚めると狭い部屋の片隅に置いたMacintoshが眼に入りほっこりし意欲が湧いたものだが、昨今は起きて仕事部屋に入ると設置した電子ピアノがまるで歓迎してくれるように鎮座していて「Wishing you a good day !」と語りかけているように思えて嬉しい。






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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員