ラテ飼育格闘日記_839

オトーサンが毎日朝起きるとまずはラテの慰霊に「ラテ、おはよう。今日もいい子でなっ」などと声をかけてコップの水を取り替えるという毎日だ。ラテの姿は見えないがそこに腹ばいになっているかのように「これからオトーサンたちのご飯だ。おいで…」などとも声をかける。


バカらしいと笑われようが、それだけオトーサンの心の中にはいまだにラテの生々しい姿が生きづいているのだから仕方がない。
ワンコの飼い方にも飼い主の都合や考え方によりそれこそ様々なバターンがあるだろう。大別すれば「外飼い」と「室内飼い」ということになるか…。

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ともあれ戸建てにしろマンション住まいにせよオトーサンたちにとってラテを家族に迎えるにあたり、当然室内飼いとして考えていたし事実その形を最後まで貫いた。まあベランダに犬小屋を作って…という例もあるそうだが、何しろオトーサンたちはラテを飼うために埼玉から多摩の地に引っ越し、それに相応しいであろう住居も探したのだ。

最初は二戸が繋がっている戸建て形式の賃貸住宅だった。二階建てだったことでもあり一階のリビングすべてはラテのテリトリーとして解放した。広さは8畳程度はあったはずだ。
物の本によればワンコにとって広いエリアは落ち着かないとあったが、そこの窓際に排泄シートとクレートを置き、常に新鮮な水を補給しておくことに注視した。

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※ビーグル犬のハリーちゃん、コーギー犬アポロちゃんと


ただしリビングからキッチンに至る箇所には柵を置き、普通はリビングから出られないようにしていた。そして二階および其処に至る階段は使用禁止とした。
ひとつには狭い急勾配の階段はワンコ、特に子犬にとって簡単に登れるものではなかったし上り下りさせると足腰に負担がかかると物の本にも書いてあったからだ。

また当初はすべておいてワンコを飼うと言うことがどのようなことなのかについて経験が無かったから、室内を綺麗にするという意味においてもラテの入室を禁止するエリアがあった方が良かろうと考えていた。したがって日中はもとより夜寝る際にもラテは一階のクレートに入り寝ることにしていたし、我々夫婦は二階で寝ていた。

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※時に激しい遊び方も…


ただしご想像いただける通り、いつもいつもラテが大人しく一人で寝るとは限らず、寂しいのか不安なのか…鳴き声を上げることがあるとオトーサンは昼夜に限らず二階から階段を降りてラテの様子を覗きに行くこととなる。とにかくラテのテリトリーの範囲には危険な物は置かないようにしていたが、物音を立てたり声を上げればやはり気になるので実際にはかなりの頻度でオトーサンは階段の上り下りをするはめになり、事実そのために左膝を痛めてしまってこともあった。

ということで当時すでにオトーサンは退職の身であり、昔の仲間や知人たちからの仕事の依頼にしても特別の場合を除いて自宅でやっていたので文字通りラテとは24時間常に同一空間で生活していた。ただしそれだけに当初心配したことのひとつに「分離不安」があった。

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※落ちていたフリスビーを大切に咥えて公園まで持ち込もうとする


飼い主と離れて過ごす不安から、精神的・肉体的に不調になり、そのストレスが原因で様々な問題行動を起こしてしまう状態を「分離不安症」や「分離不安障害」と言うそうだが、ときに食欲が低下し、下痢や嘔吐をするだけでなく部屋の中を荒らして物を壊したり自分の肉球などを囓る…などなどといった問題を起こすという。

特にラテはそもそもが保護犬であり、捨てられたのか迷子になったのかはともかく新たな飼い主として巡り会ったオトーサンたちの動向には敏感だった。
推察するに散歩中に念のためとどこかの手すりにリードを繋げたりすると異常に不安を見せるワンコだった。また捨てられるのか…と心配になるのかも知れない。
そこで家族に迎入れた最初期から分離不安に対する訓練をすることにした。

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※散歩途中の拾い食いも多く、マズルをこじ開けて吐き出させるのに苦労した


訓練というと大げだが、要はオトーサンが玄関のドアを開けて外に出ても必ず戻ってくると信じ込ませるわけだ。その具体的な方法は物の本にも書いてあった。
ラテの注意を引いた後にオトーサンは玄関のドアを開け「ラテ、行ってくるよ」と声をかけてドアを閉める。最初は15秒程度の短い時間でドアを開けて「ただいま」と室内に入る。無論ラテは猛烈に吠えた…。

それが次第に30秒、一分、五分と少しずつ繰り返しながら不在の時間を延ばしていくというやり方だ。
結果だが、ラテはオトーサンは戻ってくる事を学習し安心ようで、後を追ったり吠えたりはしなくなった。しかし「必ず戻ってくる」という信頼も度を超すと飼い主にとって面白くないことになった。なにしろ四歳とか五歳頃になると例えば数時間留守にして戻り、玄関のドアを開け「ラテ、帰って来たよ」と声をかけても、リビングに腹這いになっているラテは起き上がる気配もなく、ましてや顔をこちらに向けることもなく平然としているではないか。これまたオトーサンとしては少々寂しいものがある(笑)。



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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員