私的な電子ピアノの選び方〜何故DonnerのDDP-90だったか?

我が国で鍵盤楽器メーカーとして知られているのはYAMAHA、KAWAIを筆頭にRoland、KORG、CASIOなどが有名だし、相応の価格帯の製品であればその品質は間違いないと考える方も多いに違いない。しかし楽器は使い手、弾き手の好みが大きく左右するアイテムであり価格を含めて選択となるとなかなかに難しい…。


ということで今回は「私的な電子ピアノの選び方」と題して電子ピアノを “DonnerのDDP-90” に買い換えた際に注視したポイントをご紹介してみたい。
さて最初から頭にあったのはやはり予算だ。しかしどんなに安く手に入れられるとしてもこの種のアイテムの中古を手に入れるのは気が向かないのでまずは除外した。

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※電子ピアノ “DonnerのDDP-90”


Amazonを中心にして製品情報を集めてみたが、私の第一希望として「本体価格は5万円まで」という厳しい条件を満たし、かつ以下にご紹介するようなスペックを持つ製品を目指すというかなり厳しい選択だった。ために色々と考えては見たが今回は前記したYAMAHA、KAWAIを筆頭にRoland、KORG、CASIOといった国内メーカー製品はあえて断念することに(笑)。

【選択条件】
・88鍵
・タッチレスポンス機能
・ハンマーアクション ※必須※
・鍵盤サイズはグランドピアノと一緒
・アップライト型スタイル
・3本ペダル
・鍵盤蓋付き 
・グランドピアノのサンプリング音(できたらDREAM音源でないもの)

■DonnerのDDP-90を選ぶに至るあれこれ…
そう割り切るとメーカーは聞いたこともないメーカーばかりとなり、DEEYUU、ZHRUNS、SHEIRIN、KIMFBAY、CEULA、Donnerといった多分に中国製であろう製品が目立つことになった。中にはOEM製品もあるに違いない…。
そうした中でまずはハンマーアクションが採用されている製品を選択していく…。そしてアップライト型スタイルを持ついわゆるスタンド型にも拘ったが、いかにも簡素すぎて骨組みだけのようなデザインでは所有欲がそそられない(笑)。

多くは左右のスタンドは四角い一枚板のようなデザインがほとんどだったが、ひとつ直線的で簡易的ながら前脚を持つDonnerのDDP-90という製品が好みに合ったし蓋もある。そして全体的に安っぽくはないようだった。そしてこのデザインで奥行きはわずか35cmというのも魅力。

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※簡易的だが前脚を持ったデザインが気に入った


さらに確認していくと幸いこの製品はグランド・ピアノと同様に低音部では重く、高音部にいくほど軽くなるタッチを再現したウェイテッド・ハンマー・アクション鍵盤を採用し高い連打性能で、早いパッセージでも演奏者の表現力を損なうことなく音の強弱まで再現すると説明されていた。

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※蓋を閉めるとフラットなのでちょっとした書き物などもできる


またピアノ音源は、詳細は不明ながらAWMサンプリングを採用しグランドピアノの音源をサンプリングとのことで、多くの電子ピアノが採用しているフランスDREAM社音源ではなさそうだ。これまで使ってきた電子キーボードがDREAM音源だったし特に大きな不満もなかったが買い換えの機会に別のサンプリング音をと考えていたので食指が動いた。

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※操作部は電源とボリュームのみ。音源はグランドピアノのサウンドをサンプリングした一種のみ搭載


価格も予算の上限を僅かに切っていたことでもあり、詳しく調べて見ることにしたが、本体デザインは安っぽくなく繰り返すが簡易的ではあるものの前面両脇は前記したように飾り足を模っているし蓋も指を挟まないようにとフィンガーガードが付いているという気の使いようだ。
なによりもMIDI端子は装備しているものの、余計な機能はないしピアノ音源以外のサウンドは採用されてなく、あくまでグランドピアノの弾き心地の再現にこだわった製品のようだった…。

そしてペダルもアコースティック・ピアノ同様にダンパーに加えソフト、ソステヌートを使うことができる3本ペダルが標準装備だったしAmazonの販売ページの写真を見る限り、全体的に奇抜さを狙った点もないことからこのDonnerのDDP-90に決めた。
ひとつ他機種と比較してスピーカー出力が弱い感じだったが、そもそも本体のスピーカーから音量を全開して演奏することなど集合住宅だからして考えられない。そのほとんどがヘッドフォンの利用になるので気にならなかった。

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※本体裏面にはヘッドフォン端子が二つ、ペダルケーブル端子と両サイドに楕円型のステレオスピーカーが備わっている


とはいってもAmazonでの購入では店頭買いとは違って試しに感触を掴むことができないのでチャレンジャーではあったがこればかりは仕方がない。
評価を少々疑いながらも参考にしつつ、類似の製品とを比べ続けてみた。結果、ことピアノの代わりとして楽しむにはDonnerのDDP-90が最良だと判断し他製品より心持ち価格が上ではあったが注文に至った次第。

■DonnerのDDP-90の感想
届いたパッケージはあらかじめ承知してはいたものの、重量は33kgでサイズも88鍵幅が137cmだから相応の大きさと重さで組立は正直なかなか大変だった。
いや、組立はドライバー1本で済む理屈だがなにしろパーツが大きいので手際よくとはいかない。組立は二人でやるとよいことも分かっていたがその日は一人だったのでいやはや大変だった。
それにしても組立が終わったDonnerのDDP-90は思っていた通り存在感のある素敵な姿だった。

スタンドのデザインはもとより中密度繊維板 (MDF)で構成された木製部分はどのような塗装なのかは分からないが艶消しのピアノブラックといった体で雑な作りではなかった。
やはり気になったのは鍵盤だ。以前の記事でも述べたが鍵盤を押した瞬間「ピアノのそれだ!」と感じたし鍵盤全体を見渡しても、白鍵23mm×150mm、黒鍵11mm×95mmと現代のピアノの標準サイズだったし白鍵同士の間隔も綺麗に揃っている。

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※なによりもその鍵盤のタッチはピアノを思わせるものだった!


そして肝心の音だが、普通本物のピアノは中音と高音は1つの鍵盤に対して3本ずつ弦を張り、低音は最低音に近づくにつれて3本、2本…と減らすそうだ。
これは音量を大きくする意図もあるが、同じ音程に合わせた3本の弦を同時に叩いてもハンマーの接弦状態や弦の指示位置が1弦毎に違うため、3本の弦は全く同じ弦振動とはならず、反対にそのことが余韻を生じ、豊かな響きとして我々の耳に達する理屈だという。

なにを言いたいかというと、DonnerのDDP-90の音源の詳細は不明ながらグランドピアノの音をサンプリングしたものだという。そして実際に一つの鍵盤を叩いてその減衰を聞くと機械的な短音が減衰していくというのではなく、複数本の弦を叩いたように僅かに揺らぎを感じるのだ。
この僅かな…微妙な揺らぎが特に音量を上げて弾くとき、生のピアノの音、リアルなピアノの響きを生むと考えられる。

では以前使っていたDREAM音源はどうだったかは残念ながら本体はすでに処分済みなので確認はできないが上記のような事には気づかなかったことは確かだ。
ということで私はこのDonnerのDDP-90の音は気に入っている。勿論人により好みもありもっと艶やかな音が良いとか、落ち着いた音が良いと…いった意見もあるはずだが、私の場合は幸い結果オーライだった。

鍵盤のタッチも繰り返しになるが、単純なバネ(スプリング)などで支えているのではなく簡素化されてはいるもののグランドピアノのようなハンマーアクション機構を備えているそれは確かにピアノの指感触を思わせる…。
事実これまでの電子ピアノで練習してきた曲もタッチがかなり違うため、練習をやり直すはめになるくらいの差があった。

ということで電子ピアノDonnerのDDP-90と共に高さ調節ができ楽譜の収納機能もあるピアノ椅子とこれまでよりよい音で練習できるだろうマランツ製のモニターヘッドフォンも新たに揃えた。

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※ピアノ用椅子とヘッドフォンも揃えた


後は練習あるのみだが、現在ショパンの前奏曲ホ短調Op.28 No.4を腱鞘炎やガングリオン手術後の曲がった指で日々少しずつ前に進んでいる。
しかし、まあ…これほどの製品が5万円を切る価格で買えるとは凄い時代だ!






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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員