ラテ飼育格闘日記_841

ラテが亡くなってからすでに一年二ヶ月が経つ…。ちょうどこの原稿を書き始めたのは5月6日なのでいわゆる月命日でもあるが、今さらながらラテという娘を失ったことはオトーサンの心の中で忘れるどころか日増しに悲しみが大きくなっていく…。


ラテを我が家に迎えるとき「家族として迎えよう」とは思ったが正直それがどういうことなのか、よく分かっていなかったことは確かだ。

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無論ワンコを飼うことにどのような覚悟が必要なのかは理解していた。毎日散歩させなければならないし排泄の後始末は勿論、朝夕の食事の世話もオトーサンが行うことに決めていた。しかし無知だったのは子犬がどれほど活発でヤンチャなのかは実際にラテと暮らしてみるまでは分からなかったし最初に困ったのは甘噛みだった。

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子犬とはそういうものらしいが、我が事になれば理屈を「はいそうですか」と容認できるはずもない。なにしろオトーサンの両腕はラテの歯が当たって傷だらけとなった。さすがに本気で噛むことはしないがマズルをオトーサンの腕に当ててきたり、拳固を突き出せば「ぱくり」と大口開けて咥えようとするわけであっというまに傷だらけになり時には出血もする。

甘噛みの時期に玩具として有用だといわれる少々大きめのガムなども与えてみたが、困ったことに我が娘はそうした物より、日常生活品の方が好みのようで特に木製のものは無残なことになり、一時はフローリングの床にまで歯を立てた。
ただしラテの名誉のために申し上げておくと、15年にもわたる日々一緒の生活においてオトーサンは一度も噛まれたことはない…。夢中になって歯を当てた瞬間「あっ、しまった!」といった感じの表情で飛び退いたものだった。

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ともあれ、それまでまったく経験がなかったオトーサンが朝昼晩と3回の散歩と就寝前の排泄のための外出を実行し、朝夕のご飯の支度をやり始めたのだからいやはや大変だった。というより夢中だったので細かなことは覚えていないのだが(笑)。
そんな状況を一ヶ月ほど続けた翌月(2007年1月21日)のことだが、オトーサンは一人札幌に飛んだ…。会社時代のスタッフの結婚式だというので久しぶりに一泊で出かけることになったが、心配は無論ラテのことだった。

世話そのこと自体は女房が休みを取ってくれたのでラテがひとりぼっちになる訳ではなかったが、女房自体もオトーサンよりもっとラテの扱いに慣れていなかった訳だから正直心配で心配でならなかった。
結婚式に参列した後、いそいそと帰路についたが特に問題はないことを女房から連絡を受けていたこともあって安堵していたオトーサンだが、いまひとつの危惧は戻っても果たしてラテはオトーサンのことを歓迎してくれるかどうかだった(笑)。

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たった一日留守にしただけではあるが、ラテはそのことをどう思っているのか、どう理解をしているのかが心配だった。
ラテが雨の日にとある家の軒下で保護されたことは度々記したが、その経緯は残念ながら我々には分からない。しかし生後3ヶ月ほどの子犬が飼い主のエリアを大きく逸脱し一匹で歩き回るというのも変だしやはり何らかの事情で捨てられたのだろうとも考えていた。

事実ラテもそうしたことがある種のトラウマになっていた感じで、例えば散歩の途中でオトーサンが両手を使いたいからと側の手すりなどにラテのリードを繋ぐと嫌だと吠え出す…。また常にリードは離さなかったが、とある四方が完全に囲まれているテニスコートでラテのリードを離してもオトーサンとの距離5メートルほど以上は離れないのだ。

日常の分離不安といったものは克服していたが、やはり飼い主と離れるのは大きな不安を感じていたであろうラテだったからこそ心配していたのだ。
オトーサンが戻ってきた時間はまだ日の高いうちだったこともあり、近隣のTULLY’Sまで女房がラテを連れて向かえにきてくれた。

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そのシーンはいまだに覚えているし忘れられないが、オトーサンの姿を見つけたラテはリードを引きつつその場に座り込むようにしたオトーサンに向かって突進してきただけでなく前年の11月にはじめてラテと対面したときを思い起こすようにオトーサンの膝に前脚を乗せながらオトーサンの顔をベロベロに舐め回した。そのとき眼鏡をかけていたため、オトーサンの視界はラテの唾液で見えなくなったが、視界が曇ったのは決してラテの唾液だけでなくオトーサン自身の涙のせいでもあった。





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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員