ジョブズの現実歪曲フィールド効果か?Apple商標権問題解決!

Appleならびにいくつかの報道によれば、長年AppleとビートルズのAppleとで争われてきた商標権の問題に決着がついたという。しかも我々が考えもしなかった結末として...。ジョブズはこの度、どのような "現実歪曲フィールド" を使ったのだろうか。 


よく知られているとおり、事の起こりはApple Computer社(現Apple Inc.)の創業までにさかのぼる。
ビートルズのレコード会社であるApple Corps社はApple Computer社のビジネスが起動に乗ると、すぐに商標権侵害だとして訴えを起こす。このトラブルは1981年11月に秘密裏に協定を結んだとされ一旦は終熄する。要はApple Computer社は多額の使用許諾料を支払い、Appleという商標権を維持することが出来たとされる。そしてこの時の約定ではあくまでApple Computer社はコンピュータメーカーとして、そしてApple Cropsは音楽企業としての棲み分けを明確にするということだった。早く言えば、Apple Computer社はApple Corpsの専門分野である音楽産業には手を出さないという約束だった。 

しかしパーソナルコンピュータもマルチメディア云々を目指し、映像と共にクオリティの良いサウンドを扱えるようになってくる。Macintoshもそうした進化をせざるを得なかったが、これには1989年2月に再びApple Corpsが協定違反を盾に訴えを起こす...。もう泥沼の状態である。 
Apple Computer社は協定違反を認めなかったものの、2,650万ドルをApple Corpsに支払うことで一応の決着をつけたとされているが、話はまだまだこじれる...。 
その後、ご承知のようにApple Computer社はiPodを発表し、iTunesを起動に乗せる。まさしくこれは音楽産業への進出であると再びApple Corpsは提訴をする。 
Apple Computer社の主張は「iTunesとネットワーク、そしてコンピュータで扱っているのはデータであって音楽ではない」というものだった。イギリスにおけるこの裁判は幸いにもApple Computer社に有利な展開をしたというが、まさしくAppleという商標はとんでもない高い代償の上にかろうじて輝いていたともいえる。 

それが今回の合意である。合意したというだけでも驚きだが、何と...Appleという商標権はApple Inc.が所有し、Apple CorpsはApple Inc.へ使用権料を支払うという...合意に至ったという。何とも逆転満塁ホームラン以上の結果となったのだ。 
その裏には両社の思惑と共に、多額の金が動くことは間違いないが、今年のMacworld Conference & Expo 2007でApple Inc.への社名変更を行ったときには、すでに基本的合意に達していたのかも知れない。 

スティーブ・ジョブズは説得力に長けたCEOとして知られているが、身につけているというその特殊能力は「歪曲フィールド」に「現実」がついた「現実歪曲フィールド」と呼ばれている。そしてこの言葉は例えば毎日コミュニケーションズ刊「未来をつくった人々」(マイケル・ヒルツィック著/鴨澤眞夫翻訳)にもきちんと登場する。 
理屈から考えれば「フィールド(field)」とはこの場合、電場・磁場・重力場などの「場」を意味すると考えられよう。そしてその前に「現実歪曲」と付くのだから文字通りその意味は「現実や事実を歪めてしまう場」といった意味になる...。 
結論めくが「現実歪曲フィールド」は、スティーブ・ジョブズの持つカリスマ性が現実世界に及ぼす影響力を意味する言葉として使われる。 
Apple Computer社が創立以来、彼の回りに多々語り続けられている逸話があり、すでにその多くは伝説化している。そしてそれらは主役がスティーブ・ジョブズでなければなし得ない結果を生むような場合に、例えば「ジョブズの現実歪曲フィールドが発動するや否や、一瞬で無理が有理に変化した...」などと使われる訳だ。 

今回、スティーブ・ジョブズはApple Corpsに対してどのような「現実歪曲フィールド」を使ったのだろうか(笑)。まずは目出度い! 

■Apple Inc.
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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員