マイコンに夢中になった原点はこの一冊だった!
貴方はどのようなきっかけでパーソナルコンピュータ...いやMacintoshのユーザーとなったのだろうか。勿論人ぞれぞれで100人いればすべて違ったきっかけがあるのかも知れないが私自身は一冊のムック本と橋本尚著「使いかた楽しみ方〜マイコンがわかる本」という徳間書店刊の新書がきっかけだったのである。
すでに記憶はかなり曖昧なのでどれほど正確なのかは自分でも不明だが、ともかく1977年の秋口だっただろうか、神田神保町の三省堂書店の店頭でたまたま一冊のムック本が目に入った。確かそれは昼休みに食事をした後書店に立ち寄ったときの出来事だったと思う。
ムック本のタイトルなどは覚えていないが「マイコンの本」といったようなシンプルなそして大きな活字が表紙に踊っていたように記憶しているのだが...。
そのムック本が私にマイコン(マイクロコンピュータ)というものが存在すること、そして個人でコンピュータが所有できる時代になったという事を実感させてくれたのだった。
無論私はそのムックを購入して貪るように読んだが、写真を多用したその一冊はマイコンがどのようなものであり、どんなことが出来るかについてその概要を分かりやすく解説してあったものの熟読するにつれもっと詳細な情報が欲しくなった。
昼休みの時間を利用して神保町の書店を回るのを常にしていた私はマイコンに関する書籍を探し始めたがいわゆるコンピュータ理論とか大型コンピュータに関する書籍はあったもののまったくの素人が読めるような本は見つからなかった。しかしある日、新刊書のコーナーだったと思うが「マイコンがわかる本」という私が探していた主旨そのもののタイトルが付いた本が目に付いた。
それが本日ご紹介する古書、徳間書店刊「マイコンがわかる本」(橋本尚著)だったのである。

いま確認すると本書の初版は昭和52年(1977年)12月10日とある。したがって私が本書を手にした時期はその前後に間違いないはずで、本書に数日没頭した私は意を決し結婚したばかりでろくに蓄えもなかったが、かき集めた10万円をジーンズのポケットにねじ込み秋葉原へ富士通FACOM Lkit-8 というワンボードマイコンを買いにいったのである。
一冊の本を丹念に読んだとはいえマイコンの実物を触ったことがあるわけでもない私は本書の内容を理解できたはずもない。
本書巻末の「マイコン用語集」というページにある「アキュムレータ(accumulator)」「アセンブラ(assembler)」「インターフェース(interface)」「エンコード(encode)」「オブジェクト・コード(object code)」「コンパイラ(compiler language)」そして「サブルーチン(subroutine)」などなどといったほとんどが初めて見聞きする言葉をまるで呪文のように感じていたものである。
本書はマイコン、すなわちコンピュータとはどのようなものであるか、そしてどんな仕組みでどのような働きができるのかを応用編も含めて詳しくそして平坦に解説してあるが、本書の内容の一部が文字通り私の血肉となり実体験できるのはFACOM Lkit-8 と格闘し始めてからである。まだまだ素人が分かりやすい解説書など皆無の時代だったから私はFACOM Lkit-8と本書を報復しながら理屈と実際を重ね合わせていったともいえる。
ともかく翌年の1978年からマイコン雑誌に投稿を始めたのだから我ながらその没頭ぶりには感服する(笑)。
本書はそんな一冊だったから当時のものは一年も過ぎるとボロボロになりそのまま捨ててしまったのかも知れないがその存在すら忘れていた。それが昨年末急に思い立ち、再度読んでみたいと思ってネット検索を駆使してやっと手に入れたのが本書なのだ。
大げさにいうなら、いわば私は本書を探すことでマイコンとかパーソナルコンピュータといったものに取り憑かれた時代の原点へ自分探しの旅をしてみたかったのかも知れない(笑)。
そして本書巻末に筆者が書いている「マイコンの未来は、他ならぬ人間の未来に大きくかかわっている。マイコンは、私たちの日常生活を根本的に変える力すら持っている。」という記述は当時の期待感と一抹の不安がよく表れているように思えて興味深い。そして人間の未来はともかく、マイコンやパソコンは間違いなく私の未来を...人生を変えたのは確かである。
ちなみに本書が出版された1977年、私がワンボードマイコンを入手したその1977年はAppleが法人企業として正式なデビューをした年なのだ。
あれからすでに三十有余年たったわけだが、私の机上には当時想像もつかなかったほどのパワーを持つMac Proが鎮座し、iPadやMacBook Airが存在するのだから長いようで短いこの30年がいかにテクノロジーの進化にとって激変の時代だったのかをあらためて思い知らされるではないか...。
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「使いかた楽しみ方〜マイコンがわかる本」
1977年12月10日 初版
著 者:橋本 尚
発行所:徳間書店
定 価:630円
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すでに記憶はかなり曖昧なのでどれほど正確なのかは自分でも不明だが、ともかく1977年の秋口だっただろうか、神田神保町の三省堂書店の店頭でたまたま一冊のムック本が目に入った。確かそれは昼休みに食事をした後書店に立ち寄ったときの出来事だったと思う。
ムック本のタイトルなどは覚えていないが「マイコンの本」といったようなシンプルなそして大きな活字が表紙に踊っていたように記憶しているのだが...。
そのムック本が私にマイコン(マイクロコンピュータ)というものが存在すること、そして個人でコンピュータが所有できる時代になったという事を実感させてくれたのだった。
無論私はそのムックを購入して貪るように読んだが、写真を多用したその一冊はマイコンがどのようなものであり、どんなことが出来るかについてその概要を分かりやすく解説してあったものの熟読するにつれもっと詳細な情報が欲しくなった。
昼休みの時間を利用して神保町の書店を回るのを常にしていた私はマイコンに関する書籍を探し始めたがいわゆるコンピュータ理論とか大型コンピュータに関する書籍はあったもののまったくの素人が読めるような本は見つからなかった。しかしある日、新刊書のコーナーだったと思うが「マイコンがわかる本」という私が探していた主旨そのもののタイトルが付いた本が目に付いた。
それが本日ご紹介する古書、徳間書店刊「マイコンがわかる本」(橋本尚著)だったのである。

いま確認すると本書の初版は昭和52年(1977年)12月10日とある。したがって私が本書を手にした時期はその前後に間違いないはずで、本書に数日没頭した私は意を決し結婚したばかりでろくに蓄えもなかったが、かき集めた10万円をジーンズのポケットにねじ込み秋葉原へ富士通FACOM Lkit-8 というワンボードマイコンを買いにいったのである。
一冊の本を丹念に読んだとはいえマイコンの実物を触ったことがあるわけでもない私は本書の内容を理解できたはずもない。
本書巻末の「マイコン用語集」というページにある「アキュムレータ(accumulator)」「アセンブラ(assembler)」「インターフェース(interface)」「エンコード(encode)」「オブジェクト・コード(object code)」「コンパイラ(compiler language)」そして「サブルーチン(subroutine)」などなどといったほとんどが初めて見聞きする言葉をまるで呪文のように感じていたものである。
本書はマイコン、すなわちコンピュータとはどのようなものであるか、そしてどんな仕組みでどのような働きができるのかを応用編も含めて詳しくそして平坦に解説してあるが、本書の内容の一部が文字通り私の血肉となり実体験できるのはFACOM Lkit-8 と格闘し始めてからである。まだまだ素人が分かりやすい解説書など皆無の時代だったから私はFACOM Lkit-8と本書を報復しながら理屈と実際を重ね合わせていったともいえる。
ともかく翌年の1978年からマイコン雑誌に投稿を始めたのだから我ながらその没頭ぶりには感服する(笑)。
本書はそんな一冊だったから当時のものは一年も過ぎるとボロボロになりそのまま捨ててしまったのかも知れないがその存在すら忘れていた。それが昨年末急に思い立ち、再度読んでみたいと思ってネット検索を駆使してやっと手に入れたのが本書なのだ。
大げさにいうなら、いわば私は本書を探すことでマイコンとかパーソナルコンピュータといったものに取り憑かれた時代の原点へ自分探しの旅をしてみたかったのかも知れない(笑)。
そして本書巻末に筆者が書いている「マイコンの未来は、他ならぬ人間の未来に大きくかかわっている。マイコンは、私たちの日常生活を根本的に変える力すら持っている。」という記述は当時の期待感と一抹の不安がよく表れているように思えて興味深い。そして人間の未来はともかく、マイコンやパソコンは間違いなく私の未来を...人生を変えたのは確かである。
ちなみに本書が出版された1977年、私がワンボードマイコンを入手したその1977年はAppleが法人企業として正式なデビューをした年なのだ。
あれからすでに三十有余年たったわけだが、私の机上には当時想像もつかなかったほどのパワーを持つMac Proが鎮座し、iPadやMacBook Airが存在するのだから長いようで短いこの30年がいかにテクノロジーの進化にとって激変の時代だったのかをあらためて思い知らされるではないか...。
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「使いかた楽しみ方〜マイコンがわかる本」
1977年12月10日 初版
著 者:橋本 尚
発行所:徳間書店
定 価:630円
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