ポケットガイガーのための被ばく量基礎知識篇
「Pocket Geiger Type4」で計測した値は何を物語るのか…。どの程度の線量であれば日常生活に問題がないと考えて良いのだろうか?そうしたことを知らずに計測だけ行っても意味がない...。以下にわか勉強しただけの私だからして間違いや勘違いもあることを承知でその一番知りたい部分の話を続けてみたい。
ご承知の方も多いと思うが、私たちが1年間に自然から受ける被ばく線量は2.4 mSv/Y(この値は世界平均値で日本はこれよりかなり少ないらしい)といわれているが、この自然被ばく線量及び医療被ばくを除いたものを追加被ばく線量といい、この被ばく量を一般の人の場合、年間1ミリシーベルト以下にすることが国の方針で示されている。要するに追加被ばくの量が年間1ミリシーベルトを超えれば我々の身体に何らかの悪影響を与える可能性を示唆したものと考えて良いだろう。
そしてこの年間1ミリシーベルトを1時間当たりに換算すると、0.19マイクロシーベルト(µSv/h)となる。この関係を式であらわすと “毎時0.19マイクロシーベルト×(8時間+0.4×16時間)×365日=年間1ミリシーベルト” と表される。その意味は1日のうち屋外に8時間、屋内( 遮蔽効果[0.4倍]のある木造家屋)に16時間滞在するという生活パターンを想定したものだという。
ということは、自然被ばく線量が2.4 mSv/Y、追加被ばく線量が 1mSv/Y の計 3.4 mSv/Y までなら許容量だとも受け取れるがどうやら事はそんなに単純ではないらしい。
いくつかの情報によると例えば1ミリシーベルトの被曝を想定した場合、大人のガン死者は...という問いに対して専門家たちの意見は立場によりその許容値に大きな考え方の違いがある。
国際放射線防護委員会(ICRP) は10,000人に1人と算出し、電離放射線の影響に関する委員会 “Committee on the Biological Effects of Ionizing Radiation” (BEIR)は5,000人に1人と算出。また科学者の幾人は2,500人に1人と説明しているという。

※「Pocket Geiger Type4」とiPhone 5で計測中
さらに子供の場合は大人の5倍程度の影響度と考えられているため、ICRPは2,000人に1人、BEIRは1,000人に1人、前記科学者らは500人に1人と主張しているらしい。
まあ、申し上げるまでもなく「10,000人に1人なら安全に等しい」というのも感情的には受け入れがたいし、放射線の影響はガンだけではないので大変難しい問題を含むだけに被ばく量は少しでも少ないに超したことはないと考えるべきだろう。
だとすれば我々が生活を営んで行く場合、自然から受ける被ばく線量は避けることができないわけだが、対して医療被ばくを別にした追加被ばく線量がどこまで安全なのか...という議論は私のような素人にはまやかしとしか思えない。
なぜならそもそも原発事故などを原因とする被ばく量などというものは本来あってはならないものだからだ。あってはならない事象の許容量を考えるなどおかしいではないか。
したがって何シーベルトまでなら安全だという主張は「事故によるこの程度の被ばくは人体にすぐさま影響がありません」という当事者たち一連の責任逃れのための方便に聞こえる。
ともあれ乱暴に結論づければ 0.19 (µSv/h) という空間線量以下であればまず問題ないことになるわけだろうし、野外活動への制限を文部科学省がうたっている 3.8µSv/h 以下の環境であれば通常の生活が続けられるという理屈になる。しかし人体への影響となれば滞在時間の長短も問題だろうし、影響は前記したように大人と子供では違う。そして個人差も多いと考えなければならないのではないか…。
さらに東京都の産業労働局が発表している「東京電力福島第一原子力発電所事故に係る大気浮遊塵中放射性物質の調査報告」の「表3」などによれば、事故直後の3月だけで吸入摂取量は他の月と比較しても異常に高い3600 ベクレル(放射性物質の放射能量)もあったそうだ。
無論放射線が人体に与える影響は、放射性物質の放射能量(ベクレル)の大小を比較するのではなく、放射線の種類やエネルギーの大きさ、放射線を受ける身体の部位なども考慮した数値すなわちシーベルトで比較する必要があるとはいえ無視できない値だし、本来ならこの時期だけでも子供たちを外に出さないといった行政指導が必要だったのではないか...。
そしてそのシーベルト値でも3月15日の10時から11時の1時間だけでも吸入摂取による実行線量は6.3 µSv/h (内セシウム137 だけでも2.2 µSv/h )だったという(以下表5参照)。おいおい!
ちなみに非公式情報とはいえ 3月15日午前6時すぎ,福島4号機が爆発を起こし2号機の圧力計も異常値を示した午前7時,第一原発から約300キロも離れた米海軍横須賀基地で放射線量の増加を告げる警報が鳴ったという。米軍関係者はただちに基地内の女性および子どもを一時退避させたという話があるそうだ。
なぜ日本ではそうした対応が取れないのだろうか...。まことに歯痒い。

ということは短時間だとしても核種合計の線量は前記野外活動の制限値よりはるかに多かったことになり、都や政府の対応はあまりに遅すぎるし訂正を含む発表にどれほど信憑性があるのか疑わざるを得ない。
前回「ポケットガイガーType4 計測実践篇」で記した近隣の空間線量計測値をあらためて眺めると広い公園で計測した値は誤差を悪い方に考えれば 0.19 (µSv/h) に近づく値になるとも考えられることを含め、すでに我々東京都民も...場所にもよるだろうが...かなり汚染されているのかも知れない。
私が遅ればせながら「Pocket Geiger Type4」を手にしたのも、行政側や東電側からの発表ではなく自分の住む地域が安全なのか...あるいは危惧すべき状態なのかを自身の手で確認したかったことに他ならない。
このシリーズ最初の回の冒頭にも記したように、空間線量を計ったからといって即どうなるものでもないが、現実を正しく知らずして適切な行動はできない...。

※「Pocket Geiger Type4」
専門家と呼ばれる人たちの意見さえ大きく違うこの問題が個人の力で十分納得および理解できるとは思わないが、正直事故後TVなどで顔を揃えた専門家たちの多くが信用できないのであれば自身で何らかの行動を起こさなければならない。
そもそも個人がガイガーカウンターを持ち歩く時代が幸福であるわけはないが、繰り返すがまずは真実を知りたいと思う。
まあまあ、偉そうなことをいろいろと記してみたが「Pocket Geiger Type4」を買ったことをきっかけにして放射能およびそれらの影響に関して少しずつでも知識を得ていきたいと考えている...。
ご承知の方も多いと思うが、私たちが1年間に自然から受ける被ばく線量は2.4 mSv/Y(この値は世界平均値で日本はこれよりかなり少ないらしい)といわれているが、この自然被ばく線量及び医療被ばくを除いたものを追加被ばく線量といい、この被ばく量を一般の人の場合、年間1ミリシーベルト以下にすることが国の方針で示されている。要するに追加被ばくの量が年間1ミリシーベルトを超えれば我々の身体に何らかの悪影響を与える可能性を示唆したものと考えて良いだろう。
そしてこの年間1ミリシーベルトを1時間当たりに換算すると、0.19マイクロシーベルト(µSv/h)となる。この関係を式であらわすと “毎時0.19マイクロシーベルト×(8時間+0.4×16時間)×365日=年間1ミリシーベルト” と表される。その意味は1日のうち屋外に8時間、屋内( 遮蔽効果[0.4倍]のある木造家屋)に16時間滞在するという生活パターンを想定したものだという。
ということは、自然被ばく線量が2.4 mSv/Y、追加被ばく線量が 1mSv/Y の計 3.4 mSv/Y までなら許容量だとも受け取れるがどうやら事はそんなに単純ではないらしい。
いくつかの情報によると例えば1ミリシーベルトの被曝を想定した場合、大人のガン死者は...という問いに対して専門家たちの意見は立場によりその許容値に大きな考え方の違いがある。
国際放射線防護委員会(ICRP) は10,000人に1人と算出し、電離放射線の影響に関する委員会 “Committee on the Biological Effects of Ionizing Radiation” (BEIR)は5,000人に1人と算出。また科学者の幾人は2,500人に1人と説明しているという。

※「Pocket Geiger Type4」とiPhone 5で計測中
さらに子供の場合は大人の5倍程度の影響度と考えられているため、ICRPは2,000人に1人、BEIRは1,000人に1人、前記科学者らは500人に1人と主張しているらしい。
まあ、申し上げるまでもなく「10,000人に1人なら安全に等しい」というのも感情的には受け入れがたいし、放射線の影響はガンだけではないので大変難しい問題を含むだけに被ばく量は少しでも少ないに超したことはないと考えるべきだろう。
だとすれば我々が生活を営んで行く場合、自然から受ける被ばく線量は避けることができないわけだが、対して医療被ばくを別にした追加被ばく線量がどこまで安全なのか...という議論は私のような素人にはまやかしとしか思えない。
なぜならそもそも原発事故などを原因とする被ばく量などというものは本来あってはならないものだからだ。あってはならない事象の許容量を考えるなどおかしいではないか。
したがって何シーベルトまでなら安全だという主張は「事故によるこの程度の被ばくは人体にすぐさま影響がありません」という当事者たち一連の責任逃れのための方便に聞こえる。
ともあれ乱暴に結論づければ 0.19 (µSv/h) という空間線量以下であればまず問題ないことになるわけだろうし、野外活動への制限を文部科学省がうたっている 3.8µSv/h 以下の環境であれば通常の生活が続けられるという理屈になる。しかし人体への影響となれば滞在時間の長短も問題だろうし、影響は前記したように大人と子供では違う。そして個人差も多いと考えなければならないのではないか…。
さらに東京都の産業労働局が発表している「東京電力福島第一原子力発電所事故に係る大気浮遊塵中放射性物質の調査報告」の「表3」などによれば、事故直後の3月だけで吸入摂取量は他の月と比較しても異常に高い3600 ベクレル(放射性物質の放射能量)もあったそうだ。
無論放射線が人体に与える影響は、放射性物質の放射能量(ベクレル)の大小を比較するのではなく、放射線の種類やエネルギーの大きさ、放射線を受ける身体の部位なども考慮した数値すなわちシーベルトで比較する必要があるとはいえ無視できない値だし、本来ならこの時期だけでも子供たちを外に出さないといった行政指導が必要だったのではないか...。
そしてそのシーベルト値でも3月15日の10時から11時の1時間だけでも吸入摂取による実行線量は6.3 µSv/h (内セシウム137 だけでも2.2 µSv/h )だったという(以下表5参照)。おいおい!
ちなみに非公式情報とはいえ 3月15日午前6時すぎ,福島4号機が爆発を起こし2号機の圧力計も異常値を示した午前7時,第一原発から約300キロも離れた米海軍横須賀基地で放射線量の増加を告げる警報が鳴ったという。米軍関係者はただちに基地内の女性および子どもを一時退避させたという話があるそうだ。
なぜ日本ではそうした対応が取れないのだろうか...。まことに歯痒い。

ということは短時間だとしても核種合計の線量は前記野外活動の制限値よりはるかに多かったことになり、都や政府の対応はあまりに遅すぎるし訂正を含む発表にどれほど信憑性があるのか疑わざるを得ない。
前回「ポケットガイガーType4 計測実践篇」で記した近隣の空間線量計測値をあらためて眺めると広い公園で計測した値は誤差を悪い方に考えれば 0.19 (µSv/h) に近づく値になるとも考えられることを含め、すでに我々東京都民も...場所にもよるだろうが...かなり汚染されているのかも知れない。
私が遅ればせながら「Pocket Geiger Type4」を手にしたのも、行政側や東電側からの発表ではなく自分の住む地域が安全なのか...あるいは危惧すべき状態なのかを自身の手で確認したかったことに他ならない。
このシリーズ最初の回の冒頭にも記したように、空間線量を計ったからといって即どうなるものでもないが、現実を正しく知らずして適切な行動はできない...。

※「Pocket Geiger Type4」
専門家と呼ばれる人たちの意見さえ大きく違うこの問題が個人の力で十分納得および理解できるとは思わないが、正直事故後TVなどで顔を揃えた専門家たちの多くが信用できないのであれば自身で何らかの行動を起こさなければならない。
そもそも個人がガイガーカウンターを持ち歩く時代が幸福であるわけはないが、繰り返すがまずは真実を知りたいと思う。
まあまあ、偉そうなことをいろいろと記してみたが「Pocket Geiger Type4」を買ったことをきっかけにして放射能およびそれらの影響に関して少しずつでも知識を得ていきたいと考えている...。
- 関連記事
-
- LaCieのThunderbolt ハードディスク「LittleBigDisk」始動 (2013/02/13)
- ScanSnap S1100 をバード電子の専用スタンドで使う (2013/02/12)
- iMac 27インチ Late2012のメモリ増設を実施 (2013/02/06)
- 新デスクトップ・オーディオ計画第4弾〜サウンド篇 (2013/02/05)
- 新デスクトップ・オーディオ計画第3弾〜セッティング篇 (2013/01/23)
- ポケットガイガーのための被ばく量基礎知識篇 (2013/01/22)
- 新デスクトップ・オーディオ計画第2弾「DDA-100-S 」 (2013/01/16)
- ポケットガイガーType4 計測実践篇 (2013/01/15)
- 新デスクトップ・オーディオ計画第1弾「TD307MK2A」 (2013/01/07)
- 究極のデジタル写真エフェクトツール「alpha」の魅力 (2012/08/13)
- 写真でモザイクイメージを作成する「photo mosaic」レポート (2012/08/06)