ガリレオ・ガリレイの父ヴィンチェンツォ著「FRONIMO」とは
天文学者のガリレオ・ガリレイの名を知らない人はいないだろうが、その父親ヴィンチェンツォ・ガリレイ(Vincenzo Galilei 1520?〜1591)が熟練したリュート奏者で作曲家、音楽理論家だったことを知っている人は少ないに違いない。
ヴィンチェンツォ・ガリレイはフィレンツェ近郊のサンタ・マリア・ア・モンテで生まれ、そのフィレンツェで没したが、彼は後期ルネサンス期にあってリベラルな考え方を持つ人物であり、息子ガリレオに多大な影響を与えたという。
実はそのヴィンチェンツォ・ガリレイが対話形式により、ルネサンス音楽の基本概念・理論・自説をリュートの賢者フロニモに託してストーリーを展開するという著作「FRONIMO DIALOGO DI VINCENTIO GALILEI NOBILE FIORENTINO, SOPR A L'ARTE DEL BENE INTAVOLARE, ET RETTAMENTE SONARE LA MVSICA…」が存在する。

※Vincenzo Galilei著「FRONIMO」の原著ファクシミリ版表紙
FRONIMOとは賢者の意味だそうだが、続いての意味は「フィレンツェの貴族ヴィンチェンツォ・ガリレイによる巧みに編曲する技術及び、弦楽器・管楽器で正確に音楽を奏する技術にかんする対話」と記されているそうだ。
そして多くのリュートの譜面(タブラチュア譜)と共にリュートの奏法・編曲法・調律法に話が及ぶという..。
その原書のファクシミリ版をここで見ることが出来るのは嬉しいものの、残念ながら私には内容を把握することはできない。
しかしこの著作の存在を知ったとき、同時に日本語訳が出版されていることも分かり早速Amazonに注文した。
なにはともあれ、こうした歴史的な書物を日本語で読めるというその事にまずは単純に感動している。何しろ原書は増補改訂版ながら出版は1584年のことなのだから…。
ちなみにこの頃の日本はと確認してみると天正12年、小牧・長久手の戦...すなわち豊臣秀吉と徳川家康・織田信雄の連合軍とのあいだでおこなわれた合戦があった年だ。翌年に秀吉は関白になっている。

※東京コレギウム刊「フロニモ -リュートの賢者-」表紙
さて「フロニモ -リュートの賢者-」はリュートの名人であるフロニモとその友人でエウマティオ(Eumathes)すなわち (呑み込みが速い人の意) が対話形式で芝居がかった進行を見せるが、エウマティオがフロニモに教えを請うという設定になっている。
本書はルネサンス期の音楽を愛し、かついわゆる音楽理論に精通している人たちにとってはリュート演奏ならびにルネサンス音楽解釈のよりよき指南書となるだろう。とはいえ私のように理論立てて学んだことのない者にとって内容は当然のことながらすんなりと意味が理解できない部分も多い。しかし本書の訳者である菊池賞氏が「訳者まえがき」で記しているように、本書は一般的に理論書として扱われるもののその実態は実践の書だという言葉に励まされ、分からないなりにもヴィンチェンツォ・ガリレイのいわんとする実技について少しでも理解できるようになりたいと考えている。
ちなみに内容などについて注文がある筈もないが、本好きの一人としてひとつ願うことなら、本書のカバーデザインは何といったらよいのか…そう…軽すぎる印象を受ける(笑)。原著というかもう少しルネサンスの雰囲気が伝わるような重厚なデザインにして欲しいと思うのだが…。
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「フロニモ -リュートの賢者-
」
2009年8月26日 初版発行
著者:ヴィンチェンツォ・ガリレイ
訳者:菊池 賞
監修:水戸茂雄
発行所:東京コレギウム
コード:ISBN978-4-924541-91-7 C0073
価 格:4,000円(税別)
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ヴィンチェンツォ・ガリレイはフィレンツェ近郊のサンタ・マリア・ア・モンテで生まれ、そのフィレンツェで没したが、彼は後期ルネサンス期にあってリベラルな考え方を持つ人物であり、息子ガリレオに多大な影響を与えたという。
実はそのヴィンチェンツォ・ガリレイが対話形式により、ルネサンス音楽の基本概念・理論・自説をリュートの賢者フロニモに託してストーリーを展開するという著作「FRONIMO DIALOGO DI VINCENTIO GALILEI NOBILE FIORENTINO, SOPR A L'ARTE DEL BENE INTAVOLARE, ET RETTAMENTE SONARE LA MVSICA…」が存在する。

※Vincenzo Galilei著「FRONIMO」の原著ファクシミリ版表紙
FRONIMOとは賢者の意味だそうだが、続いての意味は「フィレンツェの貴族ヴィンチェンツォ・ガリレイによる巧みに編曲する技術及び、弦楽器・管楽器で正確に音楽を奏する技術にかんする対話」と記されているそうだ。
そして多くのリュートの譜面(タブラチュア譜)と共にリュートの奏法・編曲法・調律法に話が及ぶという..。
その原書のファクシミリ版をここで見ることが出来るのは嬉しいものの、残念ながら私には内容を把握することはできない。
しかしこの著作の存在を知ったとき、同時に日本語訳が出版されていることも分かり早速Amazonに注文した。
なにはともあれ、こうした歴史的な書物を日本語で読めるというその事にまずは単純に感動している。何しろ原書は増補改訂版ながら出版は1584年のことなのだから…。
ちなみにこの頃の日本はと確認してみると天正12年、小牧・長久手の戦...すなわち豊臣秀吉と徳川家康・織田信雄の連合軍とのあいだでおこなわれた合戦があった年だ。翌年に秀吉は関白になっている。

※東京コレギウム刊「フロニモ -リュートの賢者-」表紙
さて「フロニモ -リュートの賢者-」はリュートの名人であるフロニモとその友人でエウマティオ(Eumathes)すなわち (呑み込みが速い人の意) が対話形式で芝居がかった進行を見せるが、エウマティオがフロニモに教えを請うという設定になっている。
本書はルネサンス期の音楽を愛し、かついわゆる音楽理論に精通している人たちにとってはリュート演奏ならびにルネサンス音楽解釈のよりよき指南書となるだろう。とはいえ私のように理論立てて学んだことのない者にとって内容は当然のことながらすんなりと意味が理解できない部分も多い。しかし本書の訳者である菊池賞氏が「訳者まえがき」で記しているように、本書は一般的に理論書として扱われるもののその実態は実践の書だという言葉に励まされ、分からないなりにもヴィンチェンツォ・ガリレイのいわんとする実技について少しでも理解できるようになりたいと考えている。
ちなみに内容などについて注文がある筈もないが、本好きの一人としてひとつ願うことなら、本書のカバーデザインは何といったらよいのか…そう…軽すぎる印象を受ける(笑)。原著というかもう少しルネサンスの雰囲気が伝わるような重厚なデザインにして欲しいと思うのだが…。
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「フロニモ -リュートの賢者-
2009年8月26日 初版発行
著者:ヴィンチェンツォ・ガリレイ
訳者:菊池 賞
監修:水戸茂雄
発行所:東京コレギウム
コード:ISBN978-4-924541-91-7 C0073
価 格:4,000円(税別)
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