知ってますか?日本一の斬られ役...福本清三さんを
テレビのドキュメンタリーで日本一の斬られ役者、福本清三さんの名を知った。無論彼の顔は時代劇ファンの一人としては周知のことだった。名前は知らなくても「あ...あの人また斬られている...」と気になる存在だった。
福本清三さんへのインタビューを本にした「おちおち死んでられません〜斬られ役ハリウッドへ行く」と前作「どこかで誰かが見ていてくれる」の2冊を買った。きっかけは偶然に見たテレビのドキュメンタリー番組だった。
それまでにも彼の名を知らなくても顔は知っていた。「水戸黄門」「暴れん坊将軍」「長七郎江戸日記」などなど...ラストの斬り合いには必ずといってよいほど彼の顔がある。思わず「おっ、彼また出ている」と応援をしてしまう(笑)。


彼の名は福本清三、1943年兵庫県生まれ。大部屋の役者...台詞もないし台本も見せられることなくクレジットも出ない。そして必ず斬られて殺される役ばかり...。
その定年間際まで文字通り家族を養うためにとがむしゃらに殺され役を演じてきた彼にトム・クルーズ主演「ラストサムライ」から出演交渉が舞い込む...。
海外撮影の数ヶ月間、メインの仕事を離れると「ラストサムライ」のギャラは少なくて家計に響く...。しかし奥様は「そんなものはどうにでもなるから」と彼を喜んで送り出す。いやはや、今回本書を買う気になったのは以前から気になっていた斬られ役の名を知ったことは勿論だが、それ以上にテレビに出た奥様の心意気と笑顔が素敵だったからである。
熟年離婚とか定年離婚といった文言が流行のように言われ、それまでの夫婦が何事もなかったように離れていくようなニュースが多い中で福本清三さんの奥様...雅子さんは輝いて見えた。夫のこと、2人のことを話すときは生き生きとして素敵だった!
「普通はスターでもだんだんと消えていくのに、うちの人は定年間際になって輝くのだから凄い」といったノロケとも尊敬ともいえる言葉をポンポンと吐く。隣で旦那が呆れ、照れている...(^_^)。
夫をこれだけ信じて自慢できる奥様も最高なら、その夫も素敵でないはずはない。
福本清三さんは何かのときに書く「職業欄」には「役者」ではなく「会社員」と書くという。自分は役者というには奥がましいしその役者になるつもりもなかったからという。あくまで主役...スターをいかに際立たせるかを気遣い、リアルな斬られ方を工夫し続けてきたその一途で謙虚な人柄に我々は良い意味で古風な武士の姿と心意気を見るようであり、忘れかけたかつての日本人の心根を思い出して感動するのかも知れない。
目立ってはいけないが、次の仕事にも声がかかる程度に目立たなければいけない。斬られ役一筋40数年。斬られ斬られて2万回。定年間際で代表作は「なし」と豪語するその彼に「ラストサムライ」出演の話が持ち上がる。そして結果として2004年第27回日本アカデミー賞協会特別賞を受賞。
これがドラマでなくして何がドラマだろうか...。まさしく「事実は小説よりも奇なり」を地でいく彼の輝きに心から拍手を送りたい。
そして東映時代劇映画の栄枯盛衰と共に歩んだ福本清三さんの語りには思わず涙を禁じ得ない部分もあるし心地よい笑いもある。また映画産業が光り輝いていた当時を知る最良の資料ともなるだろう。
そして何よりも時代劇を見るとき彼の姿を探すのが一層楽しみになった。これからも健康に注意してご活躍を期待したい。
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おちおち死んでられません 〜 斬られ役ハリウッドへ行く
発行 2004年4月30日 第1刷発行
著者:福本清三、小田豊二
発行:株式会社 創美社
発売:株式会社 集英社
書籍コード:ISBN4-420-31007-3 C0074
定価:本体1,500円+税
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日本一の斬られ役 〜 どこかで誰かが見ていてくれる
発行 2003年12月20日 第1刷発行
著者:福本清三、小田豊二
編集:株式会社 創美社
発行:株式会社 集英社
書籍コード:ISBN4-08-747651-0 C0195
定価:本体571円+税
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福本清三さんへのインタビューを本にした「おちおち死んでられません〜斬られ役ハリウッドへ行く」と前作「どこかで誰かが見ていてくれる」の2冊を買った。きっかけは偶然に見たテレビのドキュメンタリー番組だった。
それまでにも彼の名を知らなくても顔は知っていた。「水戸黄門」「暴れん坊将軍」「長七郎江戸日記」などなど...ラストの斬り合いには必ずといってよいほど彼の顔がある。思わず「おっ、彼また出ている」と応援をしてしまう(笑)。


彼の名は福本清三、1943年兵庫県生まれ。大部屋の役者...台詞もないし台本も見せられることなくクレジットも出ない。そして必ず斬られて殺される役ばかり...。
その定年間際まで文字通り家族を養うためにとがむしゃらに殺され役を演じてきた彼にトム・クルーズ主演「ラストサムライ」から出演交渉が舞い込む...。
海外撮影の数ヶ月間、メインの仕事を離れると「ラストサムライ」のギャラは少なくて家計に響く...。しかし奥様は「そんなものはどうにでもなるから」と彼を喜んで送り出す。いやはや、今回本書を買う気になったのは以前から気になっていた斬られ役の名を知ったことは勿論だが、それ以上にテレビに出た奥様の心意気と笑顔が素敵だったからである。
熟年離婚とか定年離婚といった文言が流行のように言われ、それまでの夫婦が何事もなかったように離れていくようなニュースが多い中で福本清三さんの奥様...雅子さんは輝いて見えた。夫のこと、2人のことを話すときは生き生きとして素敵だった!
「普通はスターでもだんだんと消えていくのに、うちの人は定年間際になって輝くのだから凄い」といったノロケとも尊敬ともいえる言葉をポンポンと吐く。隣で旦那が呆れ、照れている...(^_^)。
夫をこれだけ信じて自慢できる奥様も最高なら、その夫も素敵でないはずはない。
福本清三さんは何かのときに書く「職業欄」には「役者」ではなく「会社員」と書くという。自分は役者というには奥がましいしその役者になるつもりもなかったからという。あくまで主役...スターをいかに際立たせるかを気遣い、リアルな斬られ方を工夫し続けてきたその一途で謙虚な人柄に我々は良い意味で古風な武士の姿と心意気を見るようであり、忘れかけたかつての日本人の心根を思い出して感動するのかも知れない。
目立ってはいけないが、次の仕事にも声がかかる程度に目立たなければいけない。斬られ役一筋40数年。斬られ斬られて2万回。定年間際で代表作は「なし」と豪語するその彼に「ラストサムライ」出演の話が持ち上がる。そして結果として2004年第27回日本アカデミー賞協会特別賞を受賞。
これがドラマでなくして何がドラマだろうか...。まさしく「事実は小説よりも奇なり」を地でいく彼の輝きに心から拍手を送りたい。
そして東映時代劇映画の栄枯盛衰と共に歩んだ福本清三さんの語りには思わず涙を禁じ得ない部分もあるし心地よい笑いもある。また映画産業が光り輝いていた当時を知る最良の資料ともなるだろう。
そして何よりも時代劇を見るとき彼の姿を探すのが一層楽しみになった。これからも健康に注意してご活躍を期待したい。
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おちおち死んでられません 〜 斬られ役ハリウッドへ行く
発行 2004年4月30日 第1刷発行
著者:福本清三、小田豊二
発行:株式会社 創美社
発売:株式会社 集英社
書籍コード:ISBN4-420-31007-3 C0074
定価:本体1,500円+税
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日本一の斬られ役 〜 どこかで誰かが見ていてくれる
発行 2003年12月20日 第1刷発行
著者:福本清三、小田豊二
編集:株式会社 創美社
発行:株式会社 集英社
書籍コード:ISBN4-08-747651-0 C0195
定価:本体571円+税
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