三遊亭圓歌「中沢家の人々」完全版は抱腹絶倒
先日たまたまテレビのスイッチを入れたらチャンネルがNHKだった。画面にはしばらくぶりに見た3代目三遊亭圓歌が十八番の「中沢家の人々」を演じていた。無論その演目は知っていたし断片的に見聞きしたことはあったが1時間以上にも及ぶ完全版のCDがあるというのでAmazonで手に入れてみた。
届いたCDのジャケットに写っている圓歌はどこかあの谷啓に似いている(笑)。
その久しぶりの姿を眺めていると歌奴の時代に「授業中」で随分と楽しませてもらったことをまざまざと思い出す。
落語に詳しい方は沢山いらっしゃるから蛇足かと思うが、三遊亭圓歌は現在社団法人落語協会の最高顧問だが1996年から10年間会長に就任していたこの世界の重鎮である。
圓歌は1929年の生まれだと言うから今年80歳ということになるが、吃音者であったことをネタにしたあの「山のあなあな...)」で一世を風靡した「授業中」に笑い転げていたころは1960年代後半だったが、1970年に3代目圓歌を襲名してからテレビにはとんと出なくなったこともあり、その落語に接する機会も少なくなってしまった。
その上、彼は1985年に日蓮宗本法寺で得度(法名・本遊円法日信)出家し、噺家と僧侶の二足のわらじをはくことになる。

※三遊亭圓歌「中沢家の人々」完全版CDジャケット
さて今般あらためて圓歌の十八番である「中沢家の人々」完全版を謳うCDを購入し、その1時間以上にもおよぶ落語を聞いてみた。
ご承知のように私たちが気楽に接することが出来るテレビやラジオによる落語は時間的な制約が多く10分とか20分で演じきらなければならないことがほとんどだ。
嘘か誠かは分からないが本演目の中でも本人が「一番短いのは4分」という話しもあるくらいなのだ。したがって1時間以上にもなる噺は文字通り完全版といってよい代物なのである。
本演目の収録は2005年3月31日、鈴本演芸場における「三遊亭圓歌の会」の収録だというが、多く耳にしている噺が贅沢にも “まくら“ として使われ、そうしたお馴染みの話を楽しみながら本編「中沢家...」へと入っていく。
この「中沢家の人々」だが、圓歌の本名が ”中沢“ であり、自分の両親はもとより、先妻の両親、再婚相手の両親の計6人もの年寄りと暮らすことになった圓歌自身のエピソードが語られすでに大ヒットした「授業中」を超える圓歌の代表作となった噺である。
「ジジイ」とか「ババア」といった乱暴な言葉がポンポンと飛び出しその語り口は些か乱暴だが、決して人を不快にしない独特の噺は絶妙である。
圓歌はこの「中沢家の人々」という演目を圓歌襲名後から少しずつ温め、そして大きく膨らましながら演じてきたというが、聞いている年寄りたちが楽しんでいる雰囲気はこれまた大好きな中高年のアイドル「綾小路きみまろ」に通じるものがある(笑)。
もしかしたら綾小路きみまろの原点は圓歌にあったのではないかと思わせるような雰囲気も感じられるほどだ。
笑ってはいられない深刻な問題を多々かかえる高齢化社会だが「中沢家の人々」にはその深刻さを笑って乗り越えようという牽引力がある。無論現実にはそんな生やさしい問題ではないわけだが、誰もが100%毎日老いに向かって歩み、これまた100%その死から逃れた人はいないのだ。だからこそ物事は...毎日をポジティブに考えて過ごすことがいかに大切なのかを「中沢家の人々」はあらためて知らしめてくれるような気がする。
とはいってもこの圓歌が噺す「中沢家の人々」を実話と真に受けてしまってはいけない。落語なんだから...(笑)。
どこまでが本当でどこからがウソ...いや創作なのかがわからず、ついすべてが実話だと思いたくなりその噺の心地よさに身をゆだねてしまうが、それは圓歌の噺が巧いからだ。
いまのところ1時間を超える「中沢家...」を聴くことが出来るのは本CDしかないようだが、聴けば聴くほど今度は圓歌の姿が見たくなってきたので別途DVDも注文してしまった...。
■中沢家の人々・完全版
届いたCDのジャケットに写っている圓歌はどこかあの谷啓に似いている(笑)。
その久しぶりの姿を眺めていると歌奴の時代に「授業中」で随分と楽しませてもらったことをまざまざと思い出す。
落語に詳しい方は沢山いらっしゃるから蛇足かと思うが、三遊亭圓歌は現在社団法人落語協会の最高顧問だが1996年から10年間会長に就任していたこの世界の重鎮である。
圓歌は1929年の生まれだと言うから今年80歳ということになるが、吃音者であったことをネタにしたあの「山のあなあな...)」で一世を風靡した「授業中」に笑い転げていたころは1960年代後半だったが、1970年に3代目圓歌を襲名してからテレビにはとんと出なくなったこともあり、その落語に接する機会も少なくなってしまった。
その上、彼は1985年に日蓮宗本法寺で得度(法名・本遊円法日信)出家し、噺家と僧侶の二足のわらじをはくことになる。

※三遊亭圓歌「中沢家の人々」完全版CDジャケット
さて今般あらためて圓歌の十八番である「中沢家の人々」完全版を謳うCDを購入し、その1時間以上にもおよぶ落語を聞いてみた。
ご承知のように私たちが気楽に接することが出来るテレビやラジオによる落語は時間的な制約が多く10分とか20分で演じきらなければならないことがほとんどだ。
嘘か誠かは分からないが本演目の中でも本人が「一番短いのは4分」という話しもあるくらいなのだ。したがって1時間以上にもなる噺は文字通り完全版といってよい代物なのである。
本演目の収録は2005年3月31日、鈴本演芸場における「三遊亭圓歌の会」の収録だというが、多く耳にしている噺が贅沢にも “まくら“ として使われ、そうしたお馴染みの話を楽しみながら本編「中沢家...」へと入っていく。
この「中沢家の人々」だが、圓歌の本名が ”中沢“ であり、自分の両親はもとより、先妻の両親、再婚相手の両親の計6人もの年寄りと暮らすことになった圓歌自身のエピソードが語られすでに大ヒットした「授業中」を超える圓歌の代表作となった噺である。
「ジジイ」とか「ババア」といった乱暴な言葉がポンポンと飛び出しその語り口は些か乱暴だが、決して人を不快にしない独特の噺は絶妙である。
圓歌はこの「中沢家の人々」という演目を圓歌襲名後から少しずつ温め、そして大きく膨らましながら演じてきたというが、聞いている年寄りたちが楽しんでいる雰囲気はこれまた大好きな中高年のアイドル「綾小路きみまろ」に通じるものがある(笑)。
もしかしたら綾小路きみまろの原点は圓歌にあったのではないかと思わせるような雰囲気も感じられるほどだ。
笑ってはいられない深刻な問題を多々かかえる高齢化社会だが「中沢家の人々」にはその深刻さを笑って乗り越えようという牽引力がある。無論現実にはそんな生やさしい問題ではないわけだが、誰もが100%毎日老いに向かって歩み、これまた100%その死から逃れた人はいないのだ。だからこそ物事は...毎日をポジティブに考えて過ごすことがいかに大切なのかを「中沢家の人々」はあらためて知らしめてくれるような気がする。
とはいってもこの圓歌が噺す「中沢家の人々」を実話と真に受けてしまってはいけない。落語なんだから...(笑)。
どこまでが本当でどこからがウソ...いや創作なのかがわからず、ついすべてが実話だと思いたくなりその噺の心地よさに身をゆだねてしまうが、それは圓歌の噺が巧いからだ。
いまのところ1時間を超える「中沢家...」を聴くことが出来るのは本CDしかないようだが、聴けば聴くほど今度は圓歌の姿が見たくなってきたので別途DVDも注文してしまった...。
■中沢家の人々・完全版
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