フラメンコギターの天才パコもMacユーザー!
フラメンコ界屈指の天才ギタリスト「パコ・デ・ルシア」の素顔と人間像、そしてコンサート風景を紹介する2枚組DVD「FRANCISCO SANCHEZ - PACO DE LUCIA」を久しぶりに観た。その彼が曲作りに使っていたのがPowerBook G3なのだ。
フラメンコあるいはフラメンコギターを志す者にとってパコ・デ・ルシアの名を知らないひとはいないはずだ。これまで狭い民族音楽といった感のあるフラメンコギターをコンサートに耐えうる芸術に押し上げた先駆者にはカルロス・モントーヤとかサビーカスなどの先達がいた。しかし国や音楽嗜好を問わず、ジャンルの壁を越えて多くのファンを得たのはパコ・デ・ルシアの功績だといっても過言ではなく、だからこそ彼に与えられた「フラメンコの革命児」という栄誉は伊達ではない。
私もパコ・デ・ルシアのCDはほとんど持っているし日本公演時には女房と一緒に聴きに行ったこともある一ファンである。しかし彼の天才ぶりはよく分かるもののそのバックグランドなどについてこれまで多くを語られることはなかった。
本DVD「FRANCISCO SANCHEZ - PACO DE LUCIA」はそのDVD 1枚目に彼の生い立ちからこれまでの活動を振り返ることはもとより、彼自身の口から父や母、そしてフラメンコのことなどを語るというファンにとっては大変貴重な映像が収録されている。
たぶん彼も年齢と共に(パコは私より一歳年上だ)心境が変わってきたのだと思うが、実はDVDのタイトルにある「FRANCISCO SANCHEZ」とは彼の本名なのである。

※DVD 2枚組「FRANCISCO SANCHEZ - PACO DE LUCIA」
映像にある海に潜って魚を捕り、植木をいじり、市場に出で買い物をする...あるいは子供と戯れるのは「パコ・デ・ルシア」ではなくフランシスコ・サンチェス・ゴメスなのだ。そして若いときとは違い、なるべくフランシスコ・サンチェス・ゴメスでいたいという心情がよく分かる...。
「義務では弾きたくない」といい、また「金のために弾くことは容易い。しかし腹はすぐに膨れるが精神はそういうわけにはいない。もっとどん欲なものだから巧くなろうとすることは苦しく辛いことだ」といった芸術家特有の発言もそれが天才の名を恣にしているパコ・デ・ルシア自身の口から語られると説得力がある。
純粋なフラメンコのツアーだけでなく彼は80年代にはジョン・マクラフリン、アル・ディメオラとのスーパー・ギタートリオを組んだり、81年にはジャズ・ピアニストのチック・コリアとも競演するなど他のジャンルと積極的に交わってきた。そうした中からこれまでフラメンコにはなかったハーモニーの重要性をも感じてきたという。
さらに本来楽譜には縁のないフラメンコ・ギタリストとしてロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲」を演奏するといった試みも実践して成功させているがそのためにソルフュージュを学びなおしたというから凄い。
そして素人の私たちからは天賦の才が有り余る文字通りの天才の口から「一日12時間もギターを練習した...」といった発言を聞くとその努力の部分が普段は見えないからこそ驚いてしまう。
余談になるがイギリスの作家コナン・ドイルもシャーロック・ホームズ物語の初編となった「緋色の研究」の中でホームズに「天才とは、無限に苦痛に耐えうる能力をいうそうだ」と言わしめている。
その出典はどうやらカーライルの「フレデリック大王の生涯」にある「天才とは何よりもまず、無限に努力する能力である」ではないかと言われているが凡人には耳の痛い話だ(笑)。
そしてパコ・デ・ルシアは自身が録音しリリースされた自分の音楽は絶対聴かないというある意味では病的と思えるほどの完全主義者の顔も見せる。
ひとつのエピソードとして自身が語るには、街中で「上手い!」と思った演奏に出会ったがよくよく聞いてみるとそれは自分の演奏であった。その後その音は大嫌いになったという(笑)。
彼以外の口から出た言葉なら大いに嫌みを感じるだろう(爆)。
彼のこれまでの活動やらを記していたのではきりがないが、実はこのDVDを観ていたらノートパソコンで曲作りをしている場面があった。そのパソコンはよくよく見るまでもなくPowerBook G3で、使っているソフトウェアがLogicであることがわかりまたまた惚れ直す機会になってしまった。

※パコ自らPowerBook G3を操作している...
パコのひげ面、そして浴衣(愛用しているみたいだ)一枚でPowerBook G3に向かっているその姿はなんとも嬉しくなってくる。
なおこの映像がリリースされたのが2003年だったから、たぶんパコ・デ・ルシアも現在では最新のMacBook Proを使っているのではないかと想像している。
そういえば私のフラメンコギターの師匠、大沢憲三先生もPowerBookユーザーだったっけ...!
その他、DVD2枚組のうちドキュメンタリーの方ではパコ自身の若かりし頃の映像はもとよりだが1975年2月18日にスペイン王立劇場でやったコンサート、カマロンとの共演やカルロス・サンタナ、チック・コリアとの共演など貴重な映像が見られる。さらにニーニョ・リカルドの映像 ビセンテ・アミーゴやトマティート、マノロ・サンルーカルやラファエル・リケーニ、ファン・マヌエル・カニサレスといった当代きってのギタリストたちのインタビューも見ることが出来て興味深い。
フラメンコあるいはフラメンコギターを志す者にとってパコ・デ・ルシアの名を知らないひとはいないはずだ。これまで狭い民族音楽といった感のあるフラメンコギターをコンサートに耐えうる芸術に押し上げた先駆者にはカルロス・モントーヤとかサビーカスなどの先達がいた。しかし国や音楽嗜好を問わず、ジャンルの壁を越えて多くのファンを得たのはパコ・デ・ルシアの功績だといっても過言ではなく、だからこそ彼に与えられた「フラメンコの革命児」という栄誉は伊達ではない。
私もパコ・デ・ルシアのCDはほとんど持っているし日本公演時には女房と一緒に聴きに行ったこともある一ファンである。しかし彼の天才ぶりはよく分かるもののそのバックグランドなどについてこれまで多くを語られることはなかった。
本DVD「FRANCISCO SANCHEZ - PACO DE LUCIA」はそのDVD 1枚目に彼の生い立ちからこれまでの活動を振り返ることはもとより、彼自身の口から父や母、そしてフラメンコのことなどを語るというファンにとっては大変貴重な映像が収録されている。
たぶん彼も年齢と共に(パコは私より一歳年上だ)心境が変わってきたのだと思うが、実はDVDのタイトルにある「FRANCISCO SANCHEZ」とは彼の本名なのである。

※DVD 2枚組「FRANCISCO SANCHEZ - PACO DE LUCIA」
映像にある海に潜って魚を捕り、植木をいじり、市場に出で買い物をする...あるいは子供と戯れるのは「パコ・デ・ルシア」ではなくフランシスコ・サンチェス・ゴメスなのだ。そして若いときとは違い、なるべくフランシスコ・サンチェス・ゴメスでいたいという心情がよく分かる...。
「義務では弾きたくない」といい、また「金のために弾くことは容易い。しかし腹はすぐに膨れるが精神はそういうわけにはいない。もっとどん欲なものだから巧くなろうとすることは苦しく辛いことだ」といった芸術家特有の発言もそれが天才の名を恣にしているパコ・デ・ルシア自身の口から語られると説得力がある。
純粋なフラメンコのツアーだけでなく彼は80年代にはジョン・マクラフリン、アル・ディメオラとのスーパー・ギタートリオを組んだり、81年にはジャズ・ピアニストのチック・コリアとも競演するなど他のジャンルと積極的に交わってきた。そうした中からこれまでフラメンコにはなかったハーモニーの重要性をも感じてきたという。
さらに本来楽譜には縁のないフラメンコ・ギタリストとしてロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲」を演奏するといった試みも実践して成功させているがそのためにソルフュージュを学びなおしたというから凄い。
そして素人の私たちからは天賦の才が有り余る文字通りの天才の口から「一日12時間もギターを練習した...」といった発言を聞くとその努力の部分が普段は見えないからこそ驚いてしまう。
余談になるがイギリスの作家コナン・ドイルもシャーロック・ホームズ物語の初編となった「緋色の研究」の中でホームズに「天才とは、無限に苦痛に耐えうる能力をいうそうだ」と言わしめている。
その出典はどうやらカーライルの「フレデリック大王の生涯」にある「天才とは何よりもまず、無限に努力する能力である」ではないかと言われているが凡人には耳の痛い話だ(笑)。
そしてパコ・デ・ルシアは自身が録音しリリースされた自分の音楽は絶対聴かないというある意味では病的と思えるほどの完全主義者の顔も見せる。
ひとつのエピソードとして自身が語るには、街中で「上手い!」と思った演奏に出会ったがよくよく聞いてみるとそれは自分の演奏であった。その後その音は大嫌いになったという(笑)。
彼以外の口から出た言葉なら大いに嫌みを感じるだろう(爆)。
彼のこれまでの活動やらを記していたのではきりがないが、実はこのDVDを観ていたらノートパソコンで曲作りをしている場面があった。そのパソコンはよくよく見るまでもなくPowerBook G3で、使っているソフトウェアがLogicであることがわかりまたまた惚れ直す機会になってしまった。

※パコ自らPowerBook G3を操作している...
パコのひげ面、そして浴衣(愛用しているみたいだ)一枚でPowerBook G3に向かっているその姿はなんとも嬉しくなってくる。
なおこの映像がリリースされたのが2003年だったから、たぶんパコ・デ・ルシアも現在では最新のMacBook Proを使っているのではないかと想像している。
そういえば私のフラメンコギターの師匠、大沢憲三先生もPowerBookユーザーだったっけ...!
その他、DVD2枚組のうちドキュメンタリーの方ではパコ自身の若かりし頃の映像はもとよりだが1975年2月18日にスペイン王立劇場でやったコンサート、カマロンとの共演やカルロス・サンタナ、チック・コリアとの共演など貴重な映像が見られる。さらにニーニョ・リカルドの映像 ビセンテ・アミーゴやトマティート、マノロ・サンルーカルやラファエル・リケーニ、ファン・マヌエル・カニサレスといった当代きってのギタリストたちのインタビューも見ることが出来て興味深い。
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