何度見ても感動する物語〜DVD「赤毛のアン 特別版」
世の中にはそれこそ数多くの小説や映画作品が存在するが2度と見る気のしない作品というのも実に多い。しかしだからこそいつ読んでも...観ても、何度読んでも...観ても感動するという作品に巡り会うと宝物を得たような気持ちになる...。私にとって後者の好例がルーシー・モード・モンゴメリ作の「Anne of Green Gables」邦訳「赤毛のアン」である。
いい歳をしたオヤジが「赤毛のアン」の物語を好むと聞いても笑わないでいただきたい...。そもそも「赤毛のアン」は決して子供向けとして書かれた物語ではない。
確かに私が最初にこの大変魅力的な物語を読んだのは中学生の頃だったと思うが主人公のアン・シャーリーほどではないにしろ、空想・想像好きの多感な少年にとってアンの思考回路が理解できたのだから面白くないはずはなかった。
少年の頃、夜になっても布団をかぶりながら読んだ「赤毛のアン」はアンの身に自分を重ねるという興味だった。無論私は孤児ではないが年頃の少年には、いや...多少世間というものがわかりかけてきた少年にとっては嫌なことや相応の辛いこともあり、アンの不幸と後の幸せをまるで自分のことのように感じて涙し笑ったものだ。
いま、久しぶりに新訳の「赤毛のアン」(松本侑子訳)を読むと同時にこれまた手元に置いておきたい映像と考え、以前観たことのある「赤毛のアン 特別版」DVDをあらためて入手してみた。
この作品はすでに多くの方がご覧になっていると思うが、1985年にカナダで制作され公開は1994年6月だという。監督はケヴィン・サリヴァン。

※DVD「赤毛のアン 特別版」パッケージ
そこには...DVDのパッケージコピーではないけれど「あの日に帰れる。そこでアンが待っているから。」という感覚に浸ることができ、昔住んでいた故郷をのぞき込むような何とも暖かくも懐かしい、そして美しい自然とグリーン・ゲイブルズの存在を楽しむことが出来る。
私はこの歳になってもいまだにアンの気持ちは十分に分かるものの、さすがにアンよりはマシュー・カスバートやマリラ・カスバートに感情移入してしまうことに気づき、自分も歳を重ねたことをあらためて認識せざるを得ない(笑)。
マシュー・カスバートは確か60歳くらいだったと思うがそのマシューと同年代になった私にはアンを慈しみたいと願う彼の心根がひしひしと伝わってくる。
原作ではグリーン・ゲイブルズに引き取られることになったアンは11歳だったが映像の中のアンは13歳と言っている。映像の中のアンは原作のイメージより少々大人っぽくあまり痩せてもいないもののさすがアン役のミーガン・フォローズは3000人のオーディションの中から選ばれただけあって、私にはアン本人として楽しむことが出来る。ちなみにミーガン・フォローズは当時16歳だったという。
欲を言えばアンを含め、ダイアナもギルバートも原作のイメージはもっと子供っぽいのだが...。
ただしマシューとマリラは原作から飛び出てきたようでイメージにぴったりなのは嬉しい。
物語は手違いからプリンス・エドワード島のグリーン・ゲイブルズ(緑の切り妻屋根)に住むマシューとマリラのもとにやってきた孤児のアン・シャーリー。男の子を希望していたマシューとマリラだが空想好きのお喋りな赤毛の少女に次第に心惹かれていく...。
アンが空想好きなのは単なる趣味趣向ではなく孤児として辛酸を舐めた毎日を送ってきた彼女にとって唯一の慰めであったのだ。
すでに原作を多々読んできた私は大筋はよく知っているが「赤毛のアン 特別版」DVDによる映像化は原作とは別の味わいがあり、美しいシーンに出会う度に涙腺が緩んでしまう。
特にDVD作品は原作では断片的に知らされるだけだった孤児院時代のアン...。アンを受け入れた家庭で酷使され疎まれていた不幸なアンの姿を描いているのは興味深い。だからこそアンがグリーン・ゲイブルズに住めると信じたときの感激や手違いで本当は男の子が欲しかったのだと知らされた時の落胆の大きさをより感じることができる。
ブライトリヴァー駅で迎えを待つアン。
行き違いで来たとも知らずマシューの馬車に乗りマシューの腕にそっと腕を回すアン。
小言を言われながらもマリラと歩きながらその手を握るアン...。
美しいプリンス・エドワード島の自然と共にアンが健気に生きようとする姿やカスバート家の日常を見ていると現代の私たちは何か大切なものをどこかに置き忘れてきたのではないかと考え込んでしまう...。
この「赤毛のアン」を読んだマーク・トウェインはモンゴメリに「かの不滅のアリス以来最も可愛らしく、最も感動的で最も利発な子」と絶賛の手紙を送ったというがアンの存在は小説ながらリアリティがあるため何度読んでもあるいは観ても飽きることがない。
日常の雑多なあれこれに疲れたとき、アンの台詞「思い悩む心は、深い忘却のとばりに包み隠そう(へマンズの詩)」ではないけれど...悩みはとりあえず包み隠し、グリーン・ゲイブルズのアンに会ってみるのも一興である...。
いい歳をしたオヤジが「赤毛のアン」の物語を好むと聞いても笑わないでいただきたい...。そもそも「赤毛のアン」は決して子供向けとして書かれた物語ではない。
確かに私が最初にこの大変魅力的な物語を読んだのは中学生の頃だったと思うが主人公のアン・シャーリーほどではないにしろ、空想・想像好きの多感な少年にとってアンの思考回路が理解できたのだから面白くないはずはなかった。
少年の頃、夜になっても布団をかぶりながら読んだ「赤毛のアン」はアンの身に自分を重ねるという興味だった。無論私は孤児ではないが年頃の少年には、いや...多少世間というものがわかりかけてきた少年にとっては嫌なことや相応の辛いこともあり、アンの不幸と後の幸せをまるで自分のことのように感じて涙し笑ったものだ。
いま、久しぶりに新訳の「赤毛のアン」(松本侑子訳)を読むと同時にこれまた手元に置いておきたい映像と考え、以前観たことのある「赤毛のアン 特別版」DVDをあらためて入手してみた。
この作品はすでに多くの方がご覧になっていると思うが、1985年にカナダで制作され公開は1994年6月だという。監督はケヴィン・サリヴァン。

※DVD「赤毛のアン 特別版」パッケージ
そこには...DVDのパッケージコピーではないけれど「あの日に帰れる。そこでアンが待っているから。」という感覚に浸ることができ、昔住んでいた故郷をのぞき込むような何とも暖かくも懐かしい、そして美しい自然とグリーン・ゲイブルズの存在を楽しむことが出来る。
私はこの歳になってもいまだにアンの気持ちは十分に分かるものの、さすがにアンよりはマシュー・カスバートやマリラ・カスバートに感情移入してしまうことに気づき、自分も歳を重ねたことをあらためて認識せざるを得ない(笑)。
マシュー・カスバートは確か60歳くらいだったと思うがそのマシューと同年代になった私にはアンを慈しみたいと願う彼の心根がひしひしと伝わってくる。
原作ではグリーン・ゲイブルズに引き取られることになったアンは11歳だったが映像の中のアンは13歳と言っている。映像の中のアンは原作のイメージより少々大人っぽくあまり痩せてもいないもののさすがアン役のミーガン・フォローズは3000人のオーディションの中から選ばれただけあって、私にはアン本人として楽しむことが出来る。ちなみにミーガン・フォローズは当時16歳だったという。
欲を言えばアンを含め、ダイアナもギルバートも原作のイメージはもっと子供っぽいのだが...。
ただしマシューとマリラは原作から飛び出てきたようでイメージにぴったりなのは嬉しい。
物語は手違いからプリンス・エドワード島のグリーン・ゲイブルズ(緑の切り妻屋根)に住むマシューとマリラのもとにやってきた孤児のアン・シャーリー。男の子を希望していたマシューとマリラだが空想好きのお喋りな赤毛の少女に次第に心惹かれていく...。
アンが空想好きなのは単なる趣味趣向ではなく孤児として辛酸を舐めた毎日を送ってきた彼女にとって唯一の慰めであったのだ。
すでに原作を多々読んできた私は大筋はよく知っているが「赤毛のアン 特別版」DVDによる映像化は原作とは別の味わいがあり、美しいシーンに出会う度に涙腺が緩んでしまう。
特にDVD作品は原作では断片的に知らされるだけだった孤児院時代のアン...。アンを受け入れた家庭で酷使され疎まれていた不幸なアンの姿を描いているのは興味深い。だからこそアンがグリーン・ゲイブルズに住めると信じたときの感激や手違いで本当は男の子が欲しかったのだと知らされた時の落胆の大きさをより感じることができる。
ブライトリヴァー駅で迎えを待つアン。
行き違いで来たとも知らずマシューの馬車に乗りマシューの腕にそっと腕を回すアン。
小言を言われながらもマリラと歩きながらその手を握るアン...。
美しいプリンス・エドワード島の自然と共にアンが健気に生きようとする姿やカスバート家の日常を見ていると現代の私たちは何か大切なものをどこかに置き忘れてきたのではないかと考え込んでしまう...。
この「赤毛のアン」を読んだマーク・トウェインはモンゴメリに「かの不滅のアリス以来最も可愛らしく、最も感動的で最も利発な子」と絶賛の手紙を送ったというがアンの存在は小説ながらリアリティがあるため何度読んでもあるいは観ても飽きることがない。
日常の雑多なあれこれに疲れたとき、アンの台詞「思い悩む心は、深い忘却のとばりに包み隠そう(へマンズの詩)」ではないけれど...悩みはとりあえず包み隠し、グリーン・ゲイブルズのアンに会ってみるのも一興である...。
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