女性雑誌「Kiss」連載開始「スティーブ・ジョブズ」雑感
映画にもなったコミック「テルマエ・ロマエ」の作者、ヤマザキマリによる新連載「スティーブ・ジョブズ」が講談社刊の女性雑誌「Kiss (キス)」でスタートした。"世界を変えた男" を描くというのを無視できずに取り急ぎAmazonに予約注文してみたが、その2013年5月号が届いた。
テルマエ・ロマエは好きで原作も読んだし映画も観た。それまでヤマザキマリという作者についてはまったく知らなかったが、先日テルマエ・ロマエが完結したことと同時に新連載が「スティーブ・ジョブズ」だということを知り俄然興味を持った(笑)。
コミックはスティーブ・ジョブズ公認の伝記として知られているウォルター・アイザックソン著「スティーブ・ジョブズ」を原作として連載するらしいが、それにしてもなぜ数ある雑誌の中で「Kiss」連載なのだろうか…。
なにしろ「スティーブ・ジョブズ」の新連載が載っている「Kiss」を取り寄せてみたが、表紙のケバケバしさ(失礼)には苦笑してしまうし、「新装Kissスタート」と踊っている文字の上には「[キス]読むと恋をする」とある(笑)。まあそもそもが私らのようなオヤジ属が手にする雑誌ではないわけだが、その雑誌に「スティーブ・ジョブズ」の連載とはどういう意図なのだろうか?

※講談社月刊誌「Kiss (キス)」2013年5月号表紙
ひとつには「Kiss」は講談社刊であり、前記したウォルター・アイザックソン著「スティーブ・ジョブズ」と同じ発行元だからして権利やらのあれこれはスムーズであったことは想像できる。
無論私自身、大昔に少年雑誌の漫画募集に応募したほどの漫画好きだったから決してこの種の雑誌を小馬鹿にするつもりは毛頭ないが、そもそも「Kiss」の読者層は「スティーブ・ジョブズ」に興味のある年齢層なのだろうか…。というより性別を超え、年齢を超えた読者層をこの「Kiss」に集めたいという意図があるのだろうか。
ともあれ出版業界の不況・不振は女性誌にも及んでいるようで、先日の報道によれば講談社の女性誌「Grazia(グラツィア)」と「GLAMOROUS(グラマラス)が、7月6日に発売する2013年8月号をもって休刊するという。ジャンルを問わずスティープ・ジョブズの知名度とヤマザキマリの勢いをもって多くの読者を惹きつける必要があることは確かなのだろう...。
いや、どんな雑誌に掲載されようが中身が面白いのなら読者として文句はないが、正直この表紙の雑誌を毎月買うにはプレーキがかかるし、仕事帰りに書店で買って電車内で読むのもちょっと気がひける。それに第1他の連載は読まないから資源の無駄だ(笑)。
やはり単行本化にされるのを待つのが現実的なのかも知れないが、その前に電子書籍化を考えてもらえると嬉しい。
さて「[1]出会い」としてスタートしたその中身だが、さすがにヤマザキマリの筆になるスティーブ・ジョブズは違和感なくいい感じだ。
最初のページから「伝記を書かないか? 僕の」と一緒に歩いているアイザックソンに語りかけるジョブズの姿に引き込まれてしまう…。
ただしこれまで幾多の情報を集め、2人のスティーブに関して調べてきた1人としては初回から首を傾げる点が出て来た。
この回はジョブズがウォズニアックに出会うまでが描かれているが、2人が出会うきっかけが史実…事実として伝えられてきたものとは違うのである。
ジョブズとウォズニアックが出会うことになったのは共通の友人であったビル・フェルナンデスに紹介されたからだというのが定説である。
ビル・フェルナンデスのガレージの作業場で洗車をしていたウォズにジョブズを紹介したとフェルナンデス自身がDVDのドキュメンタリー「スティーブ・ジョブズ ラスト・メッセージ〜天才が遺したもの〜」で証言している。

※DVD「スティーブ・ジョブズ ラスト・メッセージ〜天才が遺したもの〜」
申し上げるまでもなくスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックの出会いは前半のひとつの山場であろう。
しかしヤマザキマリはジョブズが通っていたハイスクールでジョン・マッカラムによるエレクトロニクスの授業中、ウォズニアックが教室に尋ねてくるという描き方をしている。
ウォルター・アイザックソン著「スティーブ・ジョブズ」の記述も確かに「マッカラム先生の授業を取っていたとき」とあるものの、それは "時期" を意味しているわけで授業中にウォズが尋ねてきたとは書いていない。
ということはヤマザキマリの原作読み間違いか、あるいはページの関係で意図的に違えたかのどちらかになるわけだが、原作ともそして史実とも違うこうした描き方は影響力があるだけにまずいと思う。
この2人のスティーブが出会うきっかけについては過去に「ジョブズとウォズが知り会ったきっかけは?」と題してご紹介しているので興味のある方はご覧いただきたい。
何から何まで寸分違わず原作通りに…と申し上げるつもりはないし、ほとんどの読者はこんなこと気づきも気にもしないだろうがスティーブ・ジョブズは実在の、それも亡くなったばかりの人物であり、くどいようだが2人のスティーブの出会いはその後のApple起業にも関わる重大事なだけに史実どおりに物語を進めて欲しい。
まあ個人的には毎号「Kiss」の連載を読んで気に病むのも健康によくないから、後は前記したように電子書籍化あるいは単行本化されるのを待ちたいと思う。
■KISS (キス) 2013年 05月号 [雑誌]
テルマエ・ロマエは好きで原作も読んだし映画も観た。それまでヤマザキマリという作者についてはまったく知らなかったが、先日テルマエ・ロマエが完結したことと同時に新連載が「スティーブ・ジョブズ」だということを知り俄然興味を持った(笑)。
コミックはスティーブ・ジョブズ公認の伝記として知られているウォルター・アイザックソン著「スティーブ・ジョブズ」を原作として連載するらしいが、それにしてもなぜ数ある雑誌の中で「Kiss」連載なのだろうか…。
なにしろ「スティーブ・ジョブズ」の新連載が載っている「Kiss」を取り寄せてみたが、表紙のケバケバしさ(失礼)には苦笑してしまうし、「新装Kissスタート」と踊っている文字の上には「[キス]読むと恋をする」とある(笑)。まあそもそもが私らのようなオヤジ属が手にする雑誌ではないわけだが、その雑誌に「スティーブ・ジョブズ」の連載とはどういう意図なのだろうか?

※講談社月刊誌「Kiss (キス)」2013年5月号表紙
ひとつには「Kiss」は講談社刊であり、前記したウォルター・アイザックソン著「スティーブ・ジョブズ」と同じ発行元だからして権利やらのあれこれはスムーズであったことは想像できる。
無論私自身、大昔に少年雑誌の漫画募集に応募したほどの漫画好きだったから決してこの種の雑誌を小馬鹿にするつもりは毛頭ないが、そもそも「Kiss」の読者層は「スティーブ・ジョブズ」に興味のある年齢層なのだろうか…。というより性別を超え、年齢を超えた読者層をこの「Kiss」に集めたいという意図があるのだろうか。
ともあれ出版業界の不況・不振は女性誌にも及んでいるようで、先日の報道によれば講談社の女性誌「Grazia(グラツィア)」と「GLAMOROUS(グラマラス)が、7月6日に発売する2013年8月号をもって休刊するという。ジャンルを問わずスティープ・ジョブズの知名度とヤマザキマリの勢いをもって多くの読者を惹きつける必要があることは確かなのだろう...。
いや、どんな雑誌に掲載されようが中身が面白いのなら読者として文句はないが、正直この表紙の雑誌を毎月買うにはプレーキがかかるし、仕事帰りに書店で買って電車内で読むのもちょっと気がひける。それに第1他の連載は読まないから資源の無駄だ(笑)。
やはり単行本化にされるのを待つのが現実的なのかも知れないが、その前に電子書籍化を考えてもらえると嬉しい。
さて「[1]出会い」としてスタートしたその中身だが、さすがにヤマザキマリの筆になるスティーブ・ジョブズは違和感なくいい感じだ。
最初のページから「伝記を書かないか? 僕の」と一緒に歩いているアイザックソンに語りかけるジョブズの姿に引き込まれてしまう…。
ただしこれまで幾多の情報を集め、2人のスティーブに関して調べてきた1人としては初回から首を傾げる点が出て来た。
この回はジョブズがウォズニアックに出会うまでが描かれているが、2人が出会うきっかけが史実…事実として伝えられてきたものとは違うのである。
ジョブズとウォズニアックが出会うことになったのは共通の友人であったビル・フェルナンデスに紹介されたからだというのが定説である。
ビル・フェルナンデスのガレージの作業場で洗車をしていたウォズにジョブズを紹介したとフェルナンデス自身がDVDのドキュメンタリー「スティーブ・ジョブズ ラスト・メッセージ〜天才が遺したもの〜」で証言している。

※DVD「スティーブ・ジョブズ ラスト・メッセージ〜天才が遺したもの〜」
申し上げるまでもなくスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックの出会いは前半のひとつの山場であろう。
しかしヤマザキマリはジョブズが通っていたハイスクールでジョン・マッカラムによるエレクトロニクスの授業中、ウォズニアックが教室に尋ねてくるという描き方をしている。
ウォルター・アイザックソン著「スティーブ・ジョブズ」の記述も確かに「マッカラム先生の授業を取っていたとき」とあるものの、それは "時期" を意味しているわけで授業中にウォズが尋ねてきたとは書いていない。
ということはヤマザキマリの原作読み間違いか、あるいはページの関係で意図的に違えたかのどちらかになるわけだが、原作ともそして史実とも違うこうした描き方は影響力があるだけにまずいと思う。
この2人のスティーブが出会うきっかけについては過去に「ジョブズとウォズが知り会ったきっかけは?」と題してご紹介しているので興味のある方はご覧いただきたい。
何から何まで寸分違わず原作通りに…と申し上げるつもりはないし、ほとんどの読者はこんなこと気づきも気にもしないだろうがスティーブ・ジョブズは実在の、それも亡くなったばかりの人物であり、くどいようだが2人のスティーブの出会いはその後のApple起業にも関わる重大事なだけに史実どおりに物語を進めて欲しい。
まあ個人的には毎号「Kiss」の連載を読んで気に病むのも健康によくないから、後は前記したように電子書籍化あるいは単行本化されるのを待ちたいと思う。
■KISS (キス) 2013年 05月号 [雑誌]
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