念願の「レオナルドの手稿、素描・素画に関する基礎的研究」入手
レオナルド・ダ・ヴィンチのアマチュア研究家の端くれとして目を通すべき資料や書籍は多々あるが必要不可欠ともいえる重要な資料...それも日本語で読める資料としての第一はやはり裾分一弘著「レオナルドの手稿、素描・素画に関する基礎的研究」であろう。しかしこれまでなかなか入手できなかった...。
本書は我が国は勿論、世界的にもレオナルド・ダ・ヴィンチ研究の第一人者として知られている裾分一弘氏の著作であり2004年11月15日に中央公論美術出版から出版されたものだ。
そのハードカバーのサイズは27.3×19.5×7.3cmと書籍としてかなり大振りなものだが、研究篇および500点あまりの図版などを収めた資料篇の二冊からなる大著である。ちなみにハードカバーごと重さを量ってみたら2.6kgほどあった。
※裾分一弘著「レオナルドの手稿、素描・素画に関する基礎的研究」とサイズの比較のために文庫本を置いてみた
内容はレオナルドが書き遺した厖大な手帖や画帖などの絵画作品以外の文化財を徹底的に点検し、その内容、年代、資料としての価値、収蔵機関など、あらゆる情報を提供するレオナルドの人と芸術の全貌を研究する上で必須の著といわれているものだ。
※本書は研究篇と資料篇の二冊からなる
私はレオナルドの手稿のうち「マドリッド手稿」「鳥の飛翔に関する手稿」という2つのファクシミリ版を所有しているが、それらを活用するにもこの「レオナルドの手稿、素描・素画に関する基礎的研究」は是非手元に置きたいと考えていた。しかしすでに絶版になってはいることはともかく、価格がなかなかに高価なので容易に手が出せなかったのである。
今般私が入手した本書は古書ながら中身は新品と変わりなく大変綺麗である。まあ閲覧に支障がなければ多少の汚れは仕方がないと思っていたが、ハードカバーの一部が少々汚れている程度で状態は良好である。
さて内容だが申し上げるまでもなくこれだけの大著の内容を把握するにはかなりの時間を必要とするからあくまでも第一印象ということでご紹介しよう。
※資料篇を開いたところ
前記したように本書は研究篇と資料篇の二冊から構成されている。無論二冊のうちどちらが主だとするなら研究篇に違いないが、本書の意図・意義という点に付き著者自身が研究篇の冒頭「序 レオナルド研究の現状および本書の意図」に詳しく書かれている。
あえてそのエッセンスを記すなら本書はレオナルドの美術作品以外の遺産である手稿、素描・素画に関する基礎的研究書であり、レオナルド研究史の現時点に立ち、対象を統一的に整理し、広範・正確な情報・資料を提供し、レオナルド研究に寄与することを目的としている。
また最近のレオナルドに関する出版物の多くは、欧米においても単なる論評、読み物でしかないとし、作品の単なる印象批判による美術史でなく、片や美術作品を凝視し、片や制作者の身辺あるいは周辺・前後に遣るリテラルな資料・記録を視野に加えることにより美術史は美術史学として学問たる資格を得ることになると...。そして視線の交差する位置に、作品とその制作者は存在するからである...としている。
あえて研究篇の章立てを紹介するなら以下のようになってる。
・序
・第一章 座右の画帖・手帖
・第二章 散逸
・第三章 確認(1)
・第四章 確認(2)
・第五章 筆跡・描線
・第六章 内容
・結 学としてのレオナルド研究
こうして章立てを見ると簡素に見えるかも知れないが例えば第六章の内容は一節「アトランティコ手稿」、二節「ウィンザー紙葉、解剖手帖」、三節「マドリッド手稿」そして四節「ウルビノ手稿」まであり、さらにそれぞれの節は三つから四つの項目に分かれているというようにボリュームのある内容なのだ。
一方、資料篇は研究篇本文に関わってくる図版、写真、資料をまとめたものである。
したがって本書は私などが簡単に読破できる内容ではないものの、個人的にささやかな宝物だと思っている前記3種の手稿をどのようなアプローチで見ていくべきなのかを含め、レオナルドが残した絵画や素描などは勿論、その意味するところや価値、時代背景までを教えてくれるものだと考えている。
レオナルド・ダ・ヴィンチの人となりの一端でも知り得たいと考えている私にとってライフワークに欠かせない宝物がまたひとつ増えたといえる。
■レオナルドの手稿、素描・素画に関する基礎的研究
本書は我が国は勿論、世界的にもレオナルド・ダ・ヴィンチ研究の第一人者として知られている裾分一弘氏の著作であり2004年11月15日に中央公論美術出版から出版されたものだ。
そのハードカバーのサイズは27.3×19.5×7.3cmと書籍としてかなり大振りなものだが、研究篇および500点あまりの図版などを収めた資料篇の二冊からなる大著である。ちなみにハードカバーごと重さを量ってみたら2.6kgほどあった。
※裾分一弘著「レオナルドの手稿、素描・素画に関する基礎的研究」とサイズの比較のために文庫本を置いてみた
内容はレオナルドが書き遺した厖大な手帖や画帖などの絵画作品以外の文化財を徹底的に点検し、その内容、年代、資料としての価値、収蔵機関など、あらゆる情報を提供するレオナルドの人と芸術の全貌を研究する上で必須の著といわれているものだ。
※本書は研究篇と資料篇の二冊からなる
私はレオナルドの手稿のうち「マドリッド手稿」「鳥の飛翔に関する手稿」という2つのファクシミリ版を所有しているが、それらを活用するにもこの「レオナルドの手稿、素描・素画に関する基礎的研究」は是非手元に置きたいと考えていた。しかしすでに絶版になってはいることはともかく、価格がなかなかに高価なので容易に手が出せなかったのである。
今般私が入手した本書は古書ながら中身は新品と変わりなく大変綺麗である。まあ閲覧に支障がなければ多少の汚れは仕方がないと思っていたが、ハードカバーの一部が少々汚れている程度で状態は良好である。
さて内容だが申し上げるまでもなくこれだけの大著の内容を把握するにはかなりの時間を必要とするからあくまでも第一印象ということでご紹介しよう。
※資料篇を開いたところ
前記したように本書は研究篇と資料篇の二冊から構成されている。無論二冊のうちどちらが主だとするなら研究篇に違いないが、本書の意図・意義という点に付き著者自身が研究篇の冒頭「序 レオナルド研究の現状および本書の意図」に詳しく書かれている。
あえてそのエッセンスを記すなら本書はレオナルドの美術作品以外の遺産である手稿、素描・素画に関する基礎的研究書であり、レオナルド研究史の現時点に立ち、対象を統一的に整理し、広範・正確な情報・資料を提供し、レオナルド研究に寄与することを目的としている。
また最近のレオナルドに関する出版物の多くは、欧米においても単なる論評、読み物でしかないとし、作品の単なる印象批判による美術史でなく、片や美術作品を凝視し、片や制作者の身辺あるいは周辺・前後に遣るリテラルな資料・記録を視野に加えることにより美術史は美術史学として学問たる資格を得ることになると...。そして視線の交差する位置に、作品とその制作者は存在するからである...としている。
あえて研究篇の章立てを紹介するなら以下のようになってる。
・序
・第一章 座右の画帖・手帖
・第二章 散逸
・第三章 確認(1)
・第四章 確認(2)
・第五章 筆跡・描線
・第六章 内容
・結 学としてのレオナルド研究
こうして章立てを見ると簡素に見えるかも知れないが例えば第六章の内容は一節「アトランティコ手稿」、二節「ウィンザー紙葉、解剖手帖」、三節「マドリッド手稿」そして四節「ウルビノ手稿」まであり、さらにそれぞれの節は三つから四つの項目に分かれているというようにボリュームのある内容なのだ。
一方、資料篇は研究篇本文に関わってくる図版、写真、資料をまとめたものである。
したがって本書は私などが簡単に読破できる内容ではないものの、個人的にささやかな宝物だと思っている前記3種の手稿をどのようなアプローチで見ていくべきなのかを含め、レオナルドが残した絵画や素描などは勿論、その意味するところや価値、時代背景までを教えてくれるものだと考えている。
レオナルド・ダ・ヴィンチの人となりの一端でも知り得たいと考えている私にとってライフワークに欠かせない宝物がまたひとつ増えたといえる。
■レオナルドの手稿、素描・素画に関する基礎的研究
- 関連記事
-
- APEC厳戒中の横浜にY嬢と「ドガ展」を見に行く (2010/11/17)
- 今さらではあるが「刑事コロンボ」にはまる! (2010/09/07)
- 学研 大人の科学「テルミン Premium」とは? (2010/07/28)
- 松本侑子著『誰も知らない「赤毛のアン」〜背景を探る』の魅力 (2010/06/25)
- 数々の害虫に悩まされるこの夏に必須な「瞬間凍殺ジェット這う虫」 (2010/06/22)
- 念願の「レオナルドの手稿、素描・素画に関する基礎的研究」入手 (2010/05/28)
- 何度見ても感動する物語〜DVD「赤毛のアン 特別版」 (2010/05/24)
- 白昼夢〜似顔絵コンテストの思い出と芸能界への不信感 (2010/04/28)
- 白昼夢〜私の音楽歴とは? (2010/03/16)
- 白昼夢〜母と占い師の物語 (2010/03/09)
- 「偉大な生涯の物語」「パッション」に見る人間の愚かしさと残酷さ (2010/03/05)