シャーロッキアン垂涎「コナン・ドイル書簡集」を購入
「コナン・ドイル書簡集」はあのシャーロック・ホームズを生んだコナン・ドイルの本邦初公開になる膨大な手紙と当時を物語る貴重な写真・図版を駆使してダニエル・スタシャワーをはじめコナン・ドイルの妹の孫であチャールズ・フォーリーらにより編纂され、ドイル創作の背後に潜むこの稀代な作家の深い内省を鮮やかにした書籍である。
シャーロッキアンの一人として楽しみにしていた本年度の日本シャーロック・ホームズ・クラブの会員証が送られてきた。本年度のグラフィックは「美しき自転車乗り」とか「ひとりぼっちの自転車乗り」等と訳された一篇のシドニー・バジェットによる挿絵である。

※本年度の日本シャーロック・ホームズ・クラブの会員証
さてシャーロッキアンの楽しみと言えば無論、ホームズとワトスンを実在の人物として考え、彼らの残した物語を隅から隅まで調べ、時代的背景や政治情勢までをも検証しながらその活躍を堪能することにつきる…。
しかしそれはそれとして、もうひとつの大きな興味は無論その物語を生み出した本人、アーサー・コナン・ドイルその人の生涯を研究し、その人生がホームズ物語にどのように反映されているのかを知ることでもある。
だからこそ聖典ともいわれるホームズ物語は勿論だが、例えばストーリーはフィクションとは言えドイルの医学の師であったベル博士と共に難事件と対決する「コナン・ドイルの事件簿」といったドラマを観るのも楽しいし、2010年に発刊された「コナン・ドイル伝」という伝記も隅から隅まで読むはめになる…。
その「コナン・ドイル伝」もかなり厚い本だが、それを書いたのが作家でベイカー・ストリート・イレギュラーズ会員でもあるダニエル・スタシャワーであり、日本語訳が日暮雅通氏であった。そして今回ご紹介する「コナン・ドイル書簡集」もそれらのコンビで世に出されたものだ。とはいえ「コナン・ドイル書簡集」は「コナン・ドイル伝」よりさらに分厚い本であり、残念ながら簡単に「読了した」と宣言できる一冊ではない…。少しずつ、他の資料と読み合わせながらそして大いに楽しみながらドイルの生涯と彼の考え方といったものを自分なりに掴んでみたいと思っている。

※「コナン・ドイル書簡集」東洋書林刊
そもそもどのような人間であってもその人を深く突きつめればその人生は一篇の物語となるに違いないが、コナン・ドイルは特に一筋縄では語れない文字通り波瀾万丈の生涯を送った人物である。
その一生はホームズ物をはじめ小説を書くだけに費やされたわけではなかった。ドイルは医師であり、軍医、スポーツマンであり、自動車レースを楽しみ、選挙で敗北し、ナイトの爵を授けられ、犯罪と社会正義に関する運動家であり、従軍記者、戦史家であり、後年はスピリチュアリズム…心霊現象や降霊術に傾倒し世間から嘲笑された...。さらに母を愛する息子であり、生活のために苦労する家長であり、ある時期は2人の妻を等しく愛した夫、そして子を失い悲しむ父親であった。
特にドイルは母親を大いに崇拝しており、八歳で家を出て寄宿学校へ入ってから54年後に母親が亡くなるまで手紙を書き続けた。現在残っているものだけで約千通もあるという。その他、新聞社や仕事関係者にも何百通となく手紙を書いたと言われ、彼ほど豊かで活き活きとした書簡を残した作家は珍しい…。
これまでは遺族が承諾しなかったことから手紙のほとんどは公開できないでいたが、最終的に末っ子が亡くなる前の1997年に合意し、大英博物館に寄贈された。
本書はその他、父親や弟、妹たちや関わりのあった人たちへの手紙を補足して編纂、注釈を付し、書簡で綴った伝記としたものである。
「コナン・ドイル書簡集」は730ページほどの大著であり、容易に目を通すことができる量ではないが、前記した「コナン・ドイル伝」と合わせて一級の資料でありシャーロッキアンのみならず、当時の世相をも知る有益な手立てにもなるであろう。
というわけで一気に読了というわけにはいかないが、毎日少しずつ楽しみながらドイルの手紙と共に彼の人生を追って行こうと考えている。
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「コナン・ドイル書簡集
」
2012年1月31日 第1刷発行
編者:ダニエル・スタシャワー、ジョン・レレンバーグ、チャールズ・フォーリー
訳者:日暮雅通
発行所:株式会社東洋書林
コード:ISBN978-4-88721-796-6 C0098
定価:6,000円(税別)
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シャーロッキアンの一人として楽しみにしていた本年度の日本シャーロック・ホームズ・クラブの会員証が送られてきた。本年度のグラフィックは「美しき自転車乗り」とか「ひとりぼっちの自転車乗り」等と訳された一篇のシドニー・バジェットによる挿絵である。

※本年度の日本シャーロック・ホームズ・クラブの会員証
さてシャーロッキアンの楽しみと言えば無論、ホームズとワトスンを実在の人物として考え、彼らの残した物語を隅から隅まで調べ、時代的背景や政治情勢までをも検証しながらその活躍を堪能することにつきる…。
しかしそれはそれとして、もうひとつの大きな興味は無論その物語を生み出した本人、アーサー・コナン・ドイルその人の生涯を研究し、その人生がホームズ物語にどのように反映されているのかを知ることでもある。
だからこそ聖典ともいわれるホームズ物語は勿論だが、例えばストーリーはフィクションとは言えドイルの医学の師であったベル博士と共に難事件と対決する「コナン・ドイルの事件簿」といったドラマを観るのも楽しいし、2010年に発刊された「コナン・ドイル伝」という伝記も隅から隅まで読むはめになる…。
その「コナン・ドイル伝」もかなり厚い本だが、それを書いたのが作家でベイカー・ストリート・イレギュラーズ会員でもあるダニエル・スタシャワーであり、日本語訳が日暮雅通氏であった。そして今回ご紹介する「コナン・ドイル書簡集」もそれらのコンビで世に出されたものだ。とはいえ「コナン・ドイル書簡集」は「コナン・ドイル伝」よりさらに分厚い本であり、残念ながら簡単に「読了した」と宣言できる一冊ではない…。少しずつ、他の資料と読み合わせながらそして大いに楽しみながらドイルの生涯と彼の考え方といったものを自分なりに掴んでみたいと思っている。

※「コナン・ドイル書簡集」東洋書林刊
そもそもどのような人間であってもその人を深く突きつめればその人生は一篇の物語となるに違いないが、コナン・ドイルは特に一筋縄では語れない文字通り波瀾万丈の生涯を送った人物である。
その一生はホームズ物をはじめ小説を書くだけに費やされたわけではなかった。ドイルは医師であり、軍医、スポーツマンであり、自動車レースを楽しみ、選挙で敗北し、ナイトの爵を授けられ、犯罪と社会正義に関する運動家であり、従軍記者、戦史家であり、後年はスピリチュアリズム…心霊現象や降霊術に傾倒し世間から嘲笑された...。さらに母を愛する息子であり、生活のために苦労する家長であり、ある時期は2人の妻を等しく愛した夫、そして子を失い悲しむ父親であった。
特にドイルは母親を大いに崇拝しており、八歳で家を出て寄宿学校へ入ってから54年後に母親が亡くなるまで手紙を書き続けた。現在残っているものだけで約千通もあるという。その他、新聞社や仕事関係者にも何百通となく手紙を書いたと言われ、彼ほど豊かで活き活きとした書簡を残した作家は珍しい…。
これまでは遺族が承諾しなかったことから手紙のほとんどは公開できないでいたが、最終的に末っ子が亡くなる前の1997年に合意し、大英博物館に寄贈された。
本書はその他、父親や弟、妹たちや関わりのあった人たちへの手紙を補足して編纂、注釈を付し、書簡で綴った伝記としたものである。
「コナン・ドイル書簡集」は730ページほどの大著であり、容易に目を通すことができる量ではないが、前記した「コナン・ドイル伝」と合わせて一級の資料でありシャーロッキアンのみならず、当時の世相をも知る有益な手立てにもなるであろう。
というわけで一気に読了というわけにはいかないが、毎日少しずつ楽しみながらドイルの手紙と共に彼の人生を追って行こうと考えている。
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「コナン・ドイル書簡集
2012年1月31日 第1刷発行
編者:ダニエル・スタシャワー、ジョン・レレンバーグ、チャールズ・フォーリー
訳者:日暮雅通
発行所:株式会社東洋書林
コード:ISBN978-4-88721-796-6 C0098
定価:6,000円(税別)
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