ラテ飼育格闘日記(225)

地震の経験はラテにも強い影響を与えているようだ。とにかく余震を極度に怖がり、これまでになくオトーサンの足元から離れないだけでなく寝ている時以外は自分だけの空間が寂しいからだろう、遠慮がちに「ウォン...オン」とオトーサンを呼ぶことが多くなった。                                                                                                      
オトーサン自身、まだいわゆる地震酔いに悩まされている。しかしオトーサンはリラックスする方法を知っているつもりだし時が解決してくれると信じているから良いもののラテは些か可哀想だ。
他の飼い主さんたちにもお聞きしてみたがかなりのワンコがあの大地震を機会に神経質になっているようだし、中にはテレビなどの地震速報のチャイム音に過剰反応するワンコもいるという。

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※桜の若木はすでに咲き始めている。そして鶯の声も聞こえるようになった


オトーサンとラテの毎日の散歩は地震後も些かも変わらず続いているしこれからも続けるつもりだ。しかし散歩の途中で立ち寄る公園などではめっきり子供たちの姿が見えなくなっただけでなくワンコ連れも一層少なくなったような気がする。
地震のあった翌日の朝もオトーサンはいつもの時間にいつもの通りの公園へラテを連れて行った。
途中大きな公園で久しぶりにラテの恋人ワンコ(笑)のマキちゃんがオカーサンと散歩されているところに遭遇。マキのオカーサンの計らいで我々と一緒に十数分先の公園まで一緒に行くことになったが、ラテはもう有頂天である。公園に着いてからもラテは執拗にマキちゃんの口元をなめ回すが、マキちゃんも満更ではないようで笑顔なのが面白い...。
公園ではマキちゃんといつもの遊び相手であるボーちゃんという2匹のイケメンワンコに囲まれ、地震の怖さを忘れてかけずり回ったラテだった...。

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※マキちゃんに執拗にチューを迫るラテにマキちゃんも苦笑(笑)


ともかく飼い主さんたちと出会えば地震の時の様子から、被害があったかなかったか...といった話題になるのはやむを得ないが、モノがなかったりという話題になればお互いに助け合う言動もあって温かい気持ちになる。そして幸い見聞きした範囲では周りで怪我をした人などはいなかったのでまずは安堵した次第。

ところでラテつながりで心配なことがひとつあった。それはラテをお世話いただいた...というか雨の日に軒下に縮こまっていたラテ(推定生後3ヶ月時)を保護し6ヶ月になるまで育ててくれた茨城県在住のKさんと連絡が取れなかったことだ。だから...ラテは茨城県生まれなのだ...。
ともかくちょうど地震の直前にメールをお送りしたその返事がなかったのでどうされたのか、僭越ながら心配していた。それにKさん宅にはワンコやニャンコもいるわけで、そちらの心配もあった。
ただ、以前関西淡路大震災に遭われた人から聞いた「災害に遭われた方への連絡、特に電話での安否確認は一週間以降にすべし」ということが耳に残っていたので直後の連絡を躊躇っていたのだった。

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※うちの娘は茨城生まれなんです!


いたずらに感傷的な考えに浸るつもりはないが、Kさんの温かい心持ちがなければラテは生き続けることができなかっただろうし無論オトーサンたちと巡り会うことはなかったはずだ。いわばKさんは結果として我が娘の命の恩人だといってもよい。
その方がどの程度被害に遭われたのか、あるいは避難生活を強いられているのかを知りたいと考えたが、そもそも不足の物資を送ろうにも宅配便などの配送もストップしていた現状では気持ちばかりが先走っても何にもできない。
それに現実問題として、オトーサンたちだってどれほど役にたつことができるのかも心細い現状では安否確認だけできても何にもならないと考え、せめて宅配便の復旧するまでは連絡するのを待っていたのである。
それがこの20日から茨城県にも荷物を届けてくれるようになったと聞き、万一の場合はワンコの餌程度しか応援できないまでもお送りしたいと電話をしてみたのだった...。

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※オトーサンの布団の横でうとうとするラテ


電話をおかけしたときには留守電になっていたのでメッセージを残した。そして翌日再度お電話をしてみたが今度はお留守だったのか電話には出られなかったが、これはご自宅の電話が生きている証拠だと考え少しほっとした。
その日のうちにKさんからメールをいただいた。留守電のメッセージを聴いていただき返事を下さったとのこと...。
一時避難をされていたがご無事だとの返事を見て思わず「よかった!」と声が出た。
人間の命が多々失われている現在、ペットの命云々に意識を向ける場合ではないという人もいるかも知れないが、ペットを家族同様にと考え暮らしてきた我々には人の命もペットの命も共に大切なのだ。

オトーサンには残念ながらニュースで取り上げられた著名人たちのように数千万円とか数億円の義援金などできようはずもない。被災者の方々を思い、辛い気持ちになるが何の役にたつこともできない...。
オトーサンにできることは散歩の公園で出会った子供たちに笑顔を返すことくらいしかできないし家族や兄弟を思いやることしかできない。しかしそんなとき昔読んだマザー・テレサの言葉が蘇ってきた...。
ちょっと不確かかも知れないが...「近くの人こそ気をかけてあげましょう」「平和は笑顔から始まるのです」そして「たとえ小さな事でも大きな愛を込めることはできます」といった言葉を思い出し、この歳になり初めてきれい事ではなくその真意が分かったような気がしてラテを抱きしめたオトーサンであった。

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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員