ラテ飼育格闘日記(168)

ラテとの生活が3年過ぎたいま、つくづく感じることは基本的に気持ちが桁違いに楽になったことだ。勿論毎日の散歩や食事を通してラテの健康維持に最善をつくしてはいるし体力的には相変わらず格闘を続けているものの、この3年間でお互いが随分とわかり合えたように思う。

 

そういえばラテを迎えるにあたり...いや飼い始めてからも多くのワンコ飼育本を手にしたものだが最近は読み物として楽しむための本はともかく、ワンコを飼うためのノウハウ本の類を買うことはなくなった。
いま思えば随分と無駄な本も読んだが、結果的にはいろいろな意見を比較検討し、実際のラテに当てはめて考えることで随分とワンコという生き物のことを知り得たと思っている。
そうした過程で相変わらず「犬はオオカミの子孫でありその行動に影響を与えている」とか「飼い主との主従関係をいかにしたらうまく築けるか」といった古い考え方に固執している専門家と称する人たちがいる...。

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※まだまだ欠点もあるがラテは総じて良い子に育った...


例えば...「犬は人間を犬だと思っている」「犬は隙あらばリーダーになる機会をうかがっている」「飼い主より先に食事を与えてはいけない」「玄関の出入りも飼い主より先にさせてはいけない」「飼い主の視線より高い位置に犬を置いてはいけない」「帰宅したときの飛びつきは無視しろ」「家の中で遊ぶことは犬のストレスを増やす」「決まった時間に餌をあげるのはストレスの原因」「散歩にも先に歩かせてはいけない」「甘噛みを放っておくと本噛みワンコになる」「可愛がりすぎは犬にとってストレスとなる」「餌はいつも同じドッグフードだけにすべき」「早いうちに専門家に訓練を受けさせろ」などなど...いまのオトーサンはこうしたワンコに対する接し方、対処のしかたを信用していない。
当初は予備知識のない、それに経験もないオトーサンだったから「そんなものなのか?」と悩んだこともあったが、冷静に...理詰めに物事を考えれると何か納得できないことが多かったわけだ。しかし今ではこうした考え方が間違っている...というのが言い過ぎなら少なくとも正しい唯一の意見ではないということは確信に変わっている。

ただし勘違いされても困るが、オトーサンはラテの望むまま何でも許してしまおうと言っているのではないし我が儘を放置しても良いと考えているわけではない。
ワンコは確かに人間ではないしその行動様式も思考回路も違う生き物だが間違いなく高度な知能と豊かな感性を持った生き物だと言うことは得心できる。そしてそうした利口なワンコと強い信頼関係を結ぶにはワンコ側の生理や本能を理解しつつ、人間側の都合に合わせた生き方ができるように考えなければならないわけだ。

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※夕陽が沈むとシルエットが美しい。中央右の突起が富士山である


3年といえば毎日朝夕の散歩だからオトーサンはすでに単純計算でも2,300回ほどラテとの散歩を実施していることになるし、その間さまざまな出来事があったと同時に他のワンコたちとの比較や観察も意図的にやってきた。その上でワンコとは何者なのかを文字通り体で知ったといえる...。
もしかしたらラテが特別利口で聞き分けの良いワンコであった...という可能性もないではないが(笑)、オトーサンが意図的にラテに対して接した方法はこれからワンコを飼う人たちにも何らかの参考になるのではないかと考えるようになってきたので少しずつ発言していこうと考えている。
しかし世の中にはこれひとつが正解というものばかりではない。特にワンコを育てるといっても物言わぬワンコだからして感想や意見を言ってくれるわけではなく、あくまで人間側の一方的な解釈で物事の良し悪しを考慮するしかないのが心許ない。

ともあれ常識的に考えればワンコにもそれぞれ性格といったものがあるだろうし、いわゆる刷り込み期がどのような環境だったかにもよる。しかしノラだったラテの刷り込み期がどのような環境だったかは分からないが犬種や性格による違いよりそうした幼児期の環境を含め、いかに飼い主との接し方やその生活環境がワンコの行動に影響してくるということはひしひしと感じる。
そのラテは推定3歳8ヶ月にして自立心が旺盛なワンコとして、そして例外もあるものの人間特に子供達にフレンドリーで感情豊か、まずまず聞き分けもよく手のかからない良いワンコに育ったと思っている。
無論、コンテストに出すと言ったような系統だてた訓練や飼育はあえてしなかったが、家族の一員として愛情豊かに育てようと心がけてきた。
そうした体験から物言えば前記したような馬鹿げたワンコ飼育論を振り回すのは問題だと思わざるを得ない。なぜならオトーサンたちも当初は迷ったもののラテに対してそうした論理とは反する教育方針を取ってきた結果、いまのラテに満足しているからである...。
例えば「甘噛みを許してはいけない」といったマニュアル本のそれ自体は間違いない。ただし中には「スリッパなどの破壊も放っておくと大変なことになる。なぜなら犬にとってはスリッパも人間の腕も同じだから」といった無茶なことを明言しているカリスマ訓練士もいる。
ワンコが人を噛むといった行為は確かに問題だし止めさせなければならない。しかしオトーサンが自信を持って言えることは精神を病んでいるワンコは別にして「ワンコはスリッパと人の腕の区別ができないほどバカではない」と強くいいたい。
失礼ながらこうした訓練士に調教されたワンコはただ怖いというだけでトレーナーに従うに過ぎないように思えるし結局は人間不信に陥るに違いない。

オトーサンは機会があればラテをしっかりと抱きしめるし時間のある限り積極的にラテに触れ、語りかけるようにしてきた。
散歩の途中でラテがアイコンタンクトしてきたときや室内でも視線が合った場合、まずは意図的に笑顔を返すように心がけてきた。なぜならワンコは飼い主が機嫌がよいのか悪いのかを絶妙に知り得る能力を持っていると思われる。そのワンコと一緒に散歩しているのにオトーサンが不機嫌ではラテ自身が楽しんだりリラックスしたりができないと思うからだ。
「オトーサンもラテとの散歩を楽しんでいるよ」ということを笑顔で知らせることが必要だと思う。オトーサンが鼻歌でもやっているとラテも笑顔が増してくる。
その結果、普段は言うことを利かないときもあるラテだが、散歩から戻った際に玄関のたたきの上でオトーサンがラテの体を拭く準備をする間、そう...数分でも大人しく待っているワンコになったしその拭き掃除の手順などをすぐに覚え、体の向きを自身で変えたりもしてくれるようになった。

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※夕食が終わり満足したのか横になったままボールで遊ぶという横着なラテ(笑)


勿論人間社会において困る悪さをしたときにはその場で強く叱る。ただしいたずらに大声を上げる必要もなくオトーサンはリードを「ビシッ」と引き、まずはお座りをさせマズルを軽く握り、ラテの目を見て「ダメ!」と叱る。
極初期には思わずビンタをしたことがあるが、その後は痛みを感じるほどの体罰はやったことがない。なぜなら今ではその必要がないからだ。
その場ですぐに叱ることでオトーサンが怒っていることは十分に伝わる。ただし人間に対してのように言い聞かせは無理だと考えているから「おまえは何度言ったら分かるんだ。それはダメだって言っただろ!」的なじくじくした叱り方ではなく、今やった行為にオトーサンが不快感を示していることが伝わればそれで良い。
またオヤツは面倒でもひとつひとつオトーサンの手のひらや指からあげるようにしてきた。人間の手や指は怖いものではないことを知らせなければならない。
手や指を甘噛みしたらその場で「痛い!」と大げさに騒いで不快を示し叱る。もし遊んでいたら即遊びを止める...。だから今では子供達がラテに餌をあげる行為も安心して見ていられるまでになった。ラテは絶妙に指を避けて食べ物に当たりをつけて咥えるからだ。決してガブッとはせず、オトーサンにはその歯の感触が心地よいほどである。
そして何か上手にできたり、いうことをきちんと利いたらこれまた大げさに褒めてやる。

飼い主はマニュアル本にあるような飼育を考えるよりともかく一緒に散歩に出ることがワンコにとって何よりも一番の学習の場だということをもっともっと認識すべきである。
ワンコは毎日の散歩の中で飼い主が何を許し何をダメというのかを学習するだけでなく、飼い主の嗜好や感情まで読み取る名人なのだ。したがって散歩もろくにしないで愛犬がいうことを利かないと嘆くなどオトーサンにとっては本末転倒のように思える。
こんな感じでラテと接してきたが、オトーサンが出かけるときも普段は騒ぐこともなく大暴れして物を壊すこともない。近所のコンビニに行くときも出窓に顔を出しているラテに手を振って出かける。そして戻ったとき嬉しそうに飛びついてきたら思い切り受け止めて抱きしめてやる。

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※新たに散策メニューに加わった公園にて


こうしたもの言いをするとラテには欠点などないように思われるかも知れないが当然のことながら欠点というか問題点も多々ある。ただし大切なのはその欠点を知ることであり、それが不要なトラブルを生むことを避けることにもつながる。
そのラテもまだまだ良い意味で成長・変化するのではないかと楽しみにしているのだが...。

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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員