ラテ飼育格闘日記(105)
ラテは総じて大変良い子だと思っている。図体は大きくなったものの、まだまだ子犬のような愛らしさと悪戯心を持っているし、普段の聞き分けもよく無駄吠えもしない。そして自分からハウスの扉を開けて入りよく眠る。しかし先日ショッキングな出来事が...。
ラテと共に毎日通う公園では当然のことながらさまざまなワンコが集う。しかしだからこそ色々なトラブルがあるのも事実だ...。
過日はラテもよく遊んでもらうワンコが夢中になってしまったのか小型犬を追い回し、それをかばおうとした飼い主さんのお尻に歯を当てたということを耳にした。まあ、あってはならないことだがワンコに悪気があるとは思われないものの我々飼い主たち皆が気をつけるしかない。
それはともかく先日オトーサンにとっては少々ショッキングな出来事があった...。

※散歩道の木々は紅葉真っ盛りとなってきた
ある休日の夕刻、いつものように女房と共にラテを公園に連れて行った。
休日と平日の違いが大きくあるわけではないが総じて休日は毎日散歩に連れ出すオカーサンたちの労力を軽減しようとお考えになるのか、息子さんたちやオトーサンたちに連れられてくるワンコが多くなるという傾向がある。
早くもすでに周りは暗くなってきたが、女房の足元にいつものオカーサンに変わってオトーサンに連れられてきたコーギー犬のアポロちゃんとラテが仲良く口を舐め合い遊んでいた...。

※コーギー犬のアポロちゃん(手前)とラテ
すでに何度かご紹介したがアポロちゃんとは公園デビュー以来の仲間でありラテは一目も二目もおいた存在の雄ワンコである。
いつも組んずほぐれつの遊びをする間柄だし、これまで威嚇などし合ったこともない。
オトーサンのペットボトルから水を飲むときアポロちゃんと一緒になればラテは必ず優先順位を譲る。そして他のワンコと違いオヤツなどの取り合いを巡るトラブルもまったくない間柄だったのである。だからその日もアポロちゃんがラテの耳を舐め、ラテもアポロちゃんの口元をペロペロとしていても何の心配もしていなかった。
しかし突如...オトーサンの見ていた範囲では...ラテが「ガウ...ガウガウガウ...ウゥゥゥ」とアポロちゃんに攻撃をしかけたのである。驚いたオトーサンはラテのリードを引いて引き離した。
オトーサンや女房がびっくりしたのは勿論だが当のアポロちゃんが見るからに呆然としている...。
心配だったのはアポロちゃんに傷でも負わせたのではないかということだったが、幸いそれは回避できたようで一安心した。
そもそも密着していた距離にいたのだからラテに本気で噛むといった気があったらすでに流血騒ぎになっていたものと思われる。ということは威嚇行動はしたが噛む行為をするつもりはなかったとも判断できるが、あの「ガウウウ」は遊びではなく本気だったと思われるだけにオトーサンはショックだった。
無論ラテが他のワンコに対して威嚇することは多々ある。普段すれ違う場合は喧嘩をするでもない相手でもその時にオヤツが絡んだり、ラテが好きな飼い主さんの足元だったりすると嫉妬してラテは相手を威嚇をするのである。
これまた先日、オトーサンが周りには仲間のワンコたちだけだからと安心してポケットからオヤツを出したとき、不覚にもオトーサンの足元にダックスフンドがノーリードで寄ってきた事に気がつかなかった...。
一瞬ラテはそのダックスフンドに自分たちのオヤツを取られると思ったのか「ガウゥ」と攻撃をしかけ、リードを引くまもなくもみ合い状態となってしまった。
相手のダックスフンドは大変大人しい良い子なのでただただオトーサンからオヤツをもらいたいと近づいたわけだがラテはそれが気にいらなかったらしい。
ダックスフンドが「キャン!」と鳴いたので噛みついてしまったと青くなったが、飼い主さんに抱き上げられたダックスフンドの首回りと顔をオトーサンが丹念に調べた結果、幸い血が出ているとか傷になっている部分は見あたらなかったのでこれまた一安心した。
とはいえ他のワンコはともかく一目も二目もおくアポロちゃんに対してこうした威嚇行動をやったことは1度もなかったラテなのである。
問題はその原因である。
そもそもラテは気性が荒いわけではなく、普通は仲間のワンコとはお陰様で楽しく遊んでいる。またどちらかといえば臆病な性格だし別のコーギー犬にはいつも追いかけられて逃げ回っている。それも数ヶ月前にはラテの方が威嚇していたのに...である(笑)。
考えるに、いつもと違うシチュエーションだといえばその場に女房がいたことくらいしか思い当たらないのである。
ラテの女房に対する態度を観察しているとラテにとってオトーサンとは質の違う大切な相手のように思える。それは遊び友達であり、100%甘えられる相手であり、ライバルでもある(笑)。
そんな女房の足元でラテにとってたとえアポロちゃんでも譲れない何かがあったのかも知れないが、オトーサンの見ていた限りでは特にいつもと違ったことはなかったと思うだけにショックなのである。
幸いその後、アポロちゃんと出会っても喧嘩するわけでもなく以前と同じように駆けっこをしたり、口を舐め合い身体を寄せ合って遊んでいる。しかし直接の原因が分からないだけにオトーサンの心配は尽きない...。

※朝の日差しを浴びてご機嫌のラテ
直接の原因はともかく、2歳半になったラテはいわゆる自我が目覚めたのではないかと思うのだ。
こうした物言いをすると「犬に自意識などない」といった古い考え方を振り回す人がいるかも知れない。
いまだにフランスの哲学者デカルトの理論、すなわち「犬には自我どころか思考力も判断力もなく自動人形と同じく動く機械である」といったことを信じている人がいるらしい。また愛犬家は自分のワンコを擬人化し過ぎるといった批判をする人たちも多い。
オトーサンもいたずらに擬人化することは戒めてきたつもりだが、2年間ラテと生活を共にしてきた体験では「ワンコは擬人化に値する高度な頭脳を持った生き物だ」という結論に達している(笑)。
そうした点についてはまた別途考えてみたいが、擬人化は心理学で「再帰意識」と呼ばれる人間の能力に根ざしている。つまり自分自身の行動や感情に照らして他人の行動を理解し予測することがてきる能力だという。
ある状況で自分だったら...私だったらどうするかを考えられることは生きていく上に有利である。ライバルの行動の予測やトラブルの回避だけでなく、こうした能力がないとそもそも集団で生活し行動することはできなくなる。
ラテだって先のアポロちゃんとの駆けっこの場合でも単純に後を追うだけではない。彼女なりにアポロちゃんにタッチするにはその走り具合からどの位置に向かえば最短距離で待ち受けできるかを計算して走っている。何しろラテのリードを持ってオトーサンも一緒に走っているのだから間違いない(笑)。
ともかくオトーサンが擬人化によりラテの行動や考え方を予測するのと同様にラテも間違いなくオトーサンの行動を観察して学び、次の行動を予測しているようだ。これはラテがオトーサンたち人間を擬人化ならぬ「擬犬化」して思考できるからだろう。
だからこそワンコは他のワンコに対するのと同様に人間に向かっても尾を振り、遊びのポーズをとり、オトーサンをリーダと認めて必要な態度を取り続けることができるに違いない。
ただし問題はオトーサンたちのラテに対する「擬人化」とラテがオトーサンたちに対してする「擬犬化」との結果がぴったりと合うとは限らない(笑)。
ラテは女房の膝元でアポロちゃんと遊んでいるとき、何らかの嫉妬の衝動と共にそんな哲学的な矛盾を感じたのかも知れない(爆)。
それにしても...ごめんね...アポロちゃん!
【参考文献】スタンレー・コレン著「犬も平気でうそをつく?」および「哲学者になった犬」(共に文春文庫刊)
ラテと共に毎日通う公園では当然のことながらさまざまなワンコが集う。しかしだからこそ色々なトラブルがあるのも事実だ...。
過日はラテもよく遊んでもらうワンコが夢中になってしまったのか小型犬を追い回し、それをかばおうとした飼い主さんのお尻に歯を当てたということを耳にした。まあ、あってはならないことだがワンコに悪気があるとは思われないものの我々飼い主たち皆が気をつけるしかない。
それはともかく先日オトーサンにとっては少々ショッキングな出来事があった...。

※散歩道の木々は紅葉真っ盛りとなってきた
ある休日の夕刻、いつものように女房と共にラテを公園に連れて行った。
休日と平日の違いが大きくあるわけではないが総じて休日は毎日散歩に連れ出すオカーサンたちの労力を軽減しようとお考えになるのか、息子さんたちやオトーサンたちに連れられてくるワンコが多くなるという傾向がある。
早くもすでに周りは暗くなってきたが、女房の足元にいつものオカーサンに変わってオトーサンに連れられてきたコーギー犬のアポロちゃんとラテが仲良く口を舐め合い遊んでいた...。

※コーギー犬のアポロちゃん(手前)とラテ
すでに何度かご紹介したがアポロちゃんとは公園デビュー以来の仲間でありラテは一目も二目もおいた存在の雄ワンコである。
いつも組んずほぐれつの遊びをする間柄だし、これまで威嚇などし合ったこともない。
オトーサンのペットボトルから水を飲むときアポロちゃんと一緒になればラテは必ず優先順位を譲る。そして他のワンコと違いオヤツなどの取り合いを巡るトラブルもまったくない間柄だったのである。だからその日もアポロちゃんがラテの耳を舐め、ラテもアポロちゃんの口元をペロペロとしていても何の心配もしていなかった。
しかし突如...オトーサンの見ていた範囲では...ラテが「ガウ...ガウガウガウ...ウゥゥゥ」とアポロちゃんに攻撃をしかけたのである。驚いたオトーサンはラテのリードを引いて引き離した。
オトーサンや女房がびっくりしたのは勿論だが当のアポロちゃんが見るからに呆然としている...。
心配だったのはアポロちゃんに傷でも負わせたのではないかということだったが、幸いそれは回避できたようで一安心した。
そもそも密着していた距離にいたのだからラテに本気で噛むといった気があったらすでに流血騒ぎになっていたものと思われる。ということは威嚇行動はしたが噛む行為をするつもりはなかったとも判断できるが、あの「ガウウウ」は遊びではなく本気だったと思われるだけにオトーサンはショックだった。
無論ラテが他のワンコに対して威嚇することは多々ある。普段すれ違う場合は喧嘩をするでもない相手でもその時にオヤツが絡んだり、ラテが好きな飼い主さんの足元だったりすると嫉妬してラテは相手を威嚇をするのである。
これまた先日、オトーサンが周りには仲間のワンコたちだけだからと安心してポケットからオヤツを出したとき、不覚にもオトーサンの足元にダックスフンドがノーリードで寄ってきた事に気がつかなかった...。
一瞬ラテはそのダックスフンドに自分たちのオヤツを取られると思ったのか「ガウゥ」と攻撃をしかけ、リードを引くまもなくもみ合い状態となってしまった。
相手のダックスフンドは大変大人しい良い子なのでただただオトーサンからオヤツをもらいたいと近づいたわけだがラテはそれが気にいらなかったらしい。
ダックスフンドが「キャン!」と鳴いたので噛みついてしまったと青くなったが、飼い主さんに抱き上げられたダックスフンドの首回りと顔をオトーサンが丹念に調べた結果、幸い血が出ているとか傷になっている部分は見あたらなかったのでこれまた一安心した。
とはいえ他のワンコはともかく一目も二目もおくアポロちゃんに対してこうした威嚇行動をやったことは1度もなかったラテなのである。
問題はその原因である。
そもそもラテは気性が荒いわけではなく、普通は仲間のワンコとはお陰様で楽しく遊んでいる。またどちらかといえば臆病な性格だし別のコーギー犬にはいつも追いかけられて逃げ回っている。それも数ヶ月前にはラテの方が威嚇していたのに...である(笑)。
考えるに、いつもと違うシチュエーションだといえばその場に女房がいたことくらいしか思い当たらないのである。
ラテの女房に対する態度を観察しているとラテにとってオトーサンとは質の違う大切な相手のように思える。それは遊び友達であり、100%甘えられる相手であり、ライバルでもある(笑)。
そんな女房の足元でラテにとってたとえアポロちゃんでも譲れない何かがあったのかも知れないが、オトーサンの見ていた限りでは特にいつもと違ったことはなかったと思うだけにショックなのである。
幸いその後、アポロちゃんと出会っても喧嘩するわけでもなく以前と同じように駆けっこをしたり、口を舐め合い身体を寄せ合って遊んでいる。しかし直接の原因が分からないだけにオトーサンの心配は尽きない...。

※朝の日差しを浴びてご機嫌のラテ
直接の原因はともかく、2歳半になったラテはいわゆる自我が目覚めたのではないかと思うのだ。
こうした物言いをすると「犬に自意識などない」といった古い考え方を振り回す人がいるかも知れない。
いまだにフランスの哲学者デカルトの理論、すなわち「犬には自我どころか思考力も判断力もなく自動人形と同じく動く機械である」といったことを信じている人がいるらしい。また愛犬家は自分のワンコを擬人化し過ぎるといった批判をする人たちも多い。
オトーサンもいたずらに擬人化することは戒めてきたつもりだが、2年間ラテと生活を共にしてきた体験では「ワンコは擬人化に値する高度な頭脳を持った生き物だ」という結論に達している(笑)。
そうした点についてはまた別途考えてみたいが、擬人化は心理学で「再帰意識」と呼ばれる人間の能力に根ざしている。つまり自分自身の行動や感情に照らして他人の行動を理解し予測することがてきる能力だという。
ある状況で自分だったら...私だったらどうするかを考えられることは生きていく上に有利である。ライバルの行動の予測やトラブルの回避だけでなく、こうした能力がないとそもそも集団で生活し行動することはできなくなる。
ラテだって先のアポロちゃんとの駆けっこの場合でも単純に後を追うだけではない。彼女なりにアポロちゃんにタッチするにはその走り具合からどの位置に向かえば最短距離で待ち受けできるかを計算して走っている。何しろラテのリードを持ってオトーサンも一緒に走っているのだから間違いない(笑)。
ともかくオトーサンが擬人化によりラテの行動や考え方を予測するのと同様にラテも間違いなくオトーサンの行動を観察して学び、次の行動を予測しているようだ。これはラテがオトーサンたち人間を擬人化ならぬ「擬犬化」して思考できるからだろう。
だからこそワンコは他のワンコに対するのと同様に人間に向かっても尾を振り、遊びのポーズをとり、オトーサンをリーダと認めて必要な態度を取り続けることができるに違いない。
ただし問題はオトーサンたちのラテに対する「擬人化」とラテがオトーサンたちに対してする「擬犬化」との結果がぴったりと合うとは限らない(笑)。
ラテは女房の膝元でアポロちゃんと遊んでいるとき、何らかの嫉妬の衝動と共にそんな哲学的な矛盾を感じたのかも知れない(爆)。
それにしても...ごめんね...アポロちゃん!
【参考文献】スタンレー・コレン著「犬も平気でうそをつく?」および「哲学者になった犬」(共に文春文庫刊)
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